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ドイツの食に関わる仕事です。共訳『ビア・マーグスービールに魅せられた修道士』、著書『ド…

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ドイツの食に関わる仕事です。共訳『ビア・マーグスービールに魅せられた修道士』、著書『ドイツパン大全』(グルマン世界料理本大賞 パン部門優勝)、『ドイツ菓子図鑑』、『フォトエッセイとイラストで楽しむちいさなカタコト*ドイツ語ノート』

最近の記事

100年前のレシピ本を訳してみます13- C章 野菜とジャガイモの料理 II. キノコ料理

前回から随分時間を空けてしまいました。続きをやります。まだまだ先が長いので、早く進めることを優先するためここからはAIも利用しつつ訳していきます。キノコ料理です。ドイツでもいろいろなキノコを食べます。ではどうぞ。 1. キノコについて  長い間、キノコは完全な肉の代用品として過大評価されていましたが、学会によって、窒素を含むキノコの成分にはタンパク質がほとんど含まれていないか、またはヒトの体内では消化できないものであることが報告されました。しかし、キノコにはブドウ糖やキノ

    • ドイツの遍歴職人さんを訪ねて

       今日(2022年2月3日)は埼玉県行田市にある大野建設株式会社様を訪ねました。  今年1月からこちらでドイツの旅職人(遍歴職人)さんが働いているのでお話を聞かせてもらうためです。  昨年12月ドイツ領事館のこちらのツイートを見て、彼らが東京にも来ることを知り、これは会わねば!と思い、領事館に問い合わせてみたところ、彼らは出発してしまいその後の予定は把握していない、ただ東京のドイツ大使館にも行くと言っていたとのお返事。  そこで、早速ドイツ大使館さんにもメールを書き、もし彼

      • 100年前のレシピ本を訳してみます9-B章スープ I.肉のスープ

        さてここからレシピに入っていきます。まずはスープです。スープは6つのカテゴリーに分けられ、最初は肉のスープです。まずは肉のスープの基礎知識からです。 ********************************** 1.肉のスープの調理における一般的なルール スープ鍋  スープを作るには、スープ専用の清潔な鍋が必要です。きちんと閉まる蓋が付いたアンベルクの琺瑯容器や、トリーア近くのマリーアヒュッテの酸化皮膜を施した鍋がすぐれています。さらによいのは密閉できるパパ

        • 100年前のレシピ本を訳してみます12- C章 野菜とジャガイモの料理 I. 野菜

           やっと3つ目の章(C)に入ります。野菜とジャガイモの料理です。この「野菜」と「じゃがいも」と分けているところがドイツっぽいと思いました。ジャガイモって野菜の一つではありますが、完全に野菜に入りきらないポジションにありますね。現在の野菜などの統計をたまに見ても、ジャガイモは野菜と分けられていることがよくあります。 1. 野菜の下ごしらえのルール  野菜はすべてできるだけ新鮮なものを使い、慎重に選んできれいにし、隅々までよく洗います。その際、栄養となる塩分が浸出しないよう、

        100年前のレシピ本を訳してみます13- C章 野菜とジャガイモの料理 II. キノコ料理

          100年前のレシピ本を訳してみます11-B章 スープ III. ワインとビールで作るスープ、IV.牛乳、水で作るスープ、V.果物のスープ、VI.冷製スープ

          スープを早く終えたいのでがんばりました。今回はワイン、ビールを使ったスープ、牛乳、水で作るスープ、果物のスープ、冷製スープのレシピです。 日本でも鍋物にお酒を入れたりすることがありますが、汁物にお酒をメインの材料として使うことはないのではないでしょうか。 材料や味付けにも驚くかもしれません。では。 III. ワインとビールで作るスープ68.白ワインのスープ  上質の小麦粉大さじ2杯と新鮮な卵黄6個を、白ワイン1本あるいはリンゴワイン半分と水半分で溶き、適量の砂糖、種を取っ

          100年前のレシピ本を訳してみます11-B章 スープ III. ワインとビールで作るスープ、IV.牛乳、水で作るスープ、V.果物のスープ、VI.冷製スープ

          100年前のレシピ本を訳してみます10-B章 スープ II. 野菜のスープ

          やっとまた続きができます。番号がややこしいですが、前回までの肉類のスープが終わり、野菜のスープにはいりました。では。 37.肉団子入り野菜のスープ  このスープは、新鮮で固くなりかけたエンドウ豆をよくかき混ぜ濾して作れますが、同様に若いコールラビ、カリフラワー、ジャガイモも使うことができます。バターか油を熱し、細かい小麦粉大さじ山盛り2杯を入れて黄色く炒め、必要量の湯を注ぎ、沸騰したらスープ皿山盛りのエンドウ豆と小さく切った根菜、またはコールラビのスライス2枚と塩を入れ、

          100年前のレシピ本を訳してみます10-B章 スープ II. 野菜のスープ

          ラインラント地方のりんご

          ドイツ人が最も消費する果物はりんごです。  ドイツ人一人当たりの消費量は年間21.9 kg(2019/20年)で、日本人の12.28㎏に比べると2倍近くになります。  品種も多く、ドイツ国内で現在およそ2,000種ほどあるとされていますが、一般に流通しているものは少なく、30~40品種ほどと言われます。  りんごはドイツ全国で栽培されていますが、ヘッセン州のフランクフルトはアップルワインが有名で、独自のアップルワインの文化があります。なので私もりんごと言えばその辺りが生産量

          ラインラント地方のりんご

          パスポートを無くしたけど次の日戻ってきた話

           記憶が薄れないうちに書いておこうかな、とふと思いまして。  九州で人気パン店を経営されているI社長ご夫妻とは今年で9年くらいのお付き合いになる。2012年に私が企画したドイツ視察旅行にご参加いただいてから、ご夫妻だけのプライベート旅行の企画やアテンドをご依頼いただくようになった。  とても気さくでご親切なご夫妻で、これまで4回ほどヨーロッパ各地をご案内させていただき、私も一緒に楽しませてもらった。  ハプニングが起こることも時々あり、ストラスブールではレストランで料理が出

          パスポートを無くしたけど次の日戻ってきた話

          100年前の料理本を訳してみます8-A章一般的な調理技術の説明

          次の項に入ります。「A.一般的な調理技術の説明」としておきます。「A.」とありますが、ここから本文に入り、アルファベット順に章が進んでいきます。  この項では、日常生活でよく使う調味料などの作り方や、技術のコツを紹介しています。小人が台所で料理をしている絵が可愛いですね。 1.砂糖の精製法  砂糖を冷水に入れ、スチールアルミニウム製のあまり小さすぎない大きさの鍋に入れ、弱火で溶かします。クリアになるまで泡を立たせます。手早く完全にクリアにしたければ、軽く泡立てた卵白を入れ

          100年前の料理本を訳してみます8-A章一般的な調理技術の説明

          100年前の料理本を訳してみます7-基礎事項についての前置き

          さて、では、本文に入っていきます。 基礎事項についての前置き 台所と貯蔵室1.かまど(こんろ)  家族が日々の義務を果たし、仕事を行う上で欠かせない精神の安楽や勇気、力を得るために必要な肉体の健康を守る主婦の城、それが台所。「人類のための実験室」と有名な経済学者フォイトが名付けた通りです。昨今の台所は私たちの祖母の時代とは天と地ほども異なり、実用的な機械や性能のいいこんろを備えた、料理に欠かせない道具が完璧に揃っています。   ごく単純な作りの暖炉から史上最初のかまど

          100年前の料理本を訳してみます7-基礎事項についての前置き

          100年前の料理本を訳してみます6-手引き

          ということで索引は最後にし、次へ進みます。 次は「手引き」です。この本がどのような役割を果たす目的で書かれているのか、どのような読者を対象をしているのか、この本に託す思いが書かれています。 はじめに  家族の幸せには、どんな美しい芸術よりも料理の芸術(技術)が大切であり、この2つは長いこと義理の姉妹のように捉えられ、扱われてきました。料理技術は最近また見つめなおされてきています。裕福な家庭の主婦でも、自分にふさわしくないからと、簡単にすべての家事を使用人に任せたりはしない

          100年前の料理本を訳してみます6-手引き

          100年前の料理本を訳してみます5-索引(後回し)

          目次がきたら、さあ次はとうとうレシピだ! ・・・と思いきや、次はなんと「索引」! 索引て巻末にあるのが一般的と思っていたんですが、この当時はそうでもなかったんでしょうか。あるいはこの本はその方が使い勝手がよい、などと判断した結果なのでしょうか。 目次を見てお分かりの通り、レシピがたくさんあるのですが、索引はなんと合計36ページ!!ぎゃー! ですがそもそも中身を知らないと、レシピ名を訳しづらいので、ちょっと後回しにさせていただけますでしょうか? レシピを一つ訳したら、それを索引

          100年前の料理本を訳してみます5-索引(後回し)

          100年前の料理本を訳してみます4-目次

           さあ、ここから目次です。1ページ目。 アルファベット順索引 ・・・・・・・・・・・・・・・・VII(7)~XXXVI(16) はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1~2 基礎事項についての説明  1.かまど(レンジ)  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3~7  2.調理器具とそれらの洗浄 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7~10  3.納戸(貯蔵庫)  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10~12  4.買い物と備蓄の保存

          100年前の料理本を訳してみます4-目次

          100年前の料理本を訳してみます3-序章に出てきた会社について

          序章に出てきた会社や商品をひろってみます。 まずは、この改訂版を手掛けたルイーゼ・ホレ(Luise Holle)さんですが、1864年ブレーマーハーフェン生まれ。1892年の第32版から1942年までダヴィーディス料理本の編集を手掛け、病人食、高級な料理、残り物の利用法、家計のやり繰りといった項目や、料理の盛り付けや品書きの提案もしており、料理本の枠を超えた内容になっていったそうです。(ウィキペディアより) 後々出て来ますが、確かにナプキンの折り方、なども紹介されていて面白い

          100年前の料理本を訳してみます3-序章に出てきた会社について

          100年前の料理本を訳してみます2-イントロ

           では早速中を見てみる。  まず見返し。壁紙みたいなデザイン。よく見ると食材がモチーフになってる。魚、エビ(ザリガニ?)、シカ、鳥。  ここをめくると標題紙。 上から ヘンリエッテ・ダヴィーディス=ホレ 実用的料理本 日常のおよび洗練された料理のための 特に料理初心者と家庭の主婦となる方々向け 改訂および出版 ルイーゼ・ホレ 第48版 カラー図8枚と解説用図解51部付き ビーレフェルト、ライプツィヒ 1915年 フェルハーゲン・ウント・クラーズィング出版  次に前

          100年前の料理本を訳してみます2-イントロ

          100年前の料理本を訳してみます1ーはじめに

           数年前、ドイツの小さな町のアンティークショップで見つけた古い料理本。調べてみると、この本の初版は1845年に出版され、その後76度も版を重ね、合計4万部以上を売り上げたという当時ドイツで大人気の料理本であることがわかった。  この本を買ったすぐ後に、前日同じ宿に宿泊していたご夫婦に出くわし、この本を見せると2人ともとても懐かしがっていた。昔はどの家庭にもあったようだ。  作者の名前はヘンリエッテ・ダヴィーディス(Henriette Davidis)、本のタイトルは『日常的か

          100年前の料理本を訳してみます1ーはじめに