100年前の料理本を訳してみます18(A-1)
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100年前の料理本を訳してみます18(A-1)

次の項に入ります。「A.一般的な調理技術の説明」としておきます。全部で61個あるので、20個ずつ投稿していきます。「A.」とありますが、ここから本文に入り、アルファベット順に章が進んでいきます。
 この項では、日常生活でよく使う調味料などの作り方や、技術のコツを紹介しています。小人が台所で料理をしている絵が可愛いですね。
 
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1.砂糖の精製法 砂糖を冷水に入れ、スチールアルミニウム製のあまり小さすぎない大きさの鍋に入れ、弱火で溶かします。クリアになるまで泡を立たせます。手早く完全にクリアにしたければ、軽く泡立てた卵白を入れ、砂糖の泡や不純物を吸着させます。

2.卵白の泡立て方 焼き菓子やデザートに不可欠な固く泡立てた卵白は、新鮮でよく冷やした卵白でないとできません。涼しい部屋で、夏は塩を入れた冷水に容器を当てながら泡立て器で泡立てます。ナイフで切れるようになれば完成です。塩または砂糖をひとつまみ加えると早く泡立ちます。できた卵白は時間が経つと水っぽくなるため、すぐに使います。
  ミルクやビールのスープに入れるクローセ(団子)、そしていろいろなクリームやケーキに使う卵白は、最後に擦った砂糖を少し加えます。不慣れな若い主婦の方がしくじって、卵白に卵黄が少々混じってしまっても、落胆しないでください。少しくらい卵黄が混じっても泡立ちに変わりはありません。うまくいかないというのは料理に関する愚かな迷信です。これも幾度となく議論されていますが、ニワトリとアヒルの卵を一緒に泡立てるのも問題ありません。

3.生クリームの泡立て方 24時間以上経っていない新鮮な濃くて甘いクリームだけが、数時間しっかり冷やしておけば、角が立つようにしっかり泡立てることができます。生クリームに甘みをつける場合は、クリームを食べる直前に粉糖を少し加え混ぜます。ークリームの質のせいでしっかり泡立たない時は、冷やして固まる寸前の溶かしたゼラチンを、強くかき混ぜながらクリームに混ぜ込みます。

4.ルーの作り方 卵一個くらいのバターを鍋に入れ、熱します。小麦粉をスプーン一杯加え、ぽろぽろになり小麦粉が黄色くなるまで混ぜます。注ぎ入れる液体はできるだけ冷やしたものを使うと、ダマにならず滑らかなルーができます。

5.小麦粉を茶色に炒める方法 卵一個くらいのバターを鍋に入れて火にかけ、茶色くなるまで混ぜます。小麦粉を加え、全体に茶色くなるまで引き続きかき混ぜます。焦げ臭くなってはいけませんので、小麦粉を炒める時は弱火にします。
  茶色い小麦粉のスープなどいくつかの料理には、バターを使わずに小麦粉を茶色に炒めておき、使う時まで保存できます。鉄のフライパンを火にかけて温め、小麦粉を薄く茶色づくまで炒めます。あるいは、粉をケーキ用の天板に乗せ、オーブンで好みの色になるまでローストする方法はよりお勧めです。

6.ジャガイモのでんぷん粉の正しい使い方 焼き汁のソースにとろみをつけるには、小麦粉よりもジャガイモのでんぷん粉の方が向いていることは実証済です。果物の蒸し煮や野菜にとろみをつけるのにも便利ですが、泡立てたソースやふんわりさせる料理、アーモンドのゼリー(ブラン・マンジェ)には泡が立ちにくくなるので向いていません。より上手に使うには、ジャガイモのでんぷん粉を使う前に冷水で溶いておきます。固める力が強いので、使う量は少な目にします。焼き汁のソースはスプーン半分、果物にはその半分、野菜にはナイフの先1~2杯ほどで十分です。

7.米粉とトウモロコシ粉 最新の製粉機を備えている米やトウモロコシの製粉工場で良質の商品がつくられている今の時代、昔行われていたように米粉を個人で作るのは、無駄な時間の浪費です。
  良質の米粉は、ホフマンス・シュパイゼメールというブランドのものが購入できます。より人気があるのはトウモロコシ粉で、最も有名で優れているのはモンダミンです。ハレ市の会社エガートのツェアニンのようなドイツ産のトウモロコシ粉もお勧めですが、まだアメリカ産のものを負かすほどではありません。
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ホフマン社の商品パッケージ画像がありました。こちらをクリックしてください。モンダミン、ツェアニンは既出のため注釈は省きます。
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8.米の洗い方、炊き方 殻がついている米粒は除き、水の中で両手で米粒をこすり合わせるようにして洗い、洗った水を捨てたら新たに冷水を入れて火にかけます。沸騰する前に火からおろしてザルで水分を切ります。この方法は、病人食やミルクかゆを作る時は特に必要です。しばしば米に含まれ、牛乳を凝固させるあらゆる酸が、この方法により除かれます。

9.サゴ澱粉の下ごしらえ 不純物を取り除き、サゴパールを洗って冷水に入れて火にかけ、温まったら濾す、を2回繰り返します。その後料理の出汁に入れて火を通します。この方法は本物のサゴヤシで作られているものには適用できますが、ジャガイモのでんぷんで行うと溶けて流れ出てしまいますので、洗ったらそのまま調理に使いましょう。

10.アロイロナートの使い方 「アロイロナート」というのは粉のようなパウダーで、成分は80%が小麦粉のタンパク質です。安価なので肉や卵の代用になり、消化のよさや栄養価も劣りませんので好都合です。スープにとろみをつけたい時や粉物、ジャガイモの料理に特に向いています。大さじ1杯のアロイロナートに対し、小麦粉大さじ3杯か同量の粉を含む食材がちょうどよい割合でしょう。味や質感への作用においては卵の代用にはなりませんが、似たようなものは得られるでしょう。-アロイロナートは湿気を避けて保存すると粉同様に長持します。
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アロイロナートは1880年に、ヴェストファーレン州ハム市のでんぷん製造会社フントハウゼンのオーナーが開発し、特許を取りました。当時は健康食品のように見なされていたようです。これを使ったラスクの缶の画像がこちらにあります。
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11.バターをふんわり攪拌する バターがしっかり加塩されていたら、使う前に洗い、寒い季節は温かいオーブンのそばや沸かしたお湯の上にかざして柔らかくします。たまたまチーズ臭のあるバターを使わざるを得ない場合は、ゆっくり溶かして沈殿物を捨てます。その後、木べらでバターが柔らかくふんわり泡立つまでかき混ぜます。

12.焦がしバター バターを鉄鍋に入れて弱火にかけ、ゆっくりと茶色くなるまで混ぜながら火を通します。バターはまず溶け、その後気泡が立ってきて、段々茶色くなります。
  バターに加えて茶色くしたい食材は、まずバターが茶色くなってから入れます。でないと色づきがよくありません。ただその時、焦げ臭くならないように気を付けましょう。

13.焼き菓子用の澄ましバターまたはバターオイル バターを鉄鍋に入れて弱火にかけ、透き通るまで溶かします。2時間ほどを要します。泡が立ってきますが、これは取り除かなくても部分的に底へ沈み塩分と結合します。バターを加熱する時音がしますが、しなくなったら終了です。鍋を火からおろして10分ほど置いておき、泡がまだ残っていればすくい取り、きれいに洗った石の器へ上澄みバターを入れます。底の沈殿物は決して混ざらないよう気を付けましょう。冷めたら紙を表面に敷き、その上に指の太さほどの高さの塩を敷き詰めます。そのまま涼しく通気のある場所で保存します。
  ドイツ南部では冬に使う乳脂肪(バターオイル)を作ります。バターをゆっくり溶かし、それを涼しいところで再度冷やし固めます。翌日以降、脂肪の層を取り、ゆっくり加熱しながら混ぜ、泡が立ったら丁寧にすくい取ります。大きな泡が立たなくなったら不純物はなくなった印です。きめの細かい麻布で濾して小さな炻器の鍋に入れ、涼しいところで保管します。

14.ザリガニバター ザリガニ20匹を水で洗い、沸騰したお湯で塩を入れずに5分茹でます。茹でたザリガニは身を取り出し、殻をバター200gと一緒に乳鉢で細かくすりつぶします。これを火にかけ、全体が赤く色付き、泡が立ってくるまで混ぜます。最後に水を1リットル加えて煮立て、細かい目のふるいで濾し、深い器に入れます。完全に冷めたらバターを取り出して使えます。
  ザリガニの味が浸みこんだ茹で汁は、スープに使えます。ザリガニバターに加える時、水でなくブイヨン、あるいは水にリービッヒの肉エキスを入れたものを使えばなおさらスープに適しています。ザリガニのしっぽはスープやフリカッセに使えます。新鮮なザリガニが手に入らない地域、あるいは自分で作るには時間がかかり過ぎる場合は、ためらわずに市販のザリガニバターを購入しましょう。定評のあるブランドなら大丈夫です。ベルリンのザリガニ加工品メーカー「Michaschen」、ハンブルクの「Triumph」、そしてアッペル社のザリガニバターは、私も使って良さを確信しています。
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ベルリンのMichaschenは見つかりませんでした。Triumphも今はないようです。ブレーメンにあるとする画像がありました、こちらです。ある年の10月の価格表です。ハンブルクからブレーメンへ移転したのでしょうか。あるいは逆の可能性もありますね。
アッペル(Appel)は現在まで続く缶詰など保存食品メーカーです。1879年にハノーファーで創業しました。ただ現在はザリガニバターは作っていないようです。
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15.アンチョビバター
 良質のバターを1/2㎏ふんわり攪拌し、この項の37番(アンチョビの作り方)に従って作ったアンチョビを1/2㎏みじん切りにして加え、濾して石の器に入れ気温の低いところに保管します。
アンチョビバターは白パンのスライスを焼いて塗る、またはソースやラグー、フリカッセに使えます。後者の場合、アンチョビバターは加熱してはいけないので食べる時に添えます。アンチョビバターはあまり長持ちしません。

16.パセリバター バターオイルを熱し、みじん切りのパセリを加えて混ぜ合わせます。冬の間中保存ができます。

17.執事のバター バター125gに、塩とカイエンペッパーをそれぞれナイフの先ほど、大さじ2杯のパセリのみじん切り、レモン汁1個分を加え混ぜ、濾して、焼いた肉や魚に添えます。パセリの代わりに、チャービル、エストラゴン、マジョラム、ミツバグサも湯がいてみじん切りにして使えます。このバターは煮たり焼いたりしたラム肉にも合います。
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ミツバグサは日本ではあまりなじみがないハーブかもですね。ドイツ語ではPimpinelleといい、料理によく使われます。こんな花です。

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                Krzysztof Ziarnek, Kenraiz, CC BY-SA 4.0
で、このバターは名前の由来が分かりませんが、フランスのbeurre maître d'hôtelが語源かもしれません。レストランの給仕長が客に作っていたとウィキペディアにありました。
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18.エピキュリアン(快楽主義者)・バター トーストしたスライスパンに塗ります。骨を取り除いたカタクチイワシ、小さなキュウリのピクルス4本、チャイブ少々、エストラゴンの葉数枚をすべて細かくみじん切りにし、固ゆで卵の黄身を濾し、バター125gをそれらと混ぜ合わせ、マスタード小さじ1を加えて、全体を滑らかに濾します。 
 
19.妖精のバター(イギリスのレシピ) 固ゆで卵の黄身を3個分、砂糖スプーン2杯、オレンジブラッサムウォータースプーン1杯、良質のクリームバター125gを合わせて濾し、パンに塗ったり、イギリスのケーキを作るのに使います。ー砂糖とオレンジブラッサムウォーターの代わりに、砕いたヘーゼルナッツまたはすりつぶしたアーモンドを125gバターと混ぜ合わせ、レモン汁を少し加えてもいいです。

20.キュウリバター、トマトバター 美味しく苦みの少ないキュウリの皮を剥いてすりおろし、キュウリと同量のバターはふんわり攪拌します。キュウリとバターを混ぜ合わせ、エストラゴン、パセリのみじん切り、塩、コショウ、卵黄1個、サワークリームをスプーン数杯加え混ぜ、白パンのトーストに塗ります。-キュウリの代わりにトマトを使ってもよいです。その場合サワークリームは省きます。ゼンメル(小型パン)を半分に切ってこのバターを塗り、固ゆで卵のみじん切りとケッパーをトッピングします。 
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次回は21~40までを投稿します。では

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