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【#Real Voice 2022】 「学んだ事」 2年・竹中豪

「今日竹中ゲバなしで」
11月2日水曜日の練習、5日に勝たなければ降格が決まってしまう流通経済大学戦のメンバーを決める大事なゲバ(紅白戦)で監督から言われた一言だった。なぜこんな事になってしまったのか。当時の気持ち振り返りながら書いていこうと思う。

今年は1月26日にトレーニングが開始されGKは怪我やキャンプ、ドイツなどに行っていて人数が少なかった為、AB関係なく活動していた。去年は手首を骨折し、半年ぐらいサッカーができず唯一出場した新人戦は逆転負けした散々な年だったので今年こそはと意気込んでトレーニングに望んだ。その甲斐あってか、身体が思うように動き自分でも驚くぐらい調子が良く初めてAのカテゴリーに加わる事ができ、Aになってからも調子が落ちることはなかった。
周りからも「関東登録はいけるでしょ」と言われ順調だと思われた矢先、事件は起きた。

始動から2回目のゲバでスライディングをくらい、足首はランニングシューズをスリッパみたいに履かないと履けないぐらいに腫れて全治1ヶ月半と診断された。診断された時はリハビリしてすぐに治せばAに戻れると思っていたが、ドイツ帰りのうぶ(4年・生方聖己)が調子を上げていつの間にか自分の居場所はなくなっていた。序列は1番下に落ち、Bチームスタート。最悪だった。メンタルも身体のコンディションもズタズタだった。それでも2週間後にFC(社会人リーグ)開幕戦が控えていたので、そこにモチベーションを合わせて練習に取り組んだ。自分と競っていたキーパーは練習にはあまり来れていなく、開幕戦の週のゲバにも出ていなかったので自分が出ると思っていたが、当日試合に出たのは自分ではなかった。理由は去年FCやIリーグに出ていて実績を積んでいたため、安心感があったからという理由でこれを聞いた時、とてつもなく悔しかった。これまでのサッカー人生で試合に出ることが出来ずにここまで悔しくて感情を表に出したのは初めてだった。結局開幕戦は4-0で勝利を収め、自分もいろんな感情を押し殺してベンチから声を出していた。試合後GKコーチの内田さんと話した事で自分の考えを整理でき次の週からは気持ちを切り替えて練習に取り組んだ事で、次の三菱養和戦でFC公式戦デビューを果たした。

デビュー戦はかなり緊張したが2-1で勝利し、自分としても良いセーブがあったので自信もついた。ここから数試合は継続して試合に出させてもらう事ができ、勝利を重ねた事でFCリーグからIリーグに主戦場を移す事になりカテゴリーもAに戻る事が出来た。
Iリーグの試合も頼れる4年生に助けられながらなんとか勝つ事ができ、中でも完全アウェーだった中央大学戦は自分が90分出場し、無失点で勝利した1番気持ち良かった試合だった。



その後は順調に試合に勝ち続け、当初怪我で登録を逃した関東リーグに追加登録してもらえた。ほっとしたしめちゃくちゃ嬉しかった。怪我してから今まで自分のやってきた事は間違っていなかったと証明できたし、自分が試合に出て勝利を重ねられた充実感や達成感も凄く感じられた。今思えばこの充実感や達成感が現状の結果を招いてしまったのではないかと思っている。

登録されてからは今年中に関東1部リーグでプレーする事を目標とし取り組んでいたが、なかなか上手くいかなかった。チームも負けているし失点も多いからいずれ自分にチャンスが回ってくると思い続けながら練習をしていた。しかし現実は甘くなかった。現状維持どころか調子を上げてきた他のGKに序列を抜かれて日に日にメンタルも不安定になっていった。
そして文の冒頭にある11月2日のゲバ(紅白戦)を迎えた。全部で3本あるうちの1本目が終わりいつものようにキーパーグローブをはめ直しピッチに入ろうとした時、「今日竹中ゲバなしで」と一言言われた。練習が終わってからコーチに他のGKをサポートして欲しい的な事を言われたが、その時は受け入れられなかった。家に帰ってから冷静に自分の立ち位置や状況を整理し、降格しなければ来年まだ関東リーグ1部で試合に出るという目標を達成出来るという考えに切り替えて次の日の練習からサポートに徹した。しかし流通経済大学戦は0-2で敗戦し降格が決まってしまった。戦力にもなれない自分が情けなかった。そこから練習に対してのモチベーションがなくプレーも不安定でどうしていいか分からない状況が何日か続き、内田さんやめぐ(4年・平田周)、うぶ(4年・生方聖己)と話していく中で1つの答えに辿り着いた。

「他人と比べずに、過去の自分と比べる」

ありきたりでシンプルだが自分の2022シーズンで学んだ事を象徴する言葉だと思ってる。今シーズンは怪我であったり周囲の考え方などに不満を持つ事が多く、「あいつより止めれるのに」とか「あいつ監督に好かれすぎだろ」とか思っていたし、他の選手のミスや失点に敏感になっていた。だけど結局愚痴や不満、ミスを指摘したり口に出したところで心は少しスッキリするものの結果が変わる事はなく、試合に出してもらえるわけでもない。
まず置かれた環境でコーチや周りの選手関係なく昨日の自分と比べてその日ベストなプレーが出来たかを毎日考えて過ごす事が最適解だと2022シーズンを通して学んだ。
この学びを来年の関東1部昇格に必ず繋げたい。




追記
この2年間、何回飯を食べて帰ったか数えられないぐらい一緒にいためぐ(4年・平田周)と軽く千回以上は自主練して無駄話を4年間分ぐらい喋ったうぶ(4年・生方聖己)には本当に感謝してます。これからもお世話になります。

◇竹中豪◇
学年:2年
学部:人間科学部
前所属チーム:FC町田ゼルビアユース


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