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【#Real Voice 2023】 「マネージャーを語る。」 4年・佐藤慧一

「ありがとう」




何回言ってもらえただろう。




マネージャーに憧れて、マネージャーの道を歩き始めたあの日から。




練習中にボトルを渡した時。
試合前アップでビブスを渡した時。
総理大臣杯でみんなの練習着を洗濯しに行った時。
横断幕を作った時。
早慶戦の試合後。




数え切れないくらい、本当に贅沢なくらい。


この4年間でたくさんの「ありがとう」をもらった。




「ありがとう」の数は、私が誰かに活力を与えることができた回数。



「ありがとう」の数は、私が誰かから活力をもらった回数。



「ありがとう」は、私が成長できた証。




私は、この組織にとって必要なマネージャーになれただろうか。



憧れたあの人を超えるマネージャーになれただろうか。










こんにちは。
note運営の粋な計らいで、本日22歳の誕生日に部員ブログを担当させていただきます。
佐藤慧一です。お祝いメッセージ待ってます。


2023年に入ってから、就活の影響で「マネージャーになった理由」を聞かれる機会が多くなりました。
端的に、伝わりやすくしなきゃと思って


「日本一の景色を見たいから」
「早慶戦の熱狂を自分の手で創ってみたいから」


そんな風に答える機会が多かったです。



でも、改めてマネージャーになった理由を振り返ると、それらは「マネージャーとして成し遂げたいこと」であって、理由とは言い難いです。



私がマネージャーになった理由は


マネージャーという存在に憧れたから。


もっと正確に言うと、高校3年生の冬、尊敬していたあの子がマネージャーとして全国の舞台で戦っている姿がかっこいいと思ってしまったから。


選手のために、何ができるかを考え続け、どんな苦労をも厭わずに行動し続ける。
堂々としたその姿を超えたいと思ってしまったから。


感覚としては、
「メッシに憧れてサッカーを始める」
「大谷翔平に憧れて野球を始める」
そんな感じ。


マネージャーになりたいと思って、「相談したいことがある」と中学からの親友と大橋(4年・大橋優貴 / 早稲田実業学校高等部)に唐突にLINEを送り、渋谷ら辺のマックに呼び出したことをよく覚えています。
今思うと、こんな突飛な話をよく真面目な顔をして聞いてくれたものです。
ありがとう。





そんなこんなで始まったマネージャー生活も、同期とサッカーができるのも、残り1ヶ月を切りました。
憧れを憧れで終わらせないために、試行錯誤、紆余曲折の繰り返しだった4年間。
酸いも甘いも、たくさんの経験をしてきました。





これから語るのは、この4年間で大切にしてきた考え方、行動軸。監督や先輩方から学んだ大切な視点。


題して


「佐藤慧一のマネージャー論」





「あるべき論」を語るつもりはありません。
成功者として語るつもりもありません。



全国のマネージャーの皆さんには「なんだこの烏滸がましいやつは」と思われてしまうかもしれません。ご了承ください。
逆に少しでも共感できる部分があったら、ぜひ教えてください。


先に言っておきます。
文章、長くなってしまいました。許してください。





マネージャーは主役じゃなくていい


「選手たちが安心して、力強くサッカーができる環境を作る」


サッカーの組織における、マネージャーの役割。


練習中や試合中はもちろん、公式戦や早慶戦の運営、広報、スポンサー集めなど、どんな場面においても、役割は変わらない。




選手あってこそのマネージャー。
主役は選手。
選手のために何ができるか。それを問い続けるのがマネージャー。
そう、私は、スポットライトを浴びるためにマネージャーをやっているわけではない。



だから、誰かに自分の貢献度を認められないとやる気が出ないなんて思ったことは一度もない。
関東リーグのベンチに入れないと不満だなんて思ったことも一度もない。


どんな場所、どんな立場でも、マネージャー・佐藤慧一がチームに必要だと思ってもらえるまで、試行錯誤し続けるのだ。




だからこそ、「ありがとう」は尊い。
自分が誰かに貢献できた証。
マネージャーとして一つ成長できた証。
明日も頑張ろうと思える活力だ。




以前、Iリーグの選手に


「慧一がベンチに入ると、今日は本気で勝ちに来てるんだなって感じがする」


と言ってもらったことがある。



これ以上ない褒め言葉だ。




「チームのため」を表現し続け、それを見てくれていた誰かが

この人と仕事がしたい
この人にベンチに入ってほしい

そんな風に思ってくれたら、マネージャーとしてこの上なく幸せなのである。




だから私は、最後まで選手ファーストの気持ちを絶対に忘れない。
マネージャーという肩書きがなくなるその日まで、縁の下の力持ちであり続けよう。



逆算して考える


練習前、コーチから練習メニューが伝えられる。
トレーナーがアップのマーカーを置き始める。
空いている場所にマネージャーが次のメニューで使うマーカーを配置する。


こんな風に、「流れ」で準備を始めると、練習のオーガナイズは上手くいかないことが多くなる。
なぜなら、「次はどこに何を置けばいいだろう」「自分は今何をすればいいだろう」と練習中に迷いが生じやすくなるからだ。


だから、逆算が必要なのだ。


例えば、平日を想定しよう。

Aチームの練習が16:00から、Bチームが17:00から、女子部が18:30から。
この時、A、Bそれぞれのカテゴリーで練習前に私が意識することは、練習の終わり方。

最終的にグラウンドのどこを使って、どこが空けば次のカテゴリーの練習がスムーズに始められるか。これを考える。
そして、そこから1つずつ練習メニューを遡り、それぞれグラウンドのどこで練習ができれば選手の移動距離が少なくなり、一貫して集中したトレーニングになるか。
そのためには、アップはどこで始めてもらった方が良いのか。
ここまで考えて、トレーナーと相談して、アップ場所を決めてもらう。
そこから初めて、練習で使うマーカーやコーンの配置に移る。
同時に、ボトルの水を入れるタイミングや副審に出るタイミングも考えておければベストだ。


練習中に焦ることは少なくなるし、判断も、作業もスピードが格段に上がる。
余裕ができると、視野が広くなり、
「もっとこうすればよかった」
「こんなサポートもできそう」
新しい発見と反省が生まれる。



そう、逆算はとても役に立つ。



早慶戦の広報や集客企画にも同じことが言える。
スタジアムを満員にして熱狂的な一日を創りたい。
そのために、早大生にアプローチしたい。
早大生は何に興味があって、普段どんな想いで活動しているのか。
彼らに刺さる発信、企画内容とは何か。
どのタイミングで、何回アプローチできれば早慶戦に興味を持ってくれるか。
考えて、調べて、作戦を練りまくる。

ゴールから遡ることで、初めて行動を起こすべきタイミングを捉えることができる。




逆算は、私の思考をクリアにしてくれる大切なプロセスなのだ。




自己満足をなくす


逆算のおかげで作業効率は良くなった。
だからこそ、何よりも大切にするのはサポート・アクションの質。
決して、自己満足になってはいけない。




「今週の相手は日体大だから」紅白戦のスタメンのビブスは橙、サブ組は白を使う。

「試合中、選手が白線の外でボールをトラップすることはないから」パス&コントロールの練習で置くコーンと白線の間は、パスが少しずれてもトラップが白線の内側になるように、ある程度空ける。

「キーパー練習でサイド際にロングボールを蹴りたいかもしれないから」なるべくマーカーやコーンはグラウンドの中央に寄せる。

「サークルの人たちにも早慶戦に興味を持って欲しいから」試合前にパフォサーが演技できる場所、時間を確保できないか検討する。




そう、必要なのは、強い「こだわり」だ。
最高品質を生み出すための「こだわり」


そして、「こだわり」の設定は、インプットの量と質で大きく変わる。


私が選手だったら、集客される側だったら、と考えるのもインプット。
コーチに練習の意図を聞いたり、選手の声を聞くのもインプット。
他大のマネの話を聞いたり、プロの試合を見学するのもインプット。
早稲田祭や他部活の早慶戦からヒントを見つけるのも、全てインプットだ。


インプットが濃密になるほど、「こだわり」という名のアウトプットも濃密になる。


「こだわり」をなくしたら、私はただのお手伝いさんだ。
きっと誰にでも取って代われる存在になってしまう。
だから、こだわる。






ただ、この「こだわり」を周りと共有するには、相当な気力が必要だ。


私たちの代にはマネージャーが4人いるが、1年の頃はお互いの「こだわり」についてぶつかり合って、同期からマネージャー不仲問題を心配されたことすらある。

先輩方から学んだア式クオリティの「こだわり」
後輩に伝えようとしてもなかなか伝わらない。

いつまで経ってもパス&コン練習のコーンが白線ギリギリに置いてあったり、ビブスの色が適当だったり。
理解してもらえないことに失望して、でも伝わっていないのは間違いなく自分のせいで、そんな自分にイライラして。
なんて時期もあった。

もしかしたら、先輩方にも同じような想いをさせていたのかもしれないと反省した。



それでも、時間はかかるかもしれないけど、「こだわり」を理解してもらえるようになると、マネージャーチームとしてのアクションの質は高くなる。

お互いの「こだわり」を理解し、尊重し、相手に合わせて行動を決められるようになる。
今となっては、同期マネは言葉を交わさずとも意思疎通できるレベルに達していると思う。


ぶつかることを恐れずに、「こだわり」を伝え合う。
今後の人生でも役立つであろう、大事な教訓を得ることができた。



自分が仕事を背負い込むことは正義ではない


独りで何でも完璧にこなそうとすると、パンクして潰れてしまう。
自分を追い詰めて、ネガティブな感情を抱くことが増える。
失敗が増える。
選手に悪影響を及ぼしかねない。最悪だ。



だから、自分が仕事を背負い込むことは正義ではない。




幸いなことに、私は超シゴデキ仲間に恵まれた。
英吉、怜央、功、(調子に乗るから認めたくないけど)山田、慶應の健翔、勝又、はなちゃん、早慶の先輩方。

信じて頼れる彼らと、お互いに任せられることは任せ合う。
この信頼関係の構築こそ、私が主体的に動ける秘訣だ。



自分が任された仕事、自分が始めた挑戦には責任を持って取り組む。
アイデアを構築して、時には仲間を巻き込んで、アクションに繋げる。
もちろん、仲間に助けを求められた時は、精一杯応える。

お互いにこの認識があるだけで、それぞれが最大限パワーを発揮できる。




「主体性=責任+アイデア」


外池さん(ア式蹴球部前監督)から学んだ大切な教訓。




何でもかんでもやってみることは主体性とは言わない。
責任もアイデアもなしに仕事を引き受けても労力がもったいない。


練習中も、試合中も、それ以外の時間も。
自分/仲間の強み、自分/仲間のキャパ、自分/仲間の夢、チーム状況、あらゆる情報から総合的に判断して、自分のアクションを決定するのだ。


最も大切なのは、心くばり


ここまで理屈っぽく語ってきた。
だけど、理屈だけで動いているわけではない。
最初こそ理屈を意識していたが、今では理屈なんていちいち意識しなくても体は勝手に動く。




それは、結局のところ、

「この人たちを支えたい」

という想いが、脳より先に私の体を動かしているからだ。




この想いは、無条件に芽生えたわけではない。
仲間のことを知ろうとしたからこそ、芽生えたのだ。

どんな想いを持ってア式に来たのか。
夢を叶えるために、どんな努力をしているのか。
どんな葛藤があるのか。
練習や試合にどんな姿勢で臨んでいるのか。
オフの日は何をして過ごすのか。
仲間のことをどれくらい大切に想っているか。



部員ブログを読んだだけでは捉えきれない。
観察して、コミュニケーションを取って、時には他愛もない話で盛り上がって。



彼らのことを知ろうとして、パーソナリティに触れることができた。
本気でサッカーに向き合う彼らを応援したいと思えた。
だから、体が勝手に動く。




あ、今ボトル渡したら喜ぶかな。
上着脱ぐ仕草見えたからすぐ回収しに行こう。



観察していると、気づく量も増える。
頼まれなくても、サポートしたくなる。




仲間のことを知る姿勢。
仲間のために、仲間の期待を超える行動を起こす力。




「心くばり」こそ、マネージャーにとって最も大切な力だと私は考える。




最後に


憧れに向き合って試行錯誤してきた4年間。
途中からは、憧れがどうこうなんて忘れてしまうほど、ア式のみんなのために頑張ろうと思うようになっていました。


今、こんな風に自分の軸や信念を持てるようになったのも、自信を持って発信できるようになったのも、マネージャー・佐藤慧一を育て、支え、頼ってくれた人のおかげでしかありません。


最後に、今までたくさんお世話になった方々への感謝を述べて、締めたいと思います。





拓矢くん、玄記くん、林くん、歩希さん

みなさんが作り上げた「ア式基準」は、とても偉大なものだったんだなぁと4年生になってから思い知らされました。
ピッチ内もピッチ外も、みなさんの背中を見て学んで、自分にできることは何かたくさん考えさせられて、大きく成長させてもらいました。
早慶戦、結局自分たちの代では大きな舞台に戻すことはできませんでしたが、みなさんから受け継いだ想いやこだわりは、きっと公平や真生也が100周年で繋いでくれると思います。

たくさん迷惑をかけたと思いますが、次会った時にはごめんなさいとありがとうを精一杯伝えられれば良いなと思ってます。
本当にありがとうございました。



彩花さん、陸人くん

練習中のこだわりはほとんど彩花さんを見て覚えたような気がします。
陸人くんの主務としての葛藤を見てたからこそ、今の山田やスタッフの姿があると思います。
二人が自分たちのことを信じて頼ってくれたことが、マネージャーとして成長できた理由です。
本当にありがとうございました。
引退したら美味しいご飯奢ってください。



慶應のマネージャー
ましゅん、あれ、選手か。
勝又、あれ、GKか。

そろそろメンバー表にFW平山はなって記載されるんじゃないかとそわそわしてます。
多くは語りませんが、みんなと早慶戦の話をしている時はとにかく楽しかったです。
お互いラストやり切ろう。
ご飯の日調は任せたよ勝又。



外池さん

マネージャーとしての存在意義も、早実生としての存在意義も、たくさん考えさせられました。
たくさんの経験をさせてもらいました。
感謝しかありません。
残りのア式生活も、社会人になってからも、「日本をリードする存在」を目指し続けます。



森泉先生、平田先生

いつもア式での活動を気にかけてくれてありがとうございます。
早実で過ごした時間、学んだことが、今の自分の原点です。
本当にありがとうございました。
大橋と小松と早実会が開催されることを楽しみにしています。



社会人スタッフの方々

信頼してたくさんの仕事を任せてくれてありがとうございました。
昇格に向けて、最後まで選手を信じて、闘いましょう。



両親

支えてくれて本当にありがとう。
引退してから、ちゃんとお礼を言います。
あと1ヶ月、力を貸してください。



ラスト、同期へ。

夢に挑む姿、チームのために行動し続ける姿、試合で勝った時のみんなの笑顔。
本気でサッカーに向き合うみんながいたからこそ、自分も強い「こだわり」を持ってサポートしてきました。
入学と同時にコロナが流行ったり、関東2部に降格したり、決して思い描いたような4年間ではなかったかもしれません。
それでも、みんなと過ごした時間、見てきた景色は、かけがえのない宝物です。
一人ひとりに印象深いエピソードがあって、ここには書ききれませんが、みんなのためなら何でもしたいと思っています。
みんなと同期になれたことを心の底から誇りに思います。



だから、私は今、胸を張って言えます。


ア式のマネージャーになってよかった。
この代のマネージャーでよかった。



残り4試合、全部勝とう。


背中で示し続けよう。
闘い続けよう。


最後みんなで笑えるように。

◇佐藤慧一(さとうけいいち)◇
学年:4年
学部:政治経済学部
出身校:早稲田実業学校高等部

【過去の対談記事(早稲田スポーツ新聞会企画・編集)はコチラ☟】


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