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「道標」 1年・佐藤慧一

「なんでマネージャーをやっているの?」

しばしばこんなことを聞かれる。

体育会、サークル、留学、バイトなど、大学生になって選択肢は様々であった。
その中でなぜ、ア式蹴球部のマネージャーという選択だったのか。

自分でもたまに「なんでマネージャーをやっているんだっけ」なんて思ったりもする。

隣でプレーする選手たちを見て、自分もサッカーしたいなぁなんて羨ましくなったりもする。

実際、コロナ自粛明けすぐの6月の初めは、マネージャーが携われるのは消毒作業のみで、何をするにもやりがいを感じることができず、マネージャーを続けるか悩んだ時期もあった。

でも、その度に思い出す。

なぜここに来たのか。

なぜマネージャーという選択だったのか。

それはどうしても成し遂げたい目標があるから。

自分の中にはっきりとした道標があるから。

コロナという弊害によって考える時間が長くなったからこそ、改めてア式に来た理由が明確になった気がする。

今回は、自分がア式でマネージャーをやりたいと思った経緯について簡単に紹介したいと思う。

図2


私は中学受験をし、外池大亮監督の母校でもある早稲田実業に入学した。それから中等部、高等部の6年間を早実サッカー部の選手として過ごし、昨年の12月に引退した。

早実で過ごした時間は私にとってかけがえのないものである。

仲間とサッカーに明け暮れる日々、キツかった夏の走り合宿、Tリーグでの誤審(その節は本当に申し訳ありませんでした!)、そして森泉先生の怒号(笑)。

早実での6年間は言葉では表し切れないほどとても濃く、充実した6年間であった。
たくさんの人と出会い、たくさんのことを学んだ。

特に、自分たちの代で掲げた「じりつ(自立、自律)」「感謝」というスローガンは、今も、これからも大切にしたいと思っている言葉だ。

早実で得た経験と仲間は私にとって何にも替え難い貴重な財産である。

そんな忙しなく楽しい日々が終わり、大学では何をしようか考えた。

最初の選択肢はダンスだった。
小さい頃に習っていたし、そもそもダンスが好きだったから自然とそんな流れになった。
早稲田祭でパフォーマンスする団体を見て、ダンス良いかもなぁなんて思っていた。

だからその時は、自分がまさかア式蹴球部で、しかもマネージャーをやるなんて考えもしなかった。

そんな中、ア式への道は突然現れた。

きっかけは1月初めに行われた春高バレーだった。

早実バレー部の同期の最後の大会だったのでみんなで応援に行った。

そこにあったのは選手たちの迫力あるプレー、会場に響き渡る歓声、そしてマネージャーとしてチームを支える友人の姿であった。

自分もサッカーをやっていたからその場の主役はもちろん選手だと思った。
でもなぜだろう、一番印象に残っているのはマネージャーの友人の姿だ。
選手たちが全力で戦っている隣でチームを支えているその姿はとてもかっこよく見えた。

なんでそんな風に見えたのか、正直自分でもよくわからない。

実際、その友人は私のためにマネージャーをやっていたわけではない。

自分の意思や目標をもとに、早実バレー部でマネージャーを務めていただけである。

しかし結果的に、こうして全く関係のない誰かの心を動かした。
自分も頑張ろう、そんな風に思えた。
また、その姿は春高の番組にも特集されていた。

素直に、すごいなぁと感じた。

立場にかかわらず周りに影響を与えることができる存在、かっこいいなぁと思った。

自分もこんな風に誰かに笑顔や勇気を与えられる存在になりたい、そんな憧れを抱いた。
そしてそれを本気で目指したいと思ったとき、初めてア式蹴球部のマネージャーという考えが生まれた。

決断は簡単ではなかった。
大学4年間をかけるのである。生半可な覚悟では踏み込めない場所である。

それでも成し遂げたい。
たった一度しかない人生、本気で自分の憧れた存在を目指したい。

そんな風に思えたのは同期の仲間の存在があったからだ。
私がア式でマネージャーをやろうかなと言ったら本気で頑張れと言ってくれた。
そんな応援の言葉が自分を支えてくれた。
やっぱり仲間は最高だなぁと常々感じている。

恩返しという言葉が正しいのかはわからないが、いつかその友人や同期にも「明日も頑張ろう」なんて思わせられるような存在になりたい。

立場に関係なく誰かに笑顔や勇気を与える存在になる。

それが私の中にある道標に描かれている道である。

図3


「誰かの明日の活力になる」

ア式蹴球部のミッションでもあるこの言葉、成し遂げるのは簡単ではない。

だからこそ、本気で目指す価値があると私は思う。

幸い、ア式のマネージャーは活動の幅がとても広い。企業との連携や他大学との交流、早慶戦の運営、大学サッカーを盛り上げるために外部で活躍している先輩もいる。

さらにそういった活動はマネージャーだけではなく、選手たちも積極的に取り組んでいる。

「自分」を求め、それぞれが考えを持ち、意見を交換し、何かを創り上げる。
そんな活動がア式では頻繁に行われている。

スポーツ推薦、自己推薦、一般、指定校、内部進学、多様な人達がお互いの特異性を活かしながら面白さ、楽しさを創る。
それがア式蹴球部という場所である。

その中に埋れてしまわないように、ここに来た意味を証明するために。

早実出身のマネージャーとして、自分には何ができるのか。
日々自問自答して、誰かを笑顔にする、勇気を与える、そんな活動を生み出し続けたい。

これからも応援よろしくお願いします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


佐藤慧一(さとうけいいち)
学年:1年
学部:政治経済学部
出身校:早稲田実業学校高等部

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