見出し画像

旅の終わりに読みたい1冊。 太宰治の「津軽」

キャンプや旅行、見知らぬ土地へ行くとき決まって持って行く本がある。 太宰治の「津軽」だ。 「グッドバイ」や「斜陽」、「人間失格」などと比べて耳にしたことない人が多いと思う。 そういう自分もその1人。 なんたってパンピーが一般ピープルの略だと最近知ったくらいだし、点で物事を知りがちなので質が悪い。 そんなことはどうでもよく、なにより伝えたいのは、この津軽がなんとも名作であるということだ。

詳しい内容は割愛するけども、確かこれは奇界遺産などでご存じ写真家 佐藤健寿さんの影響で手にした1冊。  憶えているのは気だるさに続く気だるさ、気だるさ、から来るクライマックスの展開。 ドラマチックは突然に。 なんというか、こんな展開がリアルです。 きっと長い目を見て目的を果たす過程って、こんな感じだなあと自分の気持ちとリンクした。 (ほぼネタバレで申し訳ない)

画像3

画像4

画像5

この本を読むと福岡の友人に会いに行くと約束したことを思い出す。 仕事で忙殺されていた当時。 1人でお店に立っていて徹夜なんてザラだし、実質1ヶ月半も休みなく働くこともあった。 もちろん自分が仕事の出来る人ならもっと上手く出来ていたとは思うけれど、孤独で頑張ってた。 そんなある時、福岡を拠点にする画家さんが、お店に1週間在廊することになったのだ。 

はじめてお店で2人以上ということもあって自然と話すように、知らぬ間に仲良くしてもらえて。 そして会期終了の日「また福岡で!」なんて今は出来ないけど必ず!と思いながら約束した。

画像2

数年後、職を変えて前と比べて大変なことは多いけれどある程度の暇を作れるようになった。 したらば、いざ福岡へ!は当然の流れ。 思い立ってすぐに友人と日程取り付け、格安航空で向かい、晴れて福岡の地へ降り立った。 そして、再会を果たした。

でもドラマで描いていたような頭の中でBGMが鳴るだとか出会ってハグだとか、そういうのは無くて。 あっ、本当に居るんだな、ここに。 そして目の前に会いたかった人がいるんだ。 「それだけ」があった。 ジワジワジワジワと来て、もう普通でしか居られない。 そこに腰を下ろして話そう、みたいな。

画像3

この一冊の結末は、まさにその気持ちとリンクしていた。 ぜひ旅のお供に連れて行って欲しい。 きっと、その旅の意味を見返せるだろうから。

画像6

余談ですが、旅の終わりって誰かに、ここが良かったよ!って伝えるまでだと思う。 そうして、帰った自分の家のベッドが最高だと思い知る。 だからこそ、旅に出るし、また行きたくなるのだと思います。

WARP & WEFT M

この記事が参加している募集

読書感想文

買ってよかったもの

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?