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青春と中目黒と洋服、ときどき桜

と書き出してみて思ったけれど私、万年青春みたいなものだった。 歳にして30代前半、にも関わらず未だ2000年に起きたことを現代と並行して認識してしまうほど青春しているように感じる。言い過ぎかもしれないが全然新しい曲では無いのに、これは「the beatles(ビートルズ)」のメロディが、いつ聴いても真新しく聴こえる感覚に似ているとも思う。 決して懐古主義というわけではない。 東京卍リベンジャーズだって観てるし。

そんなんだからSにはよく「エモいね〜〜〜」と言われている。 果たしてその「エモ」の使い方は、皮肉だとしても正しいのだろうか。

ちなみに「エモい」は「エモーショナルハードコア」の略称だ。 私の中で「エモ」といえばMineralでもStarmarketでもなく、やはり影響をどっぷりと受けたbluebeardしかいないのである。

bluebeard - Room 501

今回は、そんな私が青春をいまだ感じ続ける好きな街、中目黒について書いていこう。

その前に、2000年代といえば私は学生。 とっくのとうに個性を磨いている人たちもいるが私の場合、音楽やら洋服やらに興味がわき始めたのは大学生の頃だった。 初めてJロックやメロコア、インディーに目覚めてのも同時期だったと思う。 その時「こんなバンドが良いよ」って教えてくれた友達とは、大学卒業時に酔っ払ってガラケーを無くす=アドレス帳も消失して以来、連絡が取れる手段がなく疎遠になってしまった。 元気にしているだろうか。

とにもかくも「音楽と洋服」という「ごま油とマグロ」みたいな、気軽に触れてはいけない組み合わせだ。 まっさらな学生にとって、さぞかし美味しいだろう。 ズブズブのズブだ。 なんだかわからないが語呂が良かったからいってみた。

音楽サークルに入ったりもしたのだけど、とにかく持ち前のひねくれさから、強烈にひねくれた。 それでも、今でもリアム・ギャラガーのモッズコートを羽織り、背中で腕を組んでシンガロングするスタイルは、最高に格好良いと思っているし、親友と呼べる仲間たちとも巡り合え、今の生活にも大きく影響されている。 だから後悔は全くない。 

これから触れる中目黒も、そんな縁が運んで来たのだ。

なぜ、私が中目黒へ行くに至ったかと言うと、率直に「好きな店があったから」「みんなが選んでないから」「桜が綺麗だから」の3つだ。 書き出してみると純粋な理由の反面、なかなか痛いのが入り込んでいるのが恐ろしい。

好きな店が集まる

好きな店、というのが「nonnative(ノンネイティヴ)」の直営店「vendor(ベンダー)」からの「Roots to Branches(ルーツトゥブランチズ)」。 いずれも同じTNPが運営するお店。 私は彼らの洋服で表現することに多大な影響を受けている。

それを知ったキッカケが日本のポストロックのトップに君臨する、エモバンド「toe(トー)」の山嵜氏だ。 チャコールやネイビーといったダークトーンのTシャツにシルエットの良いボトムス。 (あれは、どこのブランドだ?!)と純粋に欲しくなってたどり着いた。 完全にミーハー心である。 その上、学生にとって、ノンネイティブはおいそれと買うことのできない値段であった。 今でもだけど。

toe - DOKU-EN-KAI

安価な選択肢として、ファストファッションブランドで似たようなものを買ってみても、どこかしっくりこない。 あのフェード感に至る前に破れたり(1回しか洗ってないのに)、そもそもシルエットが極端だったり。 代わりの効かない服は、存在するのだと認識できた最初のブランドだった。

時代が進むごとに洋服のサイジングやスタイリングが変わっても、軸がブレることなく“属さない、固有されない”という意味を込めた「nonnative」というジャンルで、ただ在るのだ。 

特にジーンズを筆頭ボトムスがすこぶる履き心地が良くて、おいそれとは買えないが、10本は持っているし、古着で探すくらいにお気に入り。 色落ちも素晴らしい。

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これは自分がワンウォッシュデニムの状態から履き込んでいる「nonnative」のジーンズ「DWELLER 5P JEANS 」。 たしか5年くらい穿いている気がする。

バックポケットのステッチでブランドを象徴させるアピールは一切なく、あえて取り上げるならば膝裏のステッチ一本とシルエットのみでnonnativeだ、と背中で語る。 細部は魂に宿るという言葉を体現したかのような、美学あふれるプロダクトが好きだ。 さり気なくウエストやポケットの裏面を、季節ごとに切り替えているのも遊びが利いている。 確か最初に手にしたのはタータンチェックで、この時はシャンブレー。 普通なんだけど、よく見ると高いだけあるなと納得、唸らせるディテールが満載。

その上、これだけの個性を持っているにも関わらず、セレクトブランドとの親和性も高く、あらゆるコーディネートでトータルバランスを整えつつ、「nonnative」らしさを添えるのも魅力だろう。

もちろんvendorがセレクトしているという前提もあるけれど、例えば当時は「COMME des GARCONS JUNYA WATANABE MAN(ジュンヤワタナベ)」や「Gloverall(グローバーオール)」のOEMを手がけるイギリスのファクトリーブランドといったモードやトラディショナルを感じさせるブランドだったり、「Marimekko(マリメッコ)」のような北欧ブランドから「ARC'TERYX(アークテリクス)」、「KLATTERMUSEN(クレッタムムーセン)」、「Tilak(ティラック)」といったアウトドアブランドまで。 挙げ出すとキリがない、ハイセンスなラインアップ。 こうして列挙してみるとネームバリューを得るためでは?と勘ぐるかもしれないが、アイテムも独特なバイイングで、どれも不思議と「nonnative」に合うもんだから、月並み表現、すごい。

「nonnative」があらゆるブランドに好相性であって、その存在感を示しているのだろう。

なんといってもスタッフ日記が格好よかったんだ。 裏方の人から店長まで、そして最も影響を受けた一人が小田さんという方である。 かつてのZOZOPEOPLEと呼ばれるWEARの前身とも言えるZOZOのブログ。 知っている人も多いのではないだろうか。 いまこのデータはWEARに引っ越しされている。

...ってリンク掲載しようと思ったら消えてんじゃん!!! 消えてない??どうなのこれ。 マジか、えー。 

気を取り直して。 『自分はこの時のシーズン変わるまで毎日ジーパン履きます』という自主に始めた企画から、とても惹かれた。 本当に毎日履いて、その色落ち具合を毎日ブログに書く。 深夜遅くにアップしている日もある。 あとこの頃、自分自身もデニムの経年変化に魅了されていたのもあるが、それを実行するスタンス、そして着こなし、全てに影響された。 自分のこの文章量で補うスタイルは、その頃に確立されたように思う。 ちなみにそんな小田さんは、いまは「coverchord(カバーコード)」というセレクトECでコラムを書いている。 やっぱり独特な言い回しや知識量は今も健在で、毎度のこと頷きながら、ついカートボタンをポチッとしたくなる流れが素晴らしい。

今週の逸品 セレクトしたアイテムの中から長く愛せる「逸品」をご紹介。


あと、良い街の中華屋にも出会えている。 例えば餃子シティマガジンで紹介している高伸(こうしん)も、そんな店の1つだ。 古き良きの言葉がまさにピッタリな内装の町中華で、天井の角のテレビがロードショーなりスポーツ番組を流す。 BGMはそれと食器の鳴る音と「うまい!」という声だけ。 なんとも粋だ。 閉店まで飲み明かして「びっくりするぐらい飲んだね!」と女将さんに話かけられたのも良い思い出である。 もちろん中華以外にも、おすすめの店がたくさんある。 美味しい店も多い街は、なんたって良い。

みんなが最初に選ばない街

“私のお墓の前で泣かないでください”と歌われるその当時。 学生が選ぶ街といえばもっぱら原宿、表参道だ。 もちろん人によると思うが、なぜその選択肢なのだろうか?と常々疑問に感じていた。

私にとっては洋服が一番前にあって、ネット上で調べれば『とりあえず原宿か伊勢丹メンズ行っておけばOK』のような意見が散見されていたが、それにしたって同い年くらいなのに多様な人たちが多かった。 でも、根っからは(イケている自分も探して)が溢れ出ていたように思う。

その頃、おそらく服以外の別カテゴリーでも似たような回答があったのだと推察する。 皆それを鵜呑みにして、ホイホイと行くわけだ。 この行動結果は、答えを求めて、プロセスがないから、行ってしまったのだろうと今では感じる。 それにしたって、行動力があるのだから悪くはない。

しかし、実際行ってみたら欲しい洋服が多すぎるし、高くて全部買えないからテキトーな古着かTシャツ買って帰っていた。 なんなら、むしろお洒落なのはスタッフじゃないか?と思っていたし、ロッテリアくらいしかご飯屋さん見つけられなかったし、面白さが分からなかった。 今も行く機会があるとこってN.hoolywoodの直営店やサンタモニカとかぐらいだと思う。もちろん今ではこの街の楽しさを知っている。 それは自分の視点が狭かったからだろう。 

そしてここがアンサーだ。 その二次選択肢的なところで(中目黒、代官山の方がなんか良くね?)と思っちゃったのである。 これが若気の至り。 今ではどこも良い場所だと、見つけられる目を持てた。

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離脱せず聞いて欲しい。 感覚的なところで言えば(中目黒なんか良いじゃん!)的なところは、今でもみんな共通であるように思う。 街の匂いがそうさせるというか、憧れる要素があったとして、その蓋を開けてみても面白い人たちが集まっている。 まるで呼吸をしているようだ。

とりわけ住む人は、決して気取らないのにセンスが鋭く、かつ生き残りに賭けている。 私も来た時こそ背伸びしたような感覚もあったが、いまではようやく垢抜けてきたと思う。 いや...まだまだか。 すんません。

とはいえ、そんな都内ならではの感性を養えている街の一つだ。 かと思えば自然があったりと柔和な表情を持ち合わせていたり、都市が持つ人の性格みたいなものだろうか、そういう情操教育的なところを感じている。

目黒川の桜が綺麗

百聞は一見に如かず。 ご覧いただければと思う。

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冬から

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春へ

夏は緑道、秋冬にはデコられたりと、通年楽しめる目黒川だが、やはり桜は格別。 駅のホームから見れば桜の海、一度降りればそこは桜の海中。 私がこの季節、行こうと思ったのは単純に綺麗だからだ。 当時も有名だったが、今ではもはや人口密度が飽和状態。 やっぱり桜をみる時は落ち着きたいね、とここ数年は早朝に行くことにしている。 酒ではなく、コーヒーを片手にみる桜も格別だ、と思うところをみると、どうやら私は団子より花なようだ。

...おや?あれは?

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私が一番好きな南信州IPA。 生で飲めるのを知ってるのはSidewalk Standだけ。 一番。

お後がよろしいようで。

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