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コンパス(8686)
2020年10月24日 23:38
霜のように張り詰めた空気。降り積もる雪。悴む手。長靴が雪を踏みつける感触を確かに感じながら、俺は歩いていた。今日はクリスマス。まるで光の粒子があたり一面に飛び散ったみたいに、町は煌びやかに輝いている。そんな中、無論、俺の心も弾んでいた。クリスマスで心が弾む、と聞けば、考えられるのは一つだけだろう。そう、俺は今日、とある女に告白をするのだ。アルバイトで忙しげな学生、キ
2020年10月25日 23:22
俺の人生を一言で評価しろと言われたら、俺は間違いなく『最悪』の一言だけで説明を終わらせるだろう。俺はそう思って、空を見上げた。クソみたいな曇天が広がっている。降りゆく雪が俺の眉毛や唇に当たり、積もってゆく。こんな寒い日なのに、町は活気づいていて、楽しげだった。積もった雪で遊ぶ子供やそれをよそに雪かきに勤しむ大人たちは、みんなマフラーと手袋をつけている。今日は12月31日。言わ