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#ネグレクト
毒の反哺 第4話 鈴木凜
鈴木凛。小学3年生。母親と二人暮らし。
6月9日㈯11:30。
いつもの場所で由奈姉ちゃんを待つ。出会って、ちょうど1年ぐらいかな。美人で優しくて大好き。いっぱい遊んでくれるし、食べ物もくれる。髪も可愛くしてくれるし、凛を変な目で見ない。いつからだろう。お部屋がぐじゃぐじゃになったのは。おばあちゃんがいなくなってからかな。
その頃から、近所のおばちゃんたちがヒソヒソ話をするようになった
毒の反哺 第5話 こども食堂
キリスト教徒ではない美月と翔太は、教会に行くのは初めてだった。落ち着かない様子の二人とは裏腹に、鈴木凛は慣れた様子で、ボランティアで参加している地元の大学生や、地域の人達に人懐っこく話しかけていた。凛は、年齢よりも体が小さく痩せていて、幼く感じる子だ。
「こちらにお名前と連絡先を書いて頂けますか?連絡先は代表者の方のみで大丈夫です」
受付の人に言われ、美月は自分の連絡先と3人の名前を書く。
毒の反哺 第6話 広瀬琴美
9年前、自分が担当していた少女が自殺した――。
私は広瀬琴美、32歳。長栄市児童福祉課こども相談室の相談員。要保護児童対策地域協議会(通称:要対協)の一員で、主に虐待を受けた子どもや家庭の支援をする仕事をしている。
6月11日(月) 16:30
担当児の家庭訪問の帰り道、公園のベンチで横たわる女児と女子高生が見えた。先ほどまで一緒だったバディが別件対応で別れ、一人になった矢先だった。
毒の反哺 第8話 斎藤奈津子
娘の由奈が死んだ。私は何を間違えたのか――。
斎藤奈津子、37歳。由奈の母親。午前中は工場勤め、午後はファミリーレストランで勤務。
***
6月11日㈪18:00。
由奈が亡くなってから、ずっと頭に靄がかかっている。由奈はなぜ、死ななければならなかったのだろう。毎日ただむなしく時間が過ぎていく。
インターホンがなる。ドアを開けると、翔太と由奈の親友の美月ちゃんが立っていた。
「お