マガジンのカバー画像

24
自分の詩をまとめました 見ていただけるととても嬉しいです
運営しているクリエイター

記事一覧

泣かないで紫陽花

雨に泣かされている
薄紫のスカートが、濡れてしまった
お気に入りだったのにな
あたまも痛いし
心も痛い
少しだけ休んでいい?
もう少しゆっくり歩こうよ
一緒にならんで座ろうね
約束
雨の日の約束
あなたとの唯一のつながり
雨の日はこれだからきらいだ
移り気なあなたの視線がユラユラ
明日は晴れるかな

炭酸キラキラ

その眩しさが、儚さが、幻になってしまう前に、せめて体温だけ残して、影の中に光を見出して、ゆっくりでいいよ、ゆっくりでいい、ソーダの炭酸が抜ける頃、わたしはあなたの夢をみる

ずっと綺麗で、凛として、背筋を伸ばすこと、等間隔の歩幅、向こう側に続く、小花柄がちらつく、まっすぐな世界に沿っていこう、さあ手を握って、あなたはいつまでも、わたしの光

朝が、朝が来た、小鳥が鳴いている、泣いているのはわたし、

もっとみる

おんなの子はこわい

今日も女の子は群れていて、群れの中にいながらでも、わたしはやっぱりひとりで、どうしてもみんなに馴染めなくて、

そこにはわたしが居てはいけない世界線があって、離れたいのに、まとわりつくの、キンキンした声が、わたし、興味が移る瞬間がわかるから、こわくて、こわくて、

電車の音がする、遠い、近い、黄色い線の内側、眺めていた、電車とぶつかってしまう気がして、こわくなった、目を瞑ったら電車はもう、止まって

もっとみる

ヒーロー

ヒーローはみんなのヒーロー、わたしだけのものじゃないって、頭ではわかっているけれど、わたしだけのヒーローになってほしいの、ねえヒーロー、わたしだけを助けにきて

嫌いだった食べ物が食べられるようになったとき、嬉しいのに悲しくて、成長することは素晴らしいことだけれど、大人になんかなりたくないな、もうお酒だって買えるんだよ、勿体ない、勿体ない、夜の交信はもう途切れちゃった、ねえヒーロー、隣で手を握って

もっとみる

きたなくってごめんね

蓋をして蓋をして蓋をして
ぐっと押し込むうす汚いこころ
隠して隠して隠して
きみに見つからないように
誰にも気づかれないように

いつかは見つかってしまうかもしれないけれど
いまは、いまだけは隠していたいの
だからきみも、気づかないふりをしていてね

大きいワンちゃん

大きいワンちゃん
テンプレをなぞるように
その穏やかな空気はわたしの心を埋める
ぬくもりをたしかめる穴を、埋める

大きいワンちゃん
名前を呼ぶと駆け寄ってくる
そのゆるんだ顔が見たくて
つい餌を与えちゃうんだ

大きいワンちゃん
あなたからは近づいてこない
わたしがあなたを惑溺していることを
きっとあなたは知っているから

大きいワンちゃん
手懐けたらどうなるかな
飄々として全く読めないから

もっとみる

きみとの夏夜

空気の澄んだ夜、星をそっと掬ってみる、こうしてみると思ったよりちいさくて、つめたくて、星座にぶら下がりたいなんて本気で考えていた自分がばかばかしくなる、愛おしくなる、そんな夜

とんがりがゆるくなったソフトクリームを5秒間見つめて気を取り直す、明日天気になあれ、晴れたらアイスは溶けちゃうよ、きみの言葉が眩しく光って肌を照らす、わたしの、青白い腕

夏だって夜は涼しくて、お盆を過ぎたらもう秋、ムシの

もっとみる

壊せ

食卓に彩りを、
日常に破壊を、
愛し言葉には愛され返事を、
おしろいには艶やかな紅色を、
真っ白なキャンバスには薄汚い心情を、
きみとの約束には待ち時間を、

執着心は昔取り上げられた玩具に似ている

いい意味で悪い人、悪い意味でいい人
許す愛し方、与える愛し方
支える愛し方、側にいる愛し方
パターン化して呑み込むたびに強くなった気がした

花には鎌を、
棘には鉛を、
ピストルにはぬいぐるみを、

もっとみる

音楽ときみ

音楽を通してきみを知っていく

この音楽が好きだって
わたしはきみに教えるよ
わたしはきみに教えるから
評論家みたいなきみは、わたしに
どうしてわたしがこの音楽に惹かれるのか
丸みのない言葉で教えてね
きみは音楽を通してわたしを見つめてね
きみの好きな音楽を選んで
選んだ上で好きになっているんだから

音楽を通してきみを知っていく

痛みの源

頭が痛い
痛いのはこの頭なのか、
目の前に座る高校生の頭なのか
わからない
わからないから痛い

弓を手に取る
紫色の毒を、付ける
研いで、研いで、研いで、研いで、研いで、
思い切り
放つ

的はあの人の桃色
射止めた
ぐさり
刺さる
痛い
痛い?わたしが?
わからない
わからないから痛い

ライムを一絞り
爽やかな匂い
あの人の桃色が、くすむ

紫の弓は、土になった

毒を含む
口に
ゆすぐ

もっとみる

蛇口ひねひね

蛇口をひねる
冷たい
冷たいと感じる何かが飛び出した

初めてできた友達に
顔を引っ叩かれる
本のページをめくる指はとまらない
とまらないのに花粉は舞う
そんな夢
昨日の夢

夢だと思ったこと
夢じゃないことがある
昨日のそれは夢で良かった
わたしを思い切り叩いていいのは
5月の風だけ
金木犀の香りだけ

トマトに依存していた時
恋人はトマトだった
赤いリンゴでも満足はできず
マンゴーを握った手で

もっとみる

爪切り中毒

爪切り中毒
ガスマスク置いておくね
ご利用はご自由にどうぞ

短い爪を精一杯可愛がる
いつまでも美しくいてね
真っ赤なマニキュアを塗りたくる

ひっかき傷をつけて微笑む
緩んだ口元から飛び出す
だらしない言葉
「わたしのどこが好き?」
こんなことを言う女になりたくなかった

伸び切った爪は中古品
新品じゃあ世界は救えないよ
救われるのは自分だけ
それでもいいと、思えた

カゴの中に飼われたわたしは

もっとみる

ドーナツを歩く

ドーナツ
まるい
柔らかな曲線
のぞきこむ
転がり落ちた先の、地平線

手を伸ばした
つかむ つかめる?
つかむことは、できた?
空を切ったちいさな手
星は今にも落ちてきそうなのに、どうして

目を、開く、閉じる、繰り返して、呼吸をする

息をしている、血液が、廻る、わたしの、あたたかくて、脆い、四肢を、血液が

地平線はどこまで続く?

どこまでも、どこまでも、歩き出したらとまらない、ぐるぐる

もっとみる

友好の月曜日

お湯を沸かす
遊び疲れた月曜日
さっきまでの元気はどこに
布団に入ると思い出が聞こえた

いつのまにか変わった髪色、いつまでも変わらない服の系統、笑い方、笑うところ、すべてを煮込んで、グツグツ、食べてしまいたい

乗りたいと言っていた観覧車、メリーゴーランド、コーヒーカップ、こっちにおいでと呟いた、その、声、高い鼻、細い顎、褐色の肌、すべて、

ページの端に金色
龍角散を口に放り込み
指を滑らせる

もっとみる