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イランの戦略は何か?

■舌戦
 アメリカとイランの舌戦が激しくなってきた。双方は戦争を求めていないが交渉を拒絶している。交渉無き戦争回避など有り得ない。真に戦争回避を望むなら、現段階で交渉をしているはず。

 実際は双方が正義を名乗り、大義名分を得るための準備をしている。だから戦闘前の舌戦が行われている。国際社会では戦争ではないが戦闘を行える抜け穴が有る。双方は戦争ではなく間接的な戦争を行うだろう。

米国務長官「イランとの戦争求めていない」 イラン最高指導者も同調
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/米国務長官「イランとの戦争求めていない」-イラン最高指導者も同調/ar-AABnsht#page=2

■イランの場合
 イランは宗教組織が革命を起こして政権を奪った。国民を貧しさから救うことを大義名分にしたが、現実は独裁と貧しい生活だった。革命に成功したがイラン正規軍は忠誠を疑われる。宗教組織はイラン正規軍に対抗して独自の武装組織であるイスラム革命防衛隊を組織した。

 革命防衛隊は陸軍・海軍・空軍・ロケット部隊・諜報機関を揃え、私兵でありながら政府機関と同じ質と量を持つに至る。それだけイラン正規軍とイラン諜報機関が信用されていない証。

 同時に宗教組織は、それだけイラン国民と政府機関から信用されていない証。だからアメリカとの戦争になれば、イラン正規軍・イラン国民などが反乱を実行する可能性を持つ。

■アメリカの場合
 アメリカの主敵は中国。中国は経済圏である一帯一路を急速に進め、アメリカの覇権に挑戦している。経済圏は軍事力で護るから覇権でもある。だから中国の覇権とアメリカの覇権が激突している。

 イランは一帯一路の中継地点に位置するから、イランを攻撃することは一帯一路の破壊を意味する。何故なら経済圏は安定して継続利用できることが前提条件。仮に一部でもテロや紛争で遮断されたら経済圏全体が混乱する。
 
 イランは反米国だから、イランの反米を利用して一帯一路潰しができる。しかもイランは革命防衛隊を用いて周辺国でテロを支援している。アメリカはイランによるテロ支援を用い、イラン攻撃の大義名分にした。

■テロ攻撃
 アラブ首長国連邦の沖でタンカー2隻が損害を受けた。そしてサウジアラビアのパイプライン施設がドローンによる攻撃を受けた。パイプライン攻撃は、イエメンの反政府組織フーシ派が声明を出した。

 フーシ派はイランから支援を受けているとされ、これらはアメリカがイランを空爆する大義名分になる。何故なら「アメリカ軍と同盟国が攻撃される情報を掴んだ」ことを証明するからだ。

 イランに支援されたテロ攻撃は以前から存在する。この様な攻撃は間接的な戦争であり、国際社会が黙認する戦争。国際社会は軍隊を用いた開戦は直接的な戦争なので否定する。何故なら今の平和を否定する行為になる。だから国際社会は悪として否定する。

 だがテロ支援・ゲリラ支援などは間接的な戦争。さらに対抗策として、対テロ作戦で正規軍が越境攻撃しても間接的な戦争に該当する。何故ならテロ組織は国境を無視して移動する。だから正規軍もテロ組織に合わせなければ殲滅できない。この理由から正規軍が越境攻撃しても黙認される。

 実際にアメリカは対テロ作戦でアフガニスタンに侵攻。さらにトルコも対テロ作戦を名目にシリアにトルコ陸軍を侵攻させた。

■戦争ではない戦闘
 アメリカはイランの革命防衛隊をテロ組織に認定。これで双方が間接的な戦争で戦う条件を持った。大規模な戦闘だとしても、アメリカは対テロ作戦としてトルコに侵攻できる。

 一個空母打撃群だけではイラン首都まで侵攻できない。だが最大兵力12万人になれば、アレキサンダー大王の道(アレキサンドロス大王)を使えばイラン首都まで侵攻できる。使う道が明らかなら待ち伏せが有利。だが地形により攻めが有利で守りが不利な地形が存在する。アレキサンダー大王の道は、正に攻撃側に有利な道。アメリカ軍が首都まで侵攻するなら使うはずだ。

 アメリカ軍には2つの選択肢が有る。一つは一個空母打撃群と爆撃機4機でイランを空爆する。もう一つは最大兵力12万人でイラン首都まで侵攻する。捕捉として、トランプ大統領は12万人投入計画をフェイクニュースとコメント。同時に、「実際にそうなったら報道よりも大規模な部隊を送る」とコメント。

アメリカの選択肢
防御:空母打撃群・爆撃機でイラン沿岸部を空爆。
攻撃:最大兵力12万人と同盟国でイラン首都まで侵攻。
共通:攻撃対象は革命防衛隊のみ。

 アメリカは革命防衛隊を攻撃目標に限定する。これなら対テロ作戦であり、イラン正規軍とイラン国民を敵にしない。この場合、イラン正規軍とイラン国民は政府に対して反乱を起こす可能性が有る。

イランの選択肢
攻撃:革命防衛隊とテロ組織による大規模な先制奇襲。
防御:アメリカ軍と同盟国をイラン本土に引き込んで持久戦。

 革命防衛隊とテロ組織による大規模な先制奇襲は、アメリカ軍と同盟国に損害を与える。成功すれば短期間の勝利は得られる。だが反撃されたら勝ち目は無い。だが現時点でテロ組織による攻撃が連続した。これでは警戒され先制奇襲の価値は低下した。

 考えられるのは持久戦。アメリカ軍と同盟国軍をイラン本土に侵攻させ、同時に周辺国でテロを連続させる。これで世界経済を混乱させ、外国が和平交渉を行うようにする。同時にアメリカ軍の後方連絡線を攻撃させて妨害する。

■巻き込まれる世界
 フーシ派がテロ攻撃を公言したなら、アメリカ軍によるイラン空爆は確実。もはや舌戦は空母打撃群がペルシャ湾に到着するまでの時間稼ぎ。海上交通路は遮断される可能性が有るから、日本の政治家は衝撃に備えなければならない。

 戦闘開始と共にアメリカは各国に派兵を要請する。日本もペルシャ湾に自衛隊派遣をするだろう。丸山議員の戦争発言で丸山議員を批判する者たちは、アメリカとイランを批判できるだろうか?何故なら、双方の正義が激突するのだから。

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