鰐淵タカーキ

建築石工事・大判タイル・れんが材工一式 ビル外装、エントランスからご自宅の玄関や庭石まで 新築・改装・石のメンテナンス 見積り無料 お気軽に連絡ください  過去ブログ「100日後に読了するトルストイ」

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最近の記事

あなたとハッピーを聴く

「文芸漫談」読了 ノーマークだった未読の漱石、「坑夫」「行人」あたりに興味をかきたてられたのは収穫なり radikoにて春風亭一之輔「あなたとハッピー」の一コーナー、「いちの助っ人が行く」を聴く わたしがこのラジオをフォローするきっかけとなった、ある投稿者さんの後日談の放送である この番組はたまたまクルマで行った現場(たしか西東京の清瀬)からの帰り道。金曜日にクルマ移動の時にいつも聴いていた「金曜ボイスログ」がぱっとしなかったのかやっていなかったのか、社用車のカー・ラジオ

    • 「漱石漫談」いとうせいこう・奥泉光

      横浜市立図書館 電子書籍サービスにて 「こころ」=BL(ボーイズ・ラブ)小説という説にはたいへん感心した。何より、「坊っちゃん」のわたしが一番好きな、松山の下宿に届いた清からの手紙を読む夕暮れの場面について、 「漱石が描いたすべての情景描写の中でも五指に入る美しさだと思う」 と奥泉氏が評しているのが嬉しかった

      • 爆笑問題カウボーイを聴く

        radikoにて、今週11/19の回 タイマーズ35周年だとかでのTV特集に太田光さんが出るということは、何かのネット記事で読んだ記憶があるが、今回のオープニングトークはその収録を中心に、清志郎さんの思い出話に終始した 六本木のバーに呼び出されたという話は何度聴いても面白いが、今日は大好きだという「sweet  soul  music」を太田光さんごヘタクソに歌うのが泣けた

        • 読書記録ほか

          備忘録代わりに、明日からここへ書くことにする

          今年の読書録⑥ 「高慢と偏見・上」

          いやー! 面白いおもしろい。 最っ高に面白い!   人生で5本の指に入るくらい、面白い。 ほぼ男女の噂話に占められるこんな小説を、ここまで面白がれる男がこの世界にいったい何人いるのだろう、という高慢と偏見が、この深い愉悦に影響を与えているというそしりは、恥かしながら大いに当を得ているだろう。 これはものすごい小説である。 間違いない天才の筆、ということが、少し読めばはっきり分かる。 わたしが今回購入したのは光文社の文庫版、翻訳小尾芙佐氏。平明で読みやすく文句ないが、何より作品

          今年の読書録⑥ 「高慢と偏見・上」

          今年の読書録⑤ 「大いなる遺産」

          この長い物語は、イギリスの片田舎の墓場から始まる。 東京屈指の墓地の町、府中市紅葉丘に生まれ育ったわたしにとって、これはなかなかそそられる冒頭である。 ただ、子供のころの多磨霊園がいつも陽光にあふれ、常に乾いた風が吹いていたのに対し、主人公の少年の故郷であるテムズ川下流のこの墓地は、ひどくじめじめして、薄暗く、もの寂しい場所であった。 英国の文豪ディケンズによるこの小説は「教養小説(ビルドゥングス・ロマン)」とカテゴライズされるようだ。はからずも直前に読了したトーマス・マン

          今年の読書録⑤ 「大いなる遺産」

          noteでしたいこと

          母親の手料理のことを書き記しておきたいという思いは、随分前からあった。 こういうテーマは万人向きで、たまたま知って登録(?)してみたnoteのような場所に書けば、もしかして楽しんでくれる人がいるのではないか——と思い、遡ってまずイントロとして離乳食の記憶について書き始めたのが最初である。 そこから幼稚園に入園し、アルミの弁当箱で食べた二段重ねの海苔弁当の衝撃(そしてプラスティックの、縦にスライドする箸箱との出会い)、また遠足の時に作ってくれた丸めたサンドウィッチ(ラップで飴玉

          noteでしたいこと

          今年の読書録④「魔の山」

          高橋義孝氏訳による新潮文庫版、分厚い上下2巻。 作者はドイツの巨匠トーマス・マン。 舞台はほぼ一貫して、スイス山上の療養施設。 この地にむけて、主人公のハンスがひとり狭軌鉄道に揺られている場面から、長い小説は始まる。 この施設内での、あまり大きな起伏のない人間模様が、この小説のおおまかな内容といってさしつかえないと思う。 あまり起伏のない、とはやや控えめな表現であり、これを読んだことのある人なら一緒に頷いていただけると思うのだが、もっと直截に「退屈な内容」だと言って、ノーベル

          今年の読書録④「魔の山」

          続・ピアノの話

          7000円くらいのCASIOのキーボードと、1000円ちょっとのヘッド・フォンをヤマダ電機で買ってきたのは、半年ほど前のことである。 疫病の大流行が全人類の行動制限を強い、わが国では「巣ごもり需要」という言葉が生まれるなか、楽器を始める中年男子が多いという話を、本当かうそか知らないが、ラジオで聞いた。 わたしがこの度CASIOを手にするまでの経緯はもう少し長く、数年前にさかのぼる。 もともとは生まれたばかりの娘に頂いたピアノのおもちゃに、たわむれに指を乗せたことに端を発してお

          続・ピアノの話

          ありがとう、平均律

          最初のピアノは長女が一歳になる頃、実家の母から贈られたものである。ドから1オクターヴ上のドまで、鍵盤が八つばかりの、ごくごく幼児向けのものである。 指を置くと籠った電子音にやや遅れて、本体に設えられた色とりどりの動物たちが、「ヒョッホーウ」「上手、上手」などと囃しながら、モーター音を唸らせて上下する。 これを今でも時おり引っ張り出して弾くことがあるのは、ひとつひとつのキーが大きく、わたしの太い指にも、よく馴染むからである。 母としては、花柄の服や着せ替え人形と同様、女の子へ

          ありがとう、平均律

          今年の読書録③「戦艦大和ノ最期」

          わたしが本を読むの最大の理由は、 「読む快楽を得ること」 であるが、少し違う動機で本を手に取る場合もなくはない。 例えば、先の大戦のさなかに生きた日本人によって書かれた、このような本である。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「あの当時に生きていたら、自分はどう行動しただろうか」 と自らに問うことは、普段の生活の中でふいに訪れる天気雨のようなもので、ちょっと当惑したりするものの、しかしごく自然なことでもある。 これは昭和九年生まれの父から、折にふれ戦時

          今年の読書録③「戦艦大和ノ最期」

          わが精嚢(せいのう)は空(から)なりけり

               全国の中高生男子のための裏校歌 「わが精嚢は空なりけり」  作曲 山田コーサク               作詞 鰐淵タカーキ   一 春の日差しに 透けゆくブラジャー   クラスメイトの 裸を思う   なだらかなる乳房に 思いを馳せて   山の頂き いま駆け上がる        飛ばす精液 受け止めて      包むティッシュの 柔らかさ    ああ その時の虚脱から   覚めて向かわん参考書       ああ わが精嚢は空なりけり     二

          わが精嚢(せいのう)は空(から)なりけり

          今年の読書録②「パルムの僧院」(その2)

          舞台は19紀イタリア。 なぜわたしはこの小説に、いまいち乗れなかったのか。 実際の事件に取材したこの小説は、フランス人である作者が抱く、登場人物であるイタリア人の理解を越えた情熱に対する驚嘆が、底流にあるといってさしつかえないように思う。 「われわれフランス人はもう少し思索的で打算的であるのに対し、この素晴らしいイタリア人たちときたら」という感じである。 主人公であるファブリスは、富貴の生れであるが若い時分に情熱のおもむくままあるスキャンダルを起こし、それゆえ流浪の人

          今年の読書録②「パルムの僧院」(その2)

          今年の読書録②「パルムの僧院」(その1)

          文庫の上下巻二冊を並べて置いてみると、その表紙のイラストの巧拙は別として、なかなか美しい色合いの、男女の向き合った一幅の絵が出来上がる。 左側の女性が魅力的な人妻のジーナ、右側の若者が本編の主人公ファブリスの肖像、というところであろうか。 大岡昇平による格調高い翻訳で、そのへんは比類なく素晴らしいのだが、じつは読了して、よくわからないというか、面白いのだけれど、ピンとこないというのが、読後のまあ正直な感想である。 今回はこの、傑作かも知れないけれど、 「どうもよく分か

          今年の読書録②「パルムの僧院」(その1)

          今年の読書録①「怒りの葡萄(その2)」

          「最後のまとまった雨は、オクラホマの赭(あか)い地(くに)と、灰色の地(くに)のいくぶんかに、穏やかにおとずれ、傷痕が残る大地を毀(やぶ)らなかった。」(伏見威蕃・訳) 冒頭の一節。 バカには難しすぎる文章で、漢字もルビがなければそうは読めない。これに、 「行潦(にわたずみ)の痕を、犂(すき)が行ってはまた戻り、十文字に交わっていた。」 と続く。 書店で立ち読みしていやな予感、というか、ムズカシイ漢字のしゃあしゃあと出てくる翻訳っぷりに大いに怯んだが、しかし結局、新

          今年の読書録①「怒りの葡萄(その2)」

          放課後

          暮れきった  小学校の校庭で ぼくはいま サッカーボールを 大きく蹴った 薄闇の むこうには どうしても名前の思い出せない 赤いキャップをかぶった 友達が どこか うんざりしたようなしぐさで バウンドしたボールを トラップする 次にボールが 帰ってきたら もう遊びはやめて  家に帰ろうと 言おう しかし 気付けばボールは 薄闇からまた ぼくの足もとへ  素早く回転しながら転がってきていて ぼうん という  友達の ボールを蹴った音が 真っ