住んでる世界がちがう彼

タイトルだけど、住んでる世界がちがうわけはない。彼も私も、同じ地球の、日本に住んでいる。
だけど、彼の周りの環境とか交遊関係とか、知っていけばいくほど、生きてきた世界がちがう、住んでいる世界がちがうかもしれない、そんな風に感じてしまう。

家族じゃない限り、同じ環境で生きてきた人なんていない。そんなことわかっている。家族だとしても、家族だけがコミュニティじゃない。学校、職場、趣味の関係。ひとりひとりが、ちがう世界を持っている。わかってる、わかってはいるんだけど、自分とまったく同じ人なんていないってこと。


このどうしようもなく"ちがう"と思ってしまう感覚は、私の心のキャパシティの問題なのだろうか。


彼とは、出身地がちがう。
学生時代、北は北海道、南は沖縄の同級生がいたし、なんなら海外の留学生もいた。だから出身地に対して、世界がちがうと思う原因ではなさそう。

彼とは、学歴がちがう。
見下すわけじゃないけど、彼のほうが学歴が低い。それに対して彼はコンプレックスに感じてそうだなって思うこともあるけれど、彼と同じような学歴の親友が私にはいるから、必ずしも学歴だけで住んでる世界がちがうとは思わない。

彼とは、職場がちがう。
これも別に気になることではない。同じ職場で仲良くなった同僚はいても、前から友達で同じ職場の人っていないし。職が異なるからって、ちがう世界とは感じない。同じ職場にいたって、みんなまったく同じ業務をしてるわけじゃないし。


じゃあ何が、どこが、世界がちがうって感じてしまうかって、過ごしてきた環境と交遊関係に依ってしまうのだろうか。

私は不安になりがちなほうだと思う。石橋を叩いてアンパイを選んで危なくないようにやってきたタイプ。不安になることだったり、確実さのないことは避ける傾向にあるし、まっとうから道を外れるようなことはしないし、世間的にマイナスなイメージを持たれるようなことはしたくない。やんちゃはしてこなかった。たぶん、真面目に生きてきた。ありがたいことに、まわりも真面目で素直な友達に囲まれてきた。

対して、彼はわりと周りがやんちゃで、それはちょっと武勇伝では、と思うことも経験してきている。そんな武勇伝をして一緒に遊んできた人たちが彼の友達だし、今でも、ちょっとそれは危なくない?と、私ならやらないなって思うことをしたりする。バックカントリーをしに行ったりね。私は絶対にスキー場でしか滑らないよ。

このずれって、価値観のずれなんだろうか。
一緒にいるには、擦り合わせて、無理ない範囲で向き合う必要があるのだろうか。
でも、それは絶対に無理、考えられない、と思ったらそれは、私にとって譲れない価値観なんだろうか。

彼に、危機管理能力、リスクマネジメントがちがうよね私たち、と指摘したことがある。彼は車に財布を置きっぱなしにしたり、窓を開けたまま家を出たりする。危なくない?と彼に言ったことがあるけれど、別に盗まれてそこまで困るものはない、というのが彼の意見。現金だって大して持っていないし、クレジットカードは止めればいい。そんな考え。
いやいや、なんだろう。そうじゃないんだよね。
盗まれても困らない、じゃなくて、盗まれないようにしよう、という気概はないの?よくわからん、私には理解ができぬ。


ここ数週間、週明けになると、彼とのことをマイナスに考えがちになっている。このまま、いつまで、続けていけるのだろうか。今はまあそうだよね、違うよね、と思えていても、今はちょっとした違和感で過ごせても、いつまで、こうやっていられるの。

彼と週末を過ごして、幸せな気持ちで別れるのに、週明け、出勤して私の日常に戻ると、にわかな不安を感じて、それに自分自身が気づくとだんだん不安が大きく膨らんで感じてしまう。
不安を大きくしているのは、自分自身の感情だなって自覚はある。気持ちを、考えを反芻して、不安を大きく捉えすぎてしまっているんだと、思う。


いつも水曜日を過ぎれば、なんてことなくなる。彼には週末しか会わないから、平日は仕事に追われれば、自分に集中できるようになるから、彼との不安はどこかに飛んでしまう。
考えすぎなのかもしれない。彼とのことを。
もう少し、何も考えずに過ごしたらいいのかもしれない。でもそれができていないから、今もこうしてどうしようもない整理のされない感情を文字にしている。


彼と、ずっと一緒にいるって決めたわけじゃない。今は彼といたいけど、きっと彼もそう思ってくれているから一緒にいられているけど、これがいつまで続くかなんてわからない。
私が不安に思うように、彼だって、私に対して何かを思っているかもしれない。

いまの私たちには、同じ時間を共有して過ごしている。それが全て。なんでもできる自分の時間を、今はこの人と過ごそうって、お互いに思っているから過ごせている事実しかない。
それはこれからもずっと続くものではないし、今を重ねて、今がつみ上がって、彼との付き合いが3か月に突入しただけだ。

期待しないって、難しい。無意識のうちに期待してしまう自分がいるから、悩ましい。
意識的に、瞬間瞬間を、当たり前のことじゃないと、胸に刻んでおきたい。

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