「NPOのど真ん中で新資本主義を考える」
「資本主義をアップデートする」をテーマとしたアドベントカレンダーが、株式会社Figurout CEO / Founder 中村研太氏を中心にスタートしています。
19日目は、私、認定NPO法人キーパーソン21代表理事 朝山あつこがバトンを受け取り投稿させていただきます。
お金が最優先だった時代から、一人ひとりが幸せと感じられる社会のシステムつくりの時代への変化に向けて、このアドベントカレンダーに登場されるような日本のトップランナーの方々が、自分事として捉え考えておられることで、日本はもっと幸せを感じることのできる国になっていけるのではないかと希望を感じています。
私は、19日目を担当するにあたり、お金に換算しづらい活動を行うNPOにおいて23年間事業を行ってきた立場から、2つのことを提案したいと思います。
一つ目は、「日本における子どもの意欲の低下の問題」が緊急に対策の必要な課題であるということ。人材が枯渇すれば、資本主義も新資本主義もあったものではない。日本の未来を創造する子どもたちを育むということを企業やビジネスの最前線におられる皆さまと本気で取り組む仕掛けをつくれないだろうか。
二つ目は、人の幸せを中心に考えることが新資本主義であるならば、目の前の社会の課題に立ち向かおうとするNPOの社会起業家の卵たちと、企業や新資本主義における“ビジネスモデル”の構築に成功されている皆さまとが手を取り合い、社会課題を解決するNPOの“事業モデル”を作ることを仕掛けていくことはできないだろうか。
という2点です。
まずは、1つ目から。子どもの意欲の低下と人材育成について。
日本は世界と比較して、子どもたちの意欲が低く、未来に希望を感じにくい国となり、世界から引き離されてしまっていることをご存じでしょうか。
日本の子どもたちは、はじめからできないと思い込んでおり、やる前から失敗を怖がり、将来やりたいことはないと言います。意欲が育まれていないという一番恐ろしいことが起きています。
全国の先生方は、「うちの子たちとてもいい子なんです。勉強もそこそこできる。でも積極性や主体性が足りない。やりたいことがないと言うんです。やりたいことをやりたい!と堂々と言える人にしたい」と口を揃えておっしゃいます。
私たちのNPOはこの意欲が育まれていないという問題は緊急に解決すべき日本の最優先課題だと危機感をもっており、一人ひとりの子どもの中にあるダイヤモンドの原石のようなわくわくして動き出したくなる原動力を引き出し、そこから生まれる沢山の「やってみたい!」を応援する活動をしています。
人の意欲の低下の結果、日本経済は低迷を続け、1989年には時価総額ランキング50社に日本企業が32社入っていたのが、2023年にはとうとう一社もチャートインしなくなってしまいました。
日本の教育の中に、子どもも大人もわくわくしたり、やりたいことをやりたいと言えてどんなにちっぽけに見えることでもチャレンジできるような風土つくりや、失敗してもナイスチャレンジと言ってあげられるような、大人の側の大胆な意識改革や言動や行動の改革が必要だと思っています。
どのようなことが原因で子どもの意欲が低下し続けているのかの話は次の機会にさせていただくとして、子どもも大人も、自分の未来に、また未来の自分に希望をもてない国に明日はありません。子どもの前に、まずは大人自身も自らの人生にわくわくする必要があります。
さらに日本の経済成長が停滞している間に、日本の「学校に足が向かない」不登校と言われる子どもたちは30万人にもなり、子どもの死亡原因の一位は自死という悲しい事態となっており、いじめは小学校低学年へと低年齢化が進んでいます。
私たちは、これらの状況を子どもの問題としてではなく、大人の側の子どもへの関わり方や教育の本質の問題であり、企業とNPO、国や地域が一体となって取り組んでいくことでしか、解決しえない断崖絶壁の淵まで来ていると考えています。
二つ目は、志を消失させない、社会問題を解決する”事業モデル”を、ビジネスモデルの創出で成功されている皆様と構築したいというお話です。多くの社会課題を解決しようとするNPOで社会起業を志した方々の思いやアクションが消えてしまっているという問題です。
1998年にNPO法が制定され、多くのNPOが世に出た一方で、大量のNPOが解散するということが起きています。想いと志をもって社会的起業へチャレンジしたものの、活動費用の調達が難しく持続性が得られなかったり、新しい在り方への理解の不一致だったり、想いがあるからこその内部分裂だったり、志と活動のためのバランスをとることの難しさがあっただろうと推察します。私共のNPOもご多分にもれず、そんな苦労をして来ています。
私自身も創業時、困っている子どもをなんとかしたい!目の前にある課題を何とか解決したいという思いで、NPOがお金を調達することが難しいと分かりながら、創業の一歩を踏み出しました。
当初はボランティアで行っていましたが、あっという間にボランティアでやれる仕事量の域を超えていき、活動が活発になればなるほど活動資金は多く必要になっていくという当たり前のことが起きました。NPOだろうが、企業だろうが、どんな組織体であったとしても、継続性を考える時、活動資金を得なくてはならないことは明白です。ただ、NPOという思いや志が先に立ちお金を確保することは二の次という特性の組織体では、なかなかに収入源を確保する事業モデルの構築が難しいという問題があるのです。企業においてビジネスモデルを構築することよりもNPOで事業モデルをつくることの方が難易度が高いと感じています。
現在、私たちのNPOは、9つの収入源で成り立っています。
①会員の会費
②寄付金
③助成金
④委託事業費
⑤独自開発したプログラムの研修費
⑥プログラム実施費用
⑦企業との協働事業による事業費
⑧プログラムのノウハウをご提供する法人とのパートナー提携料、
⑨講演、取材などの謝金
当団体は、寄付型ではなく、事業型NPOとして進んできており、目の前の子どもの問題を解決するために独自に開発したプログラムという資産が、上記⑤⑥⑦⑧の「志金」を生む「事業モデル」として小さいながらに自立を実現してきています。
企業が“ビジネスモデル”を構築するように、NPOも「志金」を得ることのできる“事業モデル”を構築することができたら、解散せずに活動を続けられたNPOはたくさんあるだろうと思います。
NPOを創業する時、解決したい地域の課題にいち早く気づきアクションした創業者たちは、「思い」や「志」を持っていたはずです。しかし、解散を余儀なくされたことで「解決したかった地域の課題」はそこに置き去りになってしまいました。
そんな思いや志に基づいた社会課題の解決を、アップデートされた資本主義の中では、救うことができるのではないか?
今や環境や社会に配慮して事業を行っている企業に投資を行うESG投資や、Z世代が健康・環境・社会に考慮した商品を購入する傾向があることがマーケティングとしても見逃せないポイントとなっていると思いますが、企業が事業モデルをNPOと考案することは、企業にとっても社員の育成にもなります。共に同じ方向を向き協働していく仕掛けを資本主義がアップデートされる時代の境目につくることができないでしょうか。
人が社会課題に気づき、アクションを起こそうとするその意欲や思いが活かされて社会に実装していく仕組みをつくることができたら、チャレンジする人たちに勇気を与え、さらには、未来を担う子どもたちにも勇気や希望となるに違いありません。
以上の二点に関して、企業とNPOとの協働は、アップデートされた資本主義を実現していく一つの手がかりになるのではないか?という思いを強くもっています。
※参考
認定NPO法人キーパーソン21については、
yahooニュース
「ふつうの主婦」が見つけた「わくわくエンジン」のかけ方(湯浅誠氏)
キーパーソン21ホームページURL:http://www.keyperson21.org/
川崎市SDGsゴールドパートナーとなりました。
https://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/54-10-6-0-0-0-0-0-0-0.html
2020年7月非営利組織評価センターによる
グッドガバナンス認証を取得しました。
https://jcne.or.jp/gg/2020g00021.html
YouTube わくわくエンジンチャンネル
https://youtu.be/1e9u5FEzfVs
note わくわくエンジン図鑑
https://note.com/wakuwaku_engine/n/n12439d98f4a9
第7回キャリア教育アワード
経済産業大臣賞(各部門の最優秀賞)受賞
http://www.meti.go.jp/press/2016/11/20161130002/20161130002.html
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「わくわくエンジンが未来をつくる」
〜make it happen with WakuWaku engine〜
認定NPO法人キーパーソン21
代表理事 朝山あつこ
facebook:https://www.facebook.com/atsuko.asayama
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