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ふつうの主婦だった私がNPOを始めたわけ

わくわくして動き出さずにはいられない原動力「わくわくエンジン®」を持って活動している方たちを紹介する連載「わくわくエンジン図鑑」。
認定NPO法人キーパーソン21がお届けします。

今回はわくわくエンジン®という言葉が生まれるちょっと前の話。キーパーソン21代表朝山あつこの元祖わくわくエンジン®ストーリーです。

【図鑑 No.2】
お名前

朝山あつこ
おしごと
一人でも多くの人が自分を活かしていきいきと仕事をして生きていけるようにお手伝いすること
わくわくエンジン®
みんなの力をつなぎ合わせて、新しい何かを生みだすこと

はじめまして。
認定NPO法人キーパーソン21の代表理事 朝山あつこと申します。

普段は、小中高校の学校の授業に入って、子どもが自分の「わくわくエンジン®」(= 一人ひとりの中にあるわくわくして動き出さずにいられない原動力 = モチベーションのもと )を見つけ出し、子どもたちの意欲や主体性を育むキャリア教育を行っています。これまで約19年間にわたって延べ5万人の子どもたちにわくわくエンジン®発見プログラムを提供してきました。

また、学校の授業のみならず、どんな環境にいる子どもにも届けることができるように、貧困家庭や一人親家庭、登校しないなど何らかの生きづらさを抱える子どもたちにも、学習を支援しながら、今の自分と未来の自分に希望をもつことができる居場所を週6日川崎市内3か所において提供しています。
プライベートでは、3人の息子たちを育ててきた母親です。

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「僕は高校へは行かない」

私は、もともとは3人の息子を育てるごくふつうの専業主婦でした。大学を卒業して、就職先も決まっていましたが、結婚して主婦になりました。働きたいと思ったこともなく、何かしたいことがあったわけでもなく、何も考えずにただただ、何となく毎日を過ごしていました。
そんな私ですから、息子たちも、あたりまえのように中学、高校、大学と行って、就職をして結婚して、また温かな家庭を築いて生きていく、当たり前過ぎて考えもしないくらい「そういうもんだ」と思っていました。

ところが、長男が中学2年生の時に、学校崩壊が起こりました。子どもたちは廊下に水をまく、牛乳を床にぶちまける、物を壊す。トイレの修理費が何百万円とか。 そこから何かがおかしいぞ・・と考え始めました。

その後、中学校は表面上は落ち着きましたが、今度は、長男が中学3年夏休み前に、突然「僕は高校へは行かない」と言い出しました・・。
「え、高校に行かない?」「どういうこと?」「それは困る」…という思いが、その瞬間、ぐるぐると頭の中を駆け巡り、同時に「なんと!高校へ行かないという選択肢があったのか」と高校へ行くのは当たり前過ぎて、考えもしないくらい当たり前と思っている自分に気づきました。いかに固定観念に縛られていたか。確かに日本では中学までが義務教育。中学校さえ卒業していれば義務は果たせるわけです。

とは思いつつ、息子に聞きました。「高校へ行かず、何かやりたいことがあるのか?」と。すると、息子は「特にない」と。

「そうか。学校って、本当は、部活ができたり、切磋琢磨できる一生の友人ができたり、たくさんのことを教えてくれる素晴らしい先生がいて、将来どうしようかって考えることができて、いろんなチャレンジができて成長できる素晴らしいところ。今、通っている学校は何かがおかしくなってしまっているだけ。だから、今、やりたいことがないのであれば尚のこと、それを見つけるために神様がくれた三年間と思って高校に行ってみたら。」と。

「でも、もう自分で生きられるよ。自立のための教育はもういらないというのであれば、それはそれでOK。中学を卒業したら家を出なさい。私の母親として社会へ送り出す仕事は終了だね」と言いました。

私もびっくりしましたが、息子もびっくりしたと思います。この親、何を言い出すんだと(笑)。 結局、長男は高校に行くことになりましたが、そのようなことが起こる中で、

そうか、人生というのは、決まっているものじゃなくて、自分で考えて、選んで、決めて進んでいくものなんだ。

って初めて気づいたんです。
その時から、私の中で何かが変わり始めていきました。

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「君これくらいだよね」って大人の決めつけ

そこから、今の子どもたちにとって何が必要なんだろう?と考え始めました。 子どもたちを自立した人として社会へ送り出す―それは私の母親としてのミッション。

でも見渡してみると「君、この成績だから、これくらいの学校だね」って進学先や進路が決められていく。本人の意思ではなくて、こうしたいって気持ちでもなくて、「君これくらいだよね」って。「大学行けば安心だよ、有名企業入れればいいよね」って。

そうなのかな?
それより、もっと大切なことがある。
今、目の前の子どもがわくわくして「こうしたい!」という気持ち。

エネルギーのもとが見つかれば子どもは生き生きする

長男の学校崩壊と「高校には行かない」発言から、私はなぜ子どもたちは暴れるのか、逆になぜ無気力になるのかと考えるようになりました。そして暴れる子も無気力な子も、みんなとても退屈そうに見えた時、

そうか、みんな自分のエネルギーを向ける先がほしいんだ
ということに気がついたんです。

学校では毎日全員が同じ教科書を使い、同じような授業を受け、家に帰れば勉強しろ、早く塾に行けと言う親がいる、地域では餅つき大会なんかの行事が次々となくなって、自分の役割はどこにもない、これじゃ子どもたちはつまんないはず。子どもたちの生活の中には、自分で考えて自分で決めているということがないから、「自分が生きている!」という感じがしないんだ。
子どもが育つ環境は、あまりに四角四面の一辺倒。そりゃあ、これじゃあ、エネルギーがどこかへ向かおうとしても全部壁にぶつかって、空中分解。

このままの家庭や学校や地域の在り方だと、私は母親として、子どもたち3人をいきいきと仕事をして生きていく人として、社会に送り出すなんて到底できそうにない!みんな一緒に子どもたちを育ててよ!って思ったんです。子ども一人ひとりの中からエネルギーが生まれ出て、それが活かされるような、大人の関わり方や教育の在り方やシステムが、家庭、学校、地域、今の日本の中にない。

子どもたち一人ひとりが自分のエネルギーのもととなるものがわかって、それが活かされるようになれば、子どもたちは、もっといきいきと伸びやかに成長していくはず。それは、日本全体の幸せに繋がるはず。

でも、でも、
そもそも、「こうしたい!」「やってみたい!」っていう気持ちって、どうやったら見つけられるの?

みんな、「やりたいことはない」っていう。自分のエネルギーの行き先どころか、自分のエネルギーのもとが何なのか、どこにあるのかすら、そもそも見つけられないでいる。

このことが、今の日本の最大の課題なんじゃないのか?

それが見つかれば先に死んでも安心

母親として息子たちに残せるものって、なんだろう?
財産?学歴?有名企業に入れること?
いや、違う。

自分の本心、気持ちが素直に向いて、わくわくして動き出さずにはいられない原動力のようなもの。
これを息子たち一人ひとりから見つけ出すこと。
これができれば、あとは自分で考えて、判断して生きていってくれる。

子どもが自分自身を信じることができる。
自分の進む方向性を見つけることができる。
自分をいかすことができるようになる。
そうなれば、親は先に死んでも安心だ。

“それ”を今、「わくわくエンジン®」と呼んでいます。
子ども一人ひとりから、丁寧にわくわくエンジン®を引き出して、そこからたくさんの「やりたい!」「やってみたい!」というわくわくした気持ちが生まれてきます。
それを応援するのが親や先生や周囲の大人たちの本来の役割なんです。

「お母さんはどういう人生送ってきたの」と言われたら

そこからいろんなことが動き出しました。

我が家の子ども3人だけだったら、もしかしたら色々な経験をさせたりしながら、社会に送り出すこと、できるかもしれない。でも、息子の友人たちはどうなるんだろう?息子たちだけがわくわくしていても絶対幸せにはなれないだろうなって思いました。

当時の日本の教育の仕組みや、学校、家庭、地域の在り方を見たときに、これは日本中の問題なんだって思ったんです。息子が社会で仕事をするようになった時、周囲に「つまんねー、やる気ねー」って言っている人たちばかりだったら、わくわくして張り切ってる息子たちはなんだか浮いてしまうし、生きづらい社会しか目に浮かばなかった。

それに、私自身はどうなの・・・??
ママたちとのランチも、お稽古事も、ショッピングも楽しいけど、働いたこともない。息子には「生き生きと仕事をして生きていくんだ」と言っているのに「お母さんは?」て聞かれたら、言葉に詰まる。息子からしたら「人のこと言えねーだろ」ってなってしまう(笑)私も自分の人生を考えたいって思いました。

そこでまず行ったのが川崎市の女性起業家セミナーでした。
いろんな方がいました。
「こんなこと考えてるんですけど」って言うと、「それ、いいね!」って、みんないろいろ揉んでくれる。そして、実現に向かえるように人を紹介してくれたり、活動が進みだすように、いろいろとサポートしてくれたんです。

「あー、そうなのか」と目からウロコで。
「世の中にはいろんな面白い人がいっぱいいるんだ」
「そして、応援してくれるんだ」
自分がいかに何も知らなかったかに気づかされました。本当に世間知らずで(笑)子どもと同じ。 応援してくれる人がいる。「それいいね」って言ってくれる人がいる。

生まれて初めて自分の気持ちから発動して、「やってみたい!」って思えたのです。


わくわくエンジン®から生まれる「やりたい!」を応援するコミュニティ(NPO)を作っちゃった

こんな面白い大人たちが日本中にたくさんいることを子どもたちにも知らせたい。子どもの世界は、家と学校と部活と塾くらい。

「もっと広い世界に、いろんな価値観の面白い人たちがいて、いろんな生活をして、いろんな仕事をしているカッコいい大人がいっぱいいるんだよ」

「その大人たちは、みんなの中にある“わくわく”する気持ちや、“やりたい”気持ちを、そんなの無理とか、そんなのはダメ、ということなく、いいね!とポジティブな言葉と行動で応援してくれるんだよ。」

こう言えたらどんなに素敵だろう・・・
そんな大人たちのいるコミュニティやまちがつくれたら・・・
まちの中、日本中、世界中、地球上のすべての人がキーパーソンだ!

いろいろな立場や状況の大人たちがごちゃまぜになって本気でAll Japanで子どもを育てたい!!!

それでNPOを作っちゃった・・。

asa02のコピー

今ならAll JapanというよりAll Global。コロナの影響で身近な地域だけでなく、日本中世界中とあっという間にオンラインで繋がれるし!

ここから私の「わくわくエンジン®人生」始めました。
今では、親、先生、大学、企業人、行政やNPOや地域の大人たちの仲間が、北海道から沖縄の全国にいます。

そんなわけで、何も考えることなく生きていたふつうの主婦だった私は、
「一人ひとりの中にあるダイヤモンドの原石のような、意欲や主体性のもととなるわくわくエンジン®こそが未来をつくるんだ」と気づいたらわくわくして、居てもたってもいられず動きだし、NPOを20周年を迎える今に至ります(笑)

最後に

「どうやったらわくわくエンジン®って、探せるのでしょう?」とよく尋ねられます。
わくわくエンジン®は、自分の過去と現在を見つめ、肯定し、自分自身を感じ取り、自分の未来を感じ取り、自分の未来を進む力の素のことなのです。

まわりの評判にとらわれず、損得を考えず、道理を気にせず、未来を予測せず、枠にはまろうせず、ありのままの自分を見つめて、ありのままの自分を受け入れて、本質をまるごと捉えると、わくわくエンジン®っていうやつは、すーっと現れて来てくれるのです。とても自然に、とてもシンプルに、とても美しく、とても心地よく。 わくわくエンジン®は、他人と比べるものではないし、人より良いということも悪いということもない。人より強い弱いというものでもない。自分の中から生まれてくる自分だけのものなのです。
だから、自分のわくわくエンジン®を発見した人は、自分を認めて、自分の何を信じたらいいのかがわかるようになる。さらに、自分以外の人のことを理解し認めることができるようになっていくという、素晴らしいおまけ付き。 自分自身のわくわくエンジン®ってどんなことかなあ?と、よかったら考えてみてください。きっといつもと違う何かがみえてくることでしょう。

そんなことを信じて、私も3人の息子たちを育ててきました。今となっては、息子たちも、35歳、30歳、28歳となり。それぞれ迷ったり、悩んだりしながらも、その都度、自分で考えて選びながら、今のありのままの自分をまるごと信じて、自分の気持ちが素直に向かう方へと人生を一歩一歩進んでくれています。

そして、キーパーソン21に関わって活動してくれているみんながそれぞれに考え、自分の本心に素直になって自分の人生の選択をしてくれていっていると感じていることが、私がこのNPOをはじめてよかったと思える一つ一つの瞬間です。

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わくわくエンジンって何?はこちら


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