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東京都知事選の結果について

さて、今日は昨日投開票が行われた東京都知事選について書きたい。

結果は予想通り小池百合子の圧勝に終わったのだが、注目すべきは石丸伸二が2位につけたことだろう。これは今後の野党再編、そしてここの国のSNS下の民主主義について、大きなターニングポイントになると思う。

一晩明けて今僕が気になっているのは以下の4点だ。

1:東京(の南西部)だけ別世界になっている問題
2:野党再編、または改革派とリベラル派の大連立の条件
3:暇空茜などカルト社会運動系候補の問題
4:安野さんという「安牌」をどう評価するか

とりあえず今日は、この4つについて順に考えていきたい。また、以下の考察の参考に先週書いた記事たちも参考にしてほしい。

では、さっそくはじめよう。

1.フワッとした改革のイメージはまだ(東京の特定の場所ではかなり)有効(「東京の南西部だけ別世界」)問題

他の候補者が……という面やSNS活用術で頭二つくらい抜けていた、というのもあるだろうけど、僕が注目したいのはこの「改革」のイメージが「東京都」という単位だとまだまだ有効だということだ。具体的な数字を見ないとなんとも言えないがこれが東京15区(江東区)だと、既存政党の組織票にまったく歯が立たないにもかかわらず、港区や渋谷区などの東京の南西部、つまりニューエコノミーの従事者が多く「昭和」性が相対的に脱臭されているエリアではかなり石丸が強かったはずで、要するに「ここだけ昭和が終わっている」別世界なのだ。

単純化すればブレグジットのときに話題になった「ロンドンとそれ以外」の分断問題が日本にも顕在化し始めていると考えればいい。教科書的な話だけれど、グローバリゼーションとはメガシティのネットワーク発展のことで、国境の消失のことではない。港区のエンジニアとニューヨークとシンガポールのエンジニアたちとのライフスタイルや価値観はすごく近いが、北区の工員のそれとはかけ離れてしまう。ちなみにこの分断は「悪いこと」ばかりでもなく、これを逆手に取りこれらのエリアを「特区」的に活用し、実験的な政策を行う(それこそライドシェアなど)のも悪くない……というか住民のニーズ的に成立するはずだ(23区の権限の弱さ、みたいな別の問題はあるだろうけれど……)。

2.野党再編の問題(改革派はネトウヨを切る、立憲民主党は共産党を切る)

今更だが今回の結果を見ると石丸と蓮舫の票を足すと小池に肉薄できることがわかる。これが何を意味するたと言うと、やはり野党再編が、少なくとも選挙協力のレベルでは起きないと政権交代は難しいし、逆にこれができれば十分可能だということだ。そこで、僕が提案したいのは「改革派」はネトウヨを切ること、そして立憲民主党は共産党から距離を置くことだ。

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僕はもはやFacebookやTwitterは意見を表明する場所としては相応しくないと考えています。日々考えていることを、半分だけ閉じたこうした場所で発信していけたらと思っています。

宇野常寛がこっそりはじめたひとりマガジン。社会時評と文化批評、あと個人的に日々のことを綴ったエッセイを書いていきます。いま書いている本の草…

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