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ベラトリックスのなみだ 第26話

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四つ足ドローンは、言った。

「地球の生命は、この惑星を自由に利用出来るのですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「この惑星の人間たちに不利益を及ぼさない限り、地球の生命は、この惑星を自由に利用出来る。」

四つ足ドローンは、言った。

「この惑星の人間たちの遺骸からサンプルを採取することは、この惑星の人間たちにとって不利益ですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「不利益だ。」

四つ足ドローンは、言った。

「この惑星の人間たちの遺骸に触れることは不利益ですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「不利益だ。」

四つ足ドローンは、言った。

「この惑星の人間たちの遺骸を移動させることは不利益ですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「不利益だ。」

四つ足ドローンは、言った。

「この惑星の人間たちの遺骸に何らかの変化を及ぼすことは不利益ですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「不利益だ。」

四つ足ドローンは、言った。

「この惑星の人間たちが作ったものに何らかの変化を及ぼすことは不利益ですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「不利益だ。」

四つ足ドローンは、言った。

「この惑星の人間たち以外の生命に何らかの変化を及ぼすことは不利益ですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「不利益ではない。」

四つ足ドローンは、言った。

「私たちが、この惑星の人間たち以外の生命に何らかの変化を及ぼしたら、あなたはどうしますか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「あなたたちの生命の維持に必要な変化なら、私は何もしない。それ以外の変化なら、私は、生命を守るために変化を防ごうとする。」

四つ足ドローンは、言った。

「私も、ベテルギウスからの放射線が降り注ぐ前に、地球の生命をこの惑星に移動させたいです。全ての地球の生命がこの惑星に移動するのにどれくらいの時間がかかりますか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「情報が不足している。地球の生命の数と、地球から近道まで移動する手段とその効率と、近道からこの惑星に移動する手段とその効率を知る必要がある。」

四つ足ドローンは、言った。

「地球の生命の総数は不明です。人間たちの数は80億ほどです。地球から近道まで移動する手段は、化学ロケットです。その効率は、おそらく最大値でも年間5000万人でしょう。近道からこの惑星まで移動する手段も、化学ロケットです。その効率は、おそらく最大値でも年間5000万人でしょう。」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「その条件では、全ての地球の人間たちがこの惑星に移動するのに160年かかると予測される。」


~つづく~


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