ベラトリックスのなみだ 第18話
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「この人間の組成の情報は、私の記憶にある。その情報をあなたの記憶にコピーすることが出来るか?」
四つ足ドローンは、首を傾げながら、言った。
「情報をコピーすることは出来るかもしれません。しかし、私は、あなたの情報の言語を知らないから、情報の持つ意味は理解出来ないでしょう。」
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「私の情報の言語をあなたに教えたい。」
四つ足ドローンは、頷いた。
「あなたの情報の言語を教えて下さい。」
白い繭のようなものの一部が形を変えて、モニターのようなものになった。
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「数を教えたい。」
モニターに黒い円が表示された。
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「0」
四つ足ドローンも、自分のモニターに黒い円を表示して、言った。
「0」
繭のモニターに白い円が表示された。
ベラトリックスBbのAIは、言った。
「1」
ベラトリックスBbのAIの情報の言語は、二進法のデジタル信号で記録されていた。
数、数学、元素、化学式、生物の組成、生物の生化学反応、遺伝子の情報、生物のライフサイクルなどを、四つ足ドローンは学んだ。
四つ足ドローンは、言った。
「その生物の組成についての情報は得られました。したがって、サンプルを採取する必要はもうありません。サンプルの採取をとりやめます。」
~つづく~
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