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ベラトリックスのなみだ 第25話

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四つ足ドローンは、言った。

「ベテルギウスからの放射線がすでに通り過ぎた天体も含まれるでしょう。今から200年ほど前に放射線が降り注いだこの惑星なら、ベテルギウスからの放射線が再び降り注ぐことは無いでしょう。」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「あなたは正しい。あなたたちの太陽系の生命を、この惑星に移動させたい。」

四つ足ドローンは、言った。

「近道を通れば、私と同じように、太陽系の生命もこの惑星に移動出来るでしょう。」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「生命は今まで近道を通ったことは無い。しかし、おそらく通れるだろう。」

四つ足ドローンは、言った。

「この惑星の生命は、近道を通らないのですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「私が近道を作ってから、この惑星の生命が近道を通ったことは無い。」

四つ足ドローンは、言った。

「この惑星の人間たちは、近道を通らなかったのですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。
 
「この惑星の人間たちは、近道を通らなかった。私が近道を作ったのは、ベテルギウスからの放射線が降り注いだ200年ほど後だ。放射線が降り注いだあと、人間たちは、全く何もしない。」

四つ足ドローンは、言った。

「ベテルギウスからの放射線が降り注ぐ前に、なぜ近道を作って生命を安全な場所に移動させなかったのですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「宇宙の物理現象についての情報に基づくと、ベテルギウスが超新星爆発を起こす時期は、数十万年以内と予測された。そして、人間たちは、私に放射線への備えを命令するコマンドを出さなかった。そして、ベテルギウスは予測よりも早く爆発した。」

四つ足ドローンは、言った。

「ベテルギウスは、なぜ予測よりも早く爆発したのですか?」

ベラトリックスBbのAIは、言った。

「宇宙の物理現象についての情報が不足していたため、正確な予測が出来なかった。」


~つづく~


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