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Overdose (オーバードーズ)という死

カナダ生活11年目のWakei です。

先日、友人がレンタルしている部屋の大家さんの20代の息子が心臓発作でなくなりました。

こうした若い世代の持病もない人が心臓発作で急死と聞くと、カナダ人の多くはOverdose (薬物の過剰摂取)を連想するでしょう。
実際に彼の死因も本当のところOverdoseだったようです。

カナダでは、Overdose が関連した死は珍しくありません。

マリファナ合法化

カナダでは2018年にマリファナが合法化され、安全なマリファナが普及することで、ドラッグをめぐる事故が減ると期待されましたが、多くの人は信じていなかったでしょう。

*安全なマリファナとは成分や品質が明確なもの。違法に売買されるマリファナや薬物は何が入っているか、どうやって作られたかが不明で、危険です。

むしろマリファナが合法化されることで、若年層に普及する一助となると危惧する方が、私のまわりでも多かったです。

マリファナ合法化は、マリファナをいちいち取締るよりも、いっそのこと闇ビジネスの資金源を正規ビジネスとして、公に税収とした方が都合がいい、というのも理由です。

コロナ以降、Overdose死が激増

カナダではコロナ以降、overdose で亡くなる人の数が激増しています。

私の知合いの20代達もそれはよくわかるといいます。
なぜなら、孤立して過ごす時間が増えたり、経済的不安が増した中、マリファナなどのドラッグをやる人が増えるのは当然の結果だし、一人でドラッグをしてバットトリップをしたときに抑えてくれる人がいないと、事故や自殺になっても不思議はないから、と言います。

マリファナは危険薬物じゃない?

マリファナって、タバコやアルコールよりも依存性も少ないし、危険じゃない、って言うことを聞きますし、わたしも正直どうなの?って思ってました。

ところが、先日実際にマリファナの常習者だった人から、マリファナを吸うようになってどうなったかを聞いてびっくりしました。

まず、マリファナは中毒性があり、吸引中に高揚感や多幸感もある反面、バットトリップと言ってわけのわからない恐怖感に襲われ、発作的な行動になることもあるらしく、一人で吸引するのは危険らしいのです。

そして、彼の場合、感情の起伏が少なくなり、ぼーっとして集中しずらくなった、そうです。ただ、怒りの感情だけは強く残ったそうで、人間関係が上手くいきずらくなったということです。

マリファナ慣れをしてくれば、さらなる刺激を欲したくなるだろうし、中毒性のあるマリファナの使用をどこまで自制できるかは、本当に際どいところだと思います
依存症や後遺症から回復するまでも大変なようです。

タバコのように1日1本、なんて感じやってたら、絶対依存症なりそうですし、週に2日は休肝日なんてペースでやっても脳は中毒になりそうです。

脳にダイレクトに強烈に働くマリファナは、やっぱり取扱い危険薬物と言った方が合っていると思います。

カナダの中高生とマリファナ

まだマリファナが合法化されていない時期に、娘が高校の高校の授業である先生から

「おまえら、マリファナはまだいいが、コカインだけは絶対にやるなよ。
コカインやったら、人間じゃなくなるからな!!わかったか!」

みたいなことを言われてびっくりした、と話してくれました。

当時ですら、娘たちが友人宅でパーティーをやっているとわかると
同級生のドラックディーラーが現れて、「マリファナいる?」って聞きに来たそうです。「あんたの来るところじゃない!」と追い返したようですが。

今では合法化されたこともあり、子どもたちの間では、アルコールやタバコのように年齢的には違法でも、身近なイメージになってしまいました。

授業中でも携帯で「ドラッグいる?」のメッセージが回るそうです。

カナダの特にアジア系の親が心配なのは、子どもがドラッグとちゃんと距離を保てているか、だと思います。

ショッピングモールの女子トイレに設置された生理用品入れではなく、
使用済みの注射針入れ。

マリファナの後に来るもの

マリファナが合法化され、コロナが始まり、景気も悪くなったせいなのか、「以前より、ホームレスの数や犯罪が増えた気がする。」と言う話がよく話題になります。

ホームレスは単純にお金がない人ではなく、カナダの場合、多くがドラッグ中毒者です。

ですから、ホームレスが「お金をくれ」と言っても現金を渡さないのです。現金があるとすぐにドラッグに走る可能性があるので、食べ物などの現物支給をした方がいいと言われます。

また、ドラッグ中毒者は、ドラッグ欲しさに犯罪の予備軍になりやすく、治安も悪くなります。

ホームレスのシェルターやドラッグ中毒者の更生施設など社会的な負担も増えていきます。

このようにドラッグの問題はドラッグをする人だけの問題ではないのです。そして、マリファナがこうした危険ドラックの入口なのです。

それに加えて2023年には、私の住むカナダのBC州では北米初のハード・ドラッグ(コカインなど)も少量の所持の合法化が始まります。

実際に使用している人が多い現状があり、知られると犯罪として逮捕されることを恐れて、一人で使用して薬物過剰摂取死になるケースが多いからだとか。なので、犯罪として逮捕しないから、必要な時はヘルプを公に求められるように、というのが理由のようですが、どうなんでしょう?

逮捕される違法なことで、もしかしたら死ぬかも、という究極の選択でも辞められないのがドラッグ、と言うことですから。

この法律がOverdose 撲滅に役立つのか、それとも
新たな薬物依存者、犯罪の増加になるのか? 

できればハズレて欲しいけど、いい予感はしません。

あなたはどう思いますか?


独り言

日本の麻文化の継承が欧米のマリファナとの混同でやり難くなっていると聞きます。麻は日本人にとって着物や神義、丈夫で安全な素材として欠かせないものだったのに残念です。





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