◆0◆ プロローグ「苦い記憶」
「おお、我が愛すべき王女よ! 私の愛を受け入れてくれぬのならば、是非も無し。私はザヴォーク・ラ・ゴラス、魔王と呼ばれた男! 今こそ我が闇の軍勢の力をもって、そなたの国を滅ぼしてくれよう! 既に天界の光は消え、天の御使いどもも退けた! この私に不可能などないのだ!」
壇上に上がった青年が、朗々と台詞を紡ぎ出す。
それをいかめしい顔の男達が三人、顔を並べて見守っている。劇団ふたご座に籍を置く舞台監督、演出家、脚本家である。彼らは、次回公演予定である舞台、「破滅の魔王と王女~愛