見出し画像

わかおの日記70

家から駅までゆっくりと歩いていたら、乗るはずだった電車に間に合わなかった。1本あとの電車では、遅刻してしまうことは必至。絶体絶命のピンチであった。どうするわかお。考えるんだ。ぼくは脳みそをフル回転させ、乗換案内のサイトをこねくりまわして、どうにか遅刻しないで済む方法を考えついた。

高田馬場で山手線へ乗り換えるときに、全力で走ればいいのである。それにより通常4分程度かかる乗り換え時間を2分、あわよくば1分まで短縮することで2本前の電車に乗ることが出来る。西武新宿線と山手線の接続の良さと、朝の山手線の過密ともいえるほどのダイヤにより理論上可能になる荒業である。覚悟を決めたぼくは、電車が下落合を過ぎると財布を手に持ち、スタートを切る準備を始めた。

神様はぼくに味方をしてくれた。乗換口のすぐそばでドアが開き、ぼくは走り出した。階段を1段飛ばしで駆け上がり、トップスピードでスタバを抜き去り、あっという間に山手線のホームへと降りたった。すると、内回りの山手線がぼくを待ち受けるかのようにその扉を開いていたので、急いで飛び乗った。なんとこの間1分である。ぼくはいままでの人生の中でいちばん「走ること」に対して真剣に向き合った気がした。あのときのぼくは風だったとおもう。

無事大学に着いたあとは、なんだか逆に燃え尽きてしまい、だらだらとしていた。本末転倒である。朝がピークの1日だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?