"宣紙"千年の秘密(中国安徽省涇県)
文・写真:任長箴
宣紙とは
宣紙とは、中国の古典書画に使用する紙である。唐代に涇県で生まれ たと言われており、既に1500年あまりの長い歴史を持つ。独特の紙質 はしなやかで艶をもち、墨の発色がよく、光沢はあるがつるつると上滑りはしない。経年劣化せず、変色もなく、寿命が長いことが特徴である ため、古くから「紙の中の王、千年寿紙」と褒め称えられてきた。宣紙の制作には1,000幾ばくの日夜を要し、108の複雑な制作工程がある。これは機械に替えることができない特殊技法である。 2009年9月、 宣紙の伝統的な制作技法は、ユネスコ無形文化遺産に登録された。 安徽省の紅星宣紙工場は中国最大の宣紙工場であり、世界の約80%以 上の宣紙がここで生み出されている。宣紙制作の秘密を探究してみよう。
宣紙の制作過程
①制作材料
宣紙と水墨が触れるとき、規則的な滲みの効果が生み出 される。濃さの中に淡さが、淡さの中に濃さが際立ち、滲む水墨は一つとして同じものはない。青檀皮と沙田稲草(稲わらの一種)という異なる植物繊維を組み合わせることで、 水分を含み墨を映えさせるという宣紙独特の効果が生まれる。
▲安徽省涇県
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