見出し画像

個人事業主は自由だけど、守られない契約になるよ

こんにちは。日本語教師と産業カウンセラー*をしています。
ワカです。

*産業カウンセラーとは:一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する心理職の資格です。落ち込んだ状態が続いている、仕事に行くのが辛いなどの精神的な悩みを抱える働く方のカウンセリングや、省庁・企業のメンタルヘルス対策の支援などを行っています。(*カウンセリングの相談内容によっては医療機関や社労士を紹介することがあります)


「雇用契約」と「業務委託」

仕事で落ち込んでいるというお悩みを詳しく聞いていくと、「業務委託」になって、無理な働き方が増えていると思うことがあります。

非常勤の契約の仕方が変わってきたのはここ4〜5年ぐらいでしょうか。
以前はパート・アルバイトとして働く「雇用契約」がほとんどでしたが、
最近は個人事業主として「業務委託」で働く人が増えてきました。

「雇用契約」と「業務委託」とでは全然違います。
一番の違いは「業務委託」だと雇用主との立場が対等となるので、労働基準法で守られなくなるということです。

正当な理由がない解雇は無効となる→すぐ契約解除できる

「雇用契約」の場合は、たとえ経営悪化の場合でも簡単に解雇できません。使用者は解雇回避に努めていたか、契約を継続すると事業が破綻するということが立証されるのか、解雇前にきちんと説明がされていたかなどが問われます。解雇が無効と判断されると、労働契約はそのまま存続、違法な解雇によって働けなかった場合、その期間中の賃金の支払いが命じられます。日本は他の国に比べても解雇に関してかなり厳しい条件を求めているのです。

しかし「業務委託」の場合は、対等な立場として契約を結ぶことになるので、労働基準法は適用されません。「契約解除」という名ですぐに仕事を切ることができるようになります。

雇用者に仕事の指揮命令権がある→仕事は基本、お任せ

「業務委託」の場合は立場が対等なので相手に指揮命令権はありません。内容はお任せとなります。求められた成果物を納期までに収めればいいのです。
講師の場合、「上級の読解」「JLPTのN1対策」をオンラインで毎週1時間お願いしますという感じの依頼になります。どんな教材を使って、どんなカリキュラムでというのはこちらが決めて、それで相手がOKなら契約成立。

「雇用契約」の場合は、テキストもカリキュラムも進め方も決まったものをするという感じです。日本語学校の進学コースなど全日制でスケジュールが決まっているコースを担当する場合は、雇用主に指揮命令権がある「雇用契約」となります。

問題となるのは、スケジュールもテキストも進め方も決まっているのに、契約は「業務委託」で働いているケースです。これは「偽装請負」となり、違法です。

労働時間に制限がある→時間は自分で決める

労働基準法では労働時間は1日8時間まで、6時間以上8時間未満の労働時間なら少なくとも45分の休憩を入れる、残業は月45時間までなどの決まりがありますが、「業務委託」の場合はその縛りもありません。自分でできるかどうかを判断して契約しないと、気がついたら休みなしで働いていたということになりかねません。業務内容や納期など、契約内容をよく確認してから契約してくださいね。

*個人事業主になった後でも「雇用契約」を結んで「労働者」として働くことはできます。仕事によってどの契約がいいのか確認と判断が必要です。確定申告するときに「雇用契約」なら「給与」、「業務委託」なら「報酬」となります。

*上記に書いた「偽装請負」などの問題が疑われる場合は、まず会社に間違いがないか確認、それでも問題が改善されない場合は労働局に相談してください。仕事のことで「私が悪いから」と悩んで落ち込んでいる方の中には、会社の働き方に問題がある場合もあります。well-beingな働き方を!


日本語教師のためのメンタルヘルスケア
10/21(土)の9:00~10:00am「日本語教師のためのメンタルヘルスケア」オンライン講座を開催する予定です。自分でストレスをケアする方法など一緒に学ぶことができます。皆様のご参加、お待ちしております。
お申し込みは下記のリンクまで。↓







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?