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さくっと読める話

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小説、実話問わず短篇なお話集です。気分を変えたいときにお好みでどうぞ。
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AM 7:03

AM 7:03

(短編小説)
【恋愛 休日の朝】

急に不機嫌になる彼女。

朝は特に低血圧だからと彼女は言う。

彼女にとってそれは普段通り。

でもその普段通りを嫌う彼女。

彼女自身みずからの質に嫌気がさしているようだ。

でもそんな一連の彼女全てが好きだ。

彼女がそうなった時はただ黙っておく。

ただ黙って彼女の好きなものを朝食にしてあげて二人黙ってテレビを観つつテーブルを囲う。

ひだり頬に髪をくっつ

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ムカつくヤツら

ムカつくヤツら

(短編小説)
【とある職場恋愛編】 ~オープンオフィスにて~

「吉田お前さぁ。あみちゃんに何かしたでしょ」

はい?

「いやあみちゃんデートかなんか誘ったでしょ?あみちゃん、あれ困ってんぞ。」

彼女にそう言ってくれって頼まれたんですか?

「いやそういう訳じゃないけどさ。ほらあれさ…」

男が気になる女性にアプローチをする、そんなにおかしなことですか?

「いやまぁそりゃそうだけど」

じゃ

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血迷うと人はこうなる

血迷うと人はこうなる

以前、事務所の先輩方と一緒に食事に行かせてもらう機会があったんだけど。

5人という少人数ながらもその中には話したこともない先輩もいてガチガチな僕。

正直行きたくない気持ちが優勢だったんだけど今後の事を考えたら多少無理してでもと思い、事務所から程近いコジャレたレストランに行くことに。

そもそもそんな雰囲気ある場所に馴染みないの僕からしたら全てがアウェイなわけであって

メニューだってよくわかん

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できえた最後のやさしさ

できえた最後のやさしさ

(短編小説)
【恋愛 片想い編】

「また誘ってもいいかな?」

気まずそうな相手

「あ、待って。もし誘ってもいいなら右手を挙げて。ダメなら左手挙げて。それだけいいから」

その子は少し間を置いた後、ゆっくりと左手をあげる。

「うん、わかった。ありがとね。じゃ」

笑顔で去っていく失恋。

好きな人にできた最後にして唯一のやさしさ。

                木下ゆうた

15分の恋。

あれは去年の夏頃だったか。

夜、新宿あたりで用事を済ませ疲れた体で電車に揺られながら家へと向かっていた。

その日もいつものように中央線は混んでおり、お互いがお互いの足を踏まないように気を付けることで精一杯。

暑い中全くの他人がひしめき合いながらそれぞれの駅へと向かっていた。

僕の下車駅まで7駅。

時間にして20分ちょっと。

車両のすこし奥まで進んで吊革に身をゆだねていた僕。

するとい

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