見出し画像

真摯さを備えた組織づくり #88 誠実経営

誠実経営を掲げる立場としての信条が、真摯さです。

マネジメントで有名な、ピーター・F・ドラッカー氏は、企業の目的とは、顧客の創造であるとしました。
それは、現代のパーパス(purpose)とされる企業の社会的な存在意義に通じるかと思います。

また、企業は、真摯さを満たすことで、はじめて社会的な存在意義のある仕事ができる。
さらには、そうでなければ、組織は破壊するとまで断言しています。

ドラッカー氏は、真摯さ(integrity)には「仕事上の真摯さ」と「人間としての真摯さ」があるとしています。

そのためにも、この二つの真摯さの違いを理解することは大切です。

仕事の真摯さとは、誠実さです。
誠実さとは、現在は、実現できていないものの、目指すべき姿、ビジョンがあり、その実現のために妥協なく向かい合う姿勢であると捉えています。
ドラッカー氏は、その仕事の真摯さを、ある芸術家の作品に向き合う誠実な姿勢から学んだとされています。

しかし、仕事上の真摯さだけでは、組織のマネジメントは機能しません。
つまり、個々の仕事上の真摯さを、組織としてマネジメントできる存在が必要です。

それを司るのが、経営者であり、マネジャーです。
そして、人間としての真摯さとは、その資質であるとも取れます。
それは、仕事上の真摯さも持った者でも、組織や顧客に対して真摯さを欠いている人は、決して、マネジャーにしてはならないともとれます。

そもそも、マネジメントとは、組織が有する目的や目標を達成させるための機能です。

そうなると、人間としての真摯さとは、目標を設定する能力が最も重視されるとも言えます。
ドラッカー氏は、組織が目標を達成させるためにマネジャーに必要な能力を5つ掲げています。

1.目標を設定する能力
仕事上の真摯さに偏り過ぎて、組織全体としての目的や目標を見失うことなく、その価値観を組織で共有させることができる。

2. 組織化する能力
個々の仕事上の真摯さを理解し、人材選定と適切な配置を行うことなどで、組織を機能させられる。

3. コミュニケーション能力
一方的な情報発信ではなく、互いの期待や要求に合わせて知覚し合うことができる。

4. 評価測定能力
組織で共有する目標を達成するために、個々の仕事上の真摯さと人間としての真摯さから出した成果を公明正大に評価して、信賞必罰を行うことができる。

5.問題解決能力
目標と現状のギャップを把握して、その問題を解決するための課題解決に対処することができる。

以上からも、誠実経営を実現する上での課題は、仕事上の真摯さを備えた社員の育成と、人間としての真摯さを備えたマネジャーの育成なのだと捉えています。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?