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組織の存在意義を揺るがす社会的手抜 #64 綱引きの法則

人は、目的を果たす上で、一人で成し遂げることができることには限界があります。
そのため、同じ目的を持った人たちと共に組織を形成します。
つまり、組織の存在意義とは、一人では不可能なことを実現することであるともいえます。

対して、その組織の存在意義を揺るがす社会的手抜き、綱引きの法則とも言われるリンゲルマン効果があります。

綱引きの実験において、1人のけん引能力を100とした場合、2人だと186(93%)、3人では255(85%)、そして8人では384(48%)まで数値が下がってしまったそうです。
これが自分一人だけが評価されることのない環境下においては、人は努力する必要性を感じるといわれます。
多くの人たちが、決して悪気はないのですが、無意識の内に1人の時よりも声が小さくなったり、発揮する力が低下してしまいます。
よく言われる当事者意識を持てない人たちを生み出す現象です。

これは、ジャニスの法則、グループシンク、集団極性化、没個性化、集団的無能状態など組織に取って類似した問題として捉えられます。

つまり、個とは、対象人数が増えて責任が分散されると無意識に手抜きをしてしまうものなのです。

対して、日本の組織が、世界の中で評価されて来たのは、集団思考が強い組織力です。
集団思考の特徴は、組織を構成する個々の相互信頼感が高いところです。
そのため、個々の意見や主張がまとまりやすく、特定の目的達成(問題解決)に向けて一致団結して協力することができる結束力が強いところが特徴です。
結果、綱引きであれば、個々が自身の能力を100%発揮できる組織なのかと思います。
反面、無難に100%を発揮するつまらない組織とも取れるかもしれません。

実業家として実績のあるアンディ・グローブ氏は、著書「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」においてマネジャーなら「テコの原理を使え」といっています。

テコは小さな力で大きなモノを動かすことができます。
例えば、5人の組織をマネジメントするということは、1+1+1+1+1=5のパフォーマンスではなく、5の力を活用して、6、7、8、9、10・・・と高めることにあります。

組織にとって、その存在意義でもあるように、1人では成せない大きな目的を達成することです。
それには、綱引きであれば、個々が100の能力を100%発揮するのは最低限のことです。
その上で、互いの能力の相乗効果によって、如何に105%、110%、120%と発揮能力を高めて行くがが重要であり、そこにマネジメントとしての使命が発生することになります。

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