見出し画像

価格とは製品やサービスの付加価値を数値化したメッセージ #53 プライシング

マーケティングで重要なのが、顧客に対して、如何に自社独自の価値を提案して、その満足を得るかです。
そのため様々な切り口で分析したり、評価、検証を繰り返して、戦略を立案しなければなりません。

その戦略の代表的なフレームワークが、マーケティング・プロセスの最終局面となるマーケティング・ミックスの最適化です。

マーケティング・ミックスですが、各戦略のイニシャルをとって、4Pとも称されます。

1.製品戦略(Product)
機能、デザイン、品質、種類、特徴、ブランド、大きさ、重さ、パッケージなど

2.価格戦略(Price)
販売価格、割引・セール価格、支払い条件、取引条件、還元価格、価格条件など

3.流通戦略(Place)
販路形態、在庫、発送、代理店制度、立地、店舗形態など

4.プロモーション戦略(Promotion)
販売促進、広報、広告など

また、ミックスとなっていることでも理解できる通り、それぞれを単独の戦略にするのではありません。
例えば、価格戦略であれば、その中に製品施策、流通施策、プロモーション施策が組み込まれ、整合性が取れていることが重要となります。

企業が設定する価格は、利益を生み出すには低すぎる値と、需要を生み出すには高すぎる値の間のどこかに位置することになります。

価格戦略であるプライシング(価格設定手法)は次の様に分けられます。

(1)コストプラス価格設定
製品やサービスのコスト(原価)に、売り手が設定した利益を加算してプライシングする方法です。
この手法は、それが売れさえすれば一定の利益を確保することが可能です。
しかし、売り手の都合で設定したプロダクトアウト思考のプライシングであるために、市場に受け入れられるかどうかはわかりません。
独占性の高い製品やサービス、受注生産品などならば、可能な手法ともいえます。

(2)需要価格設定
顧客リサーチなどをすることによって得たマーケット情報からプライシングする手法です。
原価や利益よりも、顧客が製品やサービスの対価として支払ってくれると思われる価格をプライシングするマーケットイン思考の手法となります。

(3)競争志向型価格設定
レッドオーシャンともいわれる市場で、製品やサービスを提供する場合に、競合他社と比較してプライシングする手法です。
自社の競争地位(リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャー)にもよって対処方法も異なって来ます。
過当競争に陥ると、顧客を無視した安値合戦に陥る場合もあります。

(4)心理的価格設定
顧客は必ずしも合理性だけで価格や価値を判断しないという心理的な側面をついたプライシング手法です。
例えば、ハイブランド製品ならば、敢えて安いディスカウント店からではなく、高い直営店で購入する心理の名声価格があります。
また、松竹梅のように敢えて価格を3段階で提案して、意図した価格の製品を選んでいただくのが段階価格です。
その他、どこで買っても一律価格の慣習価格や100円ショップなどのような均一価格などもあります。

様々な手法がありますが、プライシングとは、戦略的に、自社製品やサービスの特長や強み、競合他社の価格など、内外の要因を考慮し、効率よく収益を高めるために最適な価格を見つけることにあると考えます。

以下は、参考にすべき、いくつかの切り口です。

①ポジショニング
自社の競争地位(リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャー)や製品やサービスの価格ポジション(高級品・一般品・廉価品)を明確にします。

②カスタマーバリュー
顧客が重要視する要素において、顧客がその企業の価値を、どのように評価しているかがカスタマーバリューです。
3C分析のUSPやバリュープロポジションともいえるかと思います。

③テクニカルバリュー
実際の製品やサービスの品質をテクニカルバリューといいます。
このテクニカルバリューとカスタマーバリューの違いを認識することは価格戦略では重要となります。

どんなにテクニカルバリューが優れていても、カスタマーバリューが劣ることによって、需要は大きく左右されてしまいます。
ターゲットによっては高価格帯に設定しても購入していただけるケースはありますし、価格が高い方がセグメントによりブランド価値が上がることも考えられます。
逆にターゲット、セグメントが異なれば低価格に設定したとしても「安い」と感じてもらえなかったり、「安かろう悪かろう」と認識されてしまうことも考えられるので要注意です。

ブランディングが成功すれば、カスタマーバリューは高まり、プライシングも高く設定することが可能です。
逆に、高級品であるカスタマーバリューを持っていても、売上重視の安売りに走ってしまえば、そのカスタマーバリューは低下してしまうかもしれません。

以下は、それらを象徴した面白い動画です。

価格戦略におけるプライシングとは、単なる販売価格ではなく、顧客に対して、その製品やサービスの差別化価値を数字で表現した重要なメッセージと考えるべきです。

この記事が参加している募集

マーケティングの仕事

仕事について話そう

仕事のコツ

with 日本経済新聞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?