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チームワークの価値は団体戦 で学んだ #08 組織の価値

私は、学生時代、柔道の選手でした。

中学2年生の春の県総合体育大会地区予選の団体戦。
各校5人の代表選手が個々に戦い、その勝者の数で勝敗を決します。
私の入学と同時に赴任した顧問の先生は指導に長けた方でしたが、時間が足りませんでした。
どう見ても、予選リーグを通過する実力は、私達にはありません。
それどころか、その予選リーグでは、優勝候補筆頭の強豪校と対戦しなければなりませんでした。
正直、選手達だけではなく、大会会場の誰もが、0対5で私達が敗れるものと思っていたはずです。
事実、この強豪校は、この大会の決勝戦を5対0で制して優勝しました。

強豪校との対戦は、案の定、1人目、2人目とも簡単に敗れ、0対2のスコアで私の出番となりました。

ところが・・・

私が勝ってしまったのです。
強豪校の3年生のポイントゲッターに、弱小校の2年生が勝ってしまったのですから、場内は、私の中学校が勝ったかの様な割れんばかりの歓声でした。

しかし、団体戦としては、1対4で敗れ、結局、決勝トーナメントに進むことは出来ませんでした。

そして、試合後、間もなく、私は、先生に呼び出されました。
誉められるかと思いましたが、逆に厳しく叱られました。

それは、勝った時に、私がガッツポーズをしてしまったからです。
先生には、「対戦相手がいるからこそ、成り立つ競技であって、その相手を前にガッツポーズをするのは礼に反している。」と言われました。

ただ、先生が本当に怒っていたのは、他でもありません。
私が自分が勝ったことで舞い上がって、団体戦の一員ではなく、自分のことだけを考え喜んでいた態度だったのです。

確かに舞い上がっていました。
私の後に戦った2人の先輩達の試合は、自分の試合結果が嬉しくて興奮してしまい、それどころではありませんでした。

先輩達にとっては、中学最後の試合でした。
私がレギュラーになることで、試合に出ることが出来なかった先輩もいました。
とんでもないことをしてしまったと反省しました。

その後、主将である先輩から会場の影に呼び出されます。
何をされても仕方がないと覚悟しました。

先輩からは・・・

「お前が勝ってくれたことで、また、高校で頑張る気持ちになれた。ありがとう!」
そう、声を掛けていただいたのです。

・・・本当に嬉しかった。
そして、自分のことだけで喜んだ自分をあらためて恥じました。

団体戦とは、自分が勝っても、他の仲間が負けてしまえば勝てません。
逆に自分が負けても、他の仲間が勝ってくれれば勝利することもできます。
また、試合に限ったことではありません。
仲間がいなければ、質の高い練習も出来ないのです。

そう、決して一人で強くなることなどできないのです。
一緒に厳しい練習をした仲間達と共に戦うからこそ、気持ちがひとつになり、団体戦で勝利することが出来るのです。

正に柔道の教えにある自他共栄です。

・・・その時、私は、心から、チームワークの価値を思い知らされました。


※その後の母校は、強豪校と呼ばれるまでとなり、4年後に県大会を制して全国大会に初出場しました。

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