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優れたパフォーマンスを発揮できる状態をつくる #159 アンカリング

現代では、様々な場面でマインドやメンタルという言葉が使われています。
これほどまでに注目されているのは、目的や目標を達成するために欠かせないものだからです。
目的や目標を達成するには、膨大なエネルギーが必要となります。
そこには、フィジカル、スキルも重要ではありますが、最終的には、強いマインドやメンタルが欠かせません。
メンタルとは、心や精神そのものではなく、そこに関連する状態や調子ですので、その時々で、好不調があるのが当たり前です。
対して、その様なメンタルの状態から構築されるのが信念や価値観であるマインドです。

失敗ばかりを繰り返すことで自暴自棄になってしまうと、メンタルはマイナスな状態に陥ります。
このような状態が続くと、マインドはネガティブとなり、何をしても良い結果が得られなくなります。

ここから如何にして、良い状態のメンタルに切り替え、目的や目標の達成に向けて、良い結果を得るために大切になって来るポジティブなマインドを構築させるかが非常に大切になって来ます。

人間心理には、最初もしくは同時に提示された特定の特徴や数値などの情報が印象に強く残る傾向があります。
そして、その印象が強いと、それが条件づけとなってしまいます。

特に情報が不十分な場合には、特定の情報を断片的に重視しすぎる傾向もあります。
そうなると、その後の判断や意思決定を行う際に、その条件の影響を受ける傾向があるとされています。

思い込み、先入観、レッテルなどの言葉でも例えられるかと思いますが、この様な条件付けともいえる認知バイアスの一種のことをアンカリングといいます。
また、条件のことをアンカー、つまり、船が水上で動かさないようにする碇(いかり)を意味する言葉で表現されます。

そもそも優れたパフォーマンスとは、自分の持っている資源や能力を最大限に発揮している状態です。
その優れたパフォーマンスを発揮できる状態にあることをリソースフルな状態といいます。

リソースフルな状態でいるときには、「自分には能力ある」、「自分にはできる」という思考や感情を持っている状態になります。
そして、それに相応しい行動を行うことができ、結果的に優れたパフォーマンスを、引き出すこと、または発揮することができるようになります。
また、それは、自分自身に対する自信となり、更なる優れたパフォーマンスの発揮につながることになります。
これは、異なる手法ながら、プラシーボ効果なども同じような効果を狙ったものです。

このアンカリングを自分自身でコントロールできるようになると、条件付けしたアンカーによって、リソースフルな状態に結びつけることが可能となります。

代表的なのが、スポーツ選手でも多くが取り入れているルーティンです。
いつものプレーを当たり前に行えるルーティンを作ることが、アンカーに当たります。
アンカーによって、自分自身をリソースフルな状態に導き、優れたパフォーマンスを発揮させることに結び付けるのです。
例えば、メジャーリーグで活躍されたイチロー氏が打席に立った際にバットを立てて右手を差し出すルーティンは有名です。

スポーツに限らずとも、アンカリングの活用場面は多々あります。
例えば、集中力を高めたい場合、リラックスしたい場合、意欲を高めたい場合、発想力を高めたい場合、不安を解消したい場合など様々な場面で活用が可能です。

自分自身へのアンカーの設定ですが、感情に訴える意味でも、その人の優位な五感を組み合わせることが効果的とされています。

例えば、視覚優位(Visual)であればジェスチャー、聴覚優位(Auditory)であれば言葉やトーン、身体感覚優位(Kinestic)であれば身体の箇所に触れるなどです。

それらのアンカーは、日頃とは違う特別なものでなければなりません。
反面、公の場で再現できないような動作やいつでも正確に繰り返し行うことができない動作は好ましくないので注意が必要です。

また、アンカリングは、成功の感情体験が強ければ強いほど、効果が高いとされていますので、感情体験がピークに達する直前で行うことが重要です。
仮に成功の感情体験があまり強くない場合には、まずは、ハードルの低い身近なことから繰り返しアンカリングのワークをすることも大切です。

その具体的なワーク例です。
1.リソースフルな状態を思い出します。
2.リソースフルな状態を自分自身で「何が見え(視覚)、何が聞こえ(聴覚)、何を感じる(身体感覚)」を観察(キャリブレーション)します。
3. 感情体験がピークに達する直前で、アンカー動作を行い、感情体験がピークに達した時点でアンカー動作を止めます。
4.一度、休憩し、気分をリセットします。(ブレイクステート)
5.何度か1.~4.を繰り返し、アンカー動作を強化します。
6.アンカー動作を行うことで、リソースフルな状態を呼び起こせているか、アンカーをテストします。
7.嫌な出来事を思い出した状態で、アンカー動作を行い、嫌な状態をつぶしてみます。
8.嫌な状態にどのような変化が起こったか確認します。

誰しも新しいことに取り組むには、勇気が必要です。
優れたパフォーマンスを発揮できるか、プレッシャーもストレスもかかります。
しかし、その未来のために、準備をしてきたはずです。
あとは、自信を持って挑むだけです。

その意味でも、アンカリングは、取り入れ方によって、様々な効果が期待できるとされております。
機会があれば、是非、実践してみてはどうかと思います。

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