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だれにでも買って欲しいでは焦点がボケる STP分析

社会において企業が存続するためには、存在意義が必要です。
その意味でも、まず、企業は、他社には提供できない独自の価値であるコアコンピタンス、つまり、ストロングポイントを創造する必要があります。


しかし、社会において万人に求められる製品やサービスはありません。
そのため企業では、対象となる候補市場を分析を行い、コアコンピタンスをニーズに相応しいカタチで提案をする必要があります。

それ故に、戦略を立案する上での環境分析は重要です。
マーケティングには、様々な環境分析のフレームワークがあります。

体系的な環境分析手法が、STP分析です。
STPとは、1.セグメンテーション(Segmentation:市場細分化)、2.ターゲティング(Targeting:ターゲットとする市場やユーザー層の設定)、3.ポジショニング(Positioning:自社の立ち位置の明確化)の頭文字をとったものです。

その手順は、基本的には、1.セグメンテーション→2.ターゲティング→3.ポジショニングで行います。

1.セグメンテーション
市場調査で得た情報から、市場やユーザー層のニーズを読み解き、様々な切り口で市場を分類します。
分類することで、自社が戦う上で、より価値が見いだせる市場やユーザー層を決定します。
ある意味、切り口を変えることで分類が変わる仲間探しゲームのようなものです。

2.ターゲティング
セグメンテーションによって、分類された市場やユーザー層の、どこを需要獲得のターゲットとすべきかを決定することをターゲティングといいます。
ターゲティングには、大きく3つの手法があるとされています。

①無差別型ターゲティング
セグメントされた特性を無視して、差別化しない同じ製品を全体に供給する手法です。

②差別型マーケティング
セグメントされた特性を考慮して、特定のニーズに合った差別化した製品やサービスを提供する手法です。

③集中型マーケティング
セグメントされ特性を考慮して、一点集中した極限られたユーザー層に特化して製品やサービスを提供する手法です。
その一環としたペルソナマーケティングとは、ターゲットユーザーを実在する人物像として具体的に描き、その思考や行動傾向を分析し、施策を最適化する手法です。

どの手法を選択するかは、STP分析以外のPEST分析、3C分析、SWOT分析、5F分析などと照らし合わせて検討します。
また、ここて設定したターゲットへの営業アプローチ手法も具体的に考えることも重要となってきます。

3.ポジショニング
ターゲットを決めたら、次は、その市場やユーザー層の中で、競合との差別化を明確にするポジショニングを行います。
ポジショニングにおいては、縦、横の二軸で表される二次元四象限のポジションマップが多用されます。
軸の例としては、性能、価格、サービス、デザイン、コンパクト、軽量などがあげられます。
軸の設定ポイントは、互いに相関性のない独立した二軸であることです。
例えば、高性能と低性能、高額と低額の二軸では、性能が優れていたら価格は高くなる相関関係が一般的である以上、あまり意味のないものになってしまいます。

例えば、上のポジションマップでは、縦軸を低価格重視に対して、高額ではなくサービス重視に設定しています。
対して、横軸は、デザイン重視に対して性能重視にしてみました。
その場合、既に先行して市場に存在する競合が4社存在するとして、後発参入する自社は、どこのポジションを狙うのかです。
円の大きさは、シェアと考えていただけたらと思います。

STP分析を行う上では、企業側視点のプロダクトアウトの発想に偏ってしまうことが少なくありません。
しかしながら、あくまでも、ユーザー目線のマーケティングインの発想であることが重要です。
その解消の意味でも、基本は、1.セグメンテーション→2.ターゲティング→ポジショニングの順で実施しますが、何度も往来して検証しながら検討することが大切です。

そして、STP分析を実現するための具体的な戦略であるマーケティングミックスの策定への移行となります。

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