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2023年のテレビドキュメンタリーを振り返る

今年も今年とて、地上波で垂れ流されているドキュメンタリーを見ないともったいないぞと啓蒙する私的な記録です。すべてその辺に生きているごくごく普通で果てしなく特別なあなたのような話です。 認知症の母と脳科学者の私/NHKスペシャル 娘の絢子さんは時に脳科学者として、時に一人の娘として母親と接していく。決して落胆することなく、サイエンスを用いて可能性を信じ続ける。とてもニコニコしているのが印象的だ。かたや65歳で認知症になった母の恵子さん。仕事も家事も完ぺきにこなす母親だった。昔

    • 消せない録画たち。 ~3本目~ 「一人が好き同士ってどうやって友達になるの?」<マツコ・デラックス>

      買って10年くらいになるうちのテレビ。 ハードディスク容量がいっぱいになり、 新しく録画しようとするときは 断腸の思いで昔の録画を削除する。 しかし、その中にいつまでも消せない録画がある。 何度削除ボタンに指を伸ばしただろう。でも消せない。 そんな極私的名作番組、 自分一人だけの熱狂をここに記録します。 (消したくても)消せない (ロクでもない)録画たち。 3本目 「一人が好き同士ってどうやって友達になるの?」 <マツコ・デラックス> 3本目に取り上げるのは、深夜番組のお

      • 消したくても消せない、ロクでもない録画たち。~2本目~「死ねよりも殺すの方がうれしかった」(太田光)

        買って10年くらいになるうちのテレビ。 ハードディスク容量がいっぱいになり、 新しく録画しようとするときは 断腸の思いで昔の録画を削除する。 しかし、その中にいつまでも消せない録画がある。 何度削除ボタンに指を伸ばしただろう。でも消せない。 そんな極私的名作番組、 自分一人だけの熱狂をここに記録します。 消したくても消せない、 ロクでもない録画たち。 2本目 「死ねよりも殺すの方がうれしかった」 (太田光) 2本目に取り上げる番組。 ハードディスクの中でいちばん古いもので

        • 消したくても消せない、ロクでもない録画たち。~1本目~「いやー、もう、キスしたーい」(道端アンジェリカ)

          買って10年くらいになるうちのテレビ。 ハードディスク容量がいっぱいになり、 新しく録画しようとするときは 断腸の思いで昔の録画を削除する。 しかし、その中にいつまでも消せない録画がある。 何度削除ボタンに指を伸ばしただろう。でも消せない。 そんな極私的名作番組、 自分一人だけの熱狂をここに記録します。 消したくても消せない、 ロクでもない録画たち。 1本目 「いやー、もう、キスしたーい」 (道端アンジェリカ) まず1本目に取り上げる番組。 なぜこれを消せないのか自分でも

        2023年のテレビドキュメンタリーを振り返る

        • 消せない録画たち。 ~3本目~ 「一人が好き同士ってどうやって友達になるの?」<マツコ・デラックス>

        • 消したくても消せない、ロクでもない録画たち。~2本目~「死ねよりも殺すの方がうれしかった」(太田光)

        • 消したくても消せない、ロクでもない録画たち。~1本目~「いやー、もう、キスしたーい」(道端アンジェリカ)

          赤い公園のベンチを探して(1)

          梅雨に入ったばかりの時期だったが、かなり空は晴れていた。暑い。 水を飲みながら、汗をかき マスク姿で芋窪街道をのしのし歩いていた。 このときはまだ、すぐに見つかると思っていた…。 * 2021年5月28日。 赤い公園というバンドがラストライブを終え解散した。 コロナ禍、リモートワークを早々に終えた私は 食べ物を買い込み、そのライブをPCの前で観ていた。 最後だからくらいの軽い気持ちで 配信チケットを買ったのだが予想以上に面白く、 アルバムを遡り、 私はまた赤い公園を聴き

          赤い公園のベンチを探して(1)

          関ジャム好きにお届けする“極私的”ゼロ年代ガールズJポップ論。

          はじめに先日の関ジャムSP「プロが選ぶ名曲ランキング」。 私が思春期に聞きまくっていた2000年代のガールズJポップたちがまったくと言っていいほど入っていないことに大切な青春がなくなってしまった!という思いになりポケットからシュンです状態だったのだけども自分が取り上げてしまえばいいのだと思い直した次第で今。 宇多田だの浜崎だのゼロ年代のガールズJポップには歴史的トピックが多すぎてだからこそヒットしたのに忘れ去られている音楽もたくさんあるのだと思う。そんな音楽史がガン無視してし

          関ジャム好きにお届けする“極私的”ゼロ年代ガールズJポップ論。

          2020年のテレビドキュメンタリーを振り返る

          今年、度肝を抜かれたテレビドキュメンタリーを振り返ろうと思います。網羅的ではなく、とてもとても独断的な記事です…! 認知症の第一人者が認知症になった/NHKスペシャル 概要 〝君自身が認知症になって初めて君の研究は完成する″かつての先輩医師の言葉を胸に、自ら認知症であるという重い事実を公表した医師がいる。認知症医療の第一人者、長谷川和夫さん(90)。「長谷川式」と呼ばれる早期診断の検査指標を開発、「痴呆」という呼称を「認知症」に変えるなど、人生を認知症医療に捧げてきた医師だ

          2020年のテレビドキュメンタリーを振り返る

          論文:「空気を読めない事態」の対処行動 ―バラエティ番組を支えるお笑い芸人に学ぶ―(2008年)

          第1章.イントロダクション 第1節.問題意識 ―「KY」について―現在、「KY」という言葉を聞いて知らない人はいないだろう。アルファベットのKとYを並べて、「ケーワイ」と発音する。『現代用語の基礎知識』(自由国民社が一年に一回刊行する、その年の日本の政治・経済や文化などについて記述した書籍である)を参照してみると、堀内と山西(2008)が「若者用語の解説」ページに、「空気を読めないの略」と書いており、用例は「あいつKYだよね」などとある。KYは主に若者が使っている言葉だった。

          論文:「空気を読めない事態」の対処行動 ―バラエティ番組を支えるお笑い芸人に学ぶ―(2008年)

          東京

          社会人になってからというもの転勤つづきだった。 東京に戻ってきたのは28のとき。 学生時代に過ごしていた 場所で働けることが嬉しかった。 しかし18:00に仕事が終わったら 先輩に上野の雀荘に連れていかれ、 そこでペヤングソースやきそばをすすりながら 深夜まで麻雀をする。 そんな毎日に疲弊していた。 ある夏の金曜日。 麻雀を終えて家に着いたのが 深夜0:00ちょうどだったような気がする。 なぜかその瞬間、大学時代に住んでいた街まで走ろうと決めた。 衝動的に。 スーツを脱

          いちじく

          子どもの頃、家の裏庭にいちじくの木があった。はるか昔に使われていた井戸の近く。夏には道路にはみ出すくらい大きく育ち、たくさんの実をつけた。いちじくはあまりみずみずしいものではなく、フルーツ界の中でもマイナーな部類に入る。口に入れるとごそごそするものの食べごたえがあって好きだった。 集団下校をしていたある日、山本先生(仮名)がうちのいちじくを勝手にいくつかもぎって食べてしまったことがあった。道路に枝がはみ出すくらいだったし、人の家のものだとは分からなかったのだろう。別学年の若

          いちじく