関ジャム好きにお届けする“極私的”ゼロ年代ガールズJポップ論。

はじめに

先日の関ジャムSP「プロが選ぶ名曲ランキング」。
私が思春期に聞きまくっていた2000年代のガールズJポップたちがまったくと言っていいほど入っていないことに大切な青春がなくなってしまった!という思いになりポケットからシュンです状態だったのだけども自分が取り上げてしまえばいいのだと思い直した次第で今。
宇多田だの浜崎だのゼロ年代のガールズJポップには歴史的トピックが多すぎてだからこそヒットしたのに忘れ去られている音楽もたくさんあるのだと思う。そんな音楽史がガン無視してしまった素晴らしい楽曲たちを私の思春期とともに勝手気ままに語りたい。需要はないが書くしかない。ただそれだけでございます。

「◯◯恋愛機械って知ってる?」

時は1999年。中学校の中庭でクラスメートに聞かれた一言を今でもたまに思い出す。恋愛機械という言葉の前にさらに修飾語が付いていたと思うがそこは聞き取れなかった。この質問の答えはさっぱり分からなかったが、妙に背伸びした言葉に「なにかやらしいことを聞いてしまったぞ」ともやもやした当時。
後になってこれがモーニング娘。「LOVEマシーン」のことだったと分かることになる。隠語的なクイズをなぜしていたのかはわからないが、田舎の中坊たちの心にハロプロは鮮烈なイメージで飛び込んできた。当時のアップフロントの勢いが中学生たちをヘンな行動に導いてしまうことは想像に難くないだろう。
2000年代は90年代から続くモーニングの隆盛で幕を開けるわけだが、その流れとともに出てきたのが元祖バンドル・ZONEだ。バンドでアイドルをやるのは当時珍しく、めちゃめちゃ流行った。90年代後半から活躍していたのは宇多田ヒカルも同じだ。しかし私はただの中学生。当時こんな客観的であるはずもなく、CDTVのランキングに入っている人たちをまったくの差別なく捉えていたものだから、宇多田ヒカルと倉木麻衣の区別もついていなかっただろうし、aikoがテトラポッドの曲の人だと分かっていても何者なのかはまったく気にしていなかったと思う。ただ歌手というざっくりしたくくりにみんながごちゃ混ぜに入っていた。ただ、大人たちが宇多田に一目置いていたのはなんとなくの肌感で分かっていた。というのも、国語の時間に気合いの入った教育実習生が「First Love」の歌詞の書かれたわら半紙を配って「これが漢字かな英語の混じり文なんだよ~」なんて授業をやっていたからだ。ちゃんと考えられている曲なのねとかは私でさえも感じることができたのだろう。
…いや、こんな王道の音楽史を話したいわけではない。私が注目したいのはそんなA面の裏でなんだか分からないけどめちゃくちゃ流行った曲である。

時代はマキシシングルの導入初期。

アー写でかいのが良いよね~、アルバムかと思ったらシングルかよ~、そんな価値観の当時。私の中高時代にあたる2000年代前半は青色何号だとか何人祭など多角化されたハロプロ勢がヒットランキングを席巻していたものの、キタキマユ「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」を筆頭に、愛内里菜「恋はスリル、ショック、サスペンス」やトミー・フェブラリー「EVERYDAY AT THE BUS STOP」などなど隠れた名曲はとても多かった(できるだけ下に貼付済。無いのは各自検索してくれ~)。とんでもなくノスタルジックになるね。

個人的に特に好きだったのはRYTHEMという二人組グループ。澄みきった歌声とハーモニー、ファンタジー性のある世界観が素晴らしかったのだが覚えているだろうか。Kiroroや花*花という軸からはちょっと毛色の異なるデュオの形でヒットした。「Circulate」というアルバムの曲が良かったかと。あとはHALCALI。「ストロベリーチップス」などヒップホップというのかラップというのかよく分からぬが異色ジャンル的に攻めてここまでヒットしたのにも関わらずPerfumeのようになり得なかったのが悔しい。いい曲や!

と、このペースでいくと

長文すぎて離脱する方々ばかりだと思うのでちょっと急ぎ足で。2005年から私の大学時代に入るのだが、率先してガールズポップを聴いていた仲間は周りに誰もおらず一人寂しい思いをしていたことだけはたしかだ。夜な夜なTSUTAYAに行ってCDを借り、ソニーのウォークマンの新しい機器に曲を取り込み、家にネット環境がなかったことから曲名を手打ちしていく日々。あの頃の探求心はなんだったのか、今見習いたい。
竹仲絵理の「サヨナラ サヨナラ」なんかはコブクロの大きい方か小さい方かどちらかが関わっているという鳴り物入りの名曲。この頃のガールズポップにおける切ない系ソングはこの曲をはじめとしてかなり量産されたと思っている(当社比)。

それからOUT☆PUTというオーディション番組からデビューした斉藤未知の「ダカラ・・・・」。まだテレ東でオーディション番組やってたの??そんなことは言ってはいけないす。当時はグラビアアイドルなどがテレビでどう頭一つ抜け出すか色々と試行錯誤し始めた戦国時代で、ゴッドタンや神さまぁ~ずなどの深夜バラエティでバチバチとした戦いが行われていたのだ。斉藤未知がグラビア出身かは知らんけど、大ヒットしなかったか知らんけど、この記憶は鮮烈にこびりついている。
そしてそしてフニャフニャした歌声の星井七瀬「恋愛15シミュレーション」。アイドル音楽的にはヒップホップを取り入れるなど斬新なつくりだったこともあり業界的に注目されていた気がする(知らんけど)。今当時の動画を見るとさらなる衝撃を受ける…。

さらにチャットモンチー「ハナノユメ」の衝撃は言わずもがなで、調布の今はもう無いTSUTAYAで興奮したのを覚えている。が、それについてはあまりにも語り尽くされているので、私としては中ノ森BAND「ラズベリーパイ」の方がよりJPOPらしさがあって推したいと思ったほどだが…。

あと!めちゃイケの主題歌には良曲がいっぱいだった。Yum!Yum!ORANGE「Precious Days」、CHERRY LYDER「キリンの首より長くなる。」などの王道ポップスサウンド(JAPAN COUNTDOWNらしい語り口で)も今聴いてみると当時の気分上々↑↑な空気感に懐かし死にすることだろう。

そんな感じで2000年代も終盤へ。

綾瀬はるかやガッキーがヒットを巻き起こしていたのはもう黒歴史的になっているのか誰も話題に上げないので率先して言っていくべきだろう。蔦谷好位置氏編曲の「飛行機雲」は名曲であると(ここでやっと関ジャムっぽくなった)。また、星村麻衣の「桜日和」なんかも擦りきれるほど聴いた気がする。今回この記事で挙げた中ではいちばんではないだろうか。なぜこんな名曲が埋もれてしまうんだ…!

で、ラストの締めとしてテン年代にもつながる阿部真央の存在である。個人的トピックとしては社会人1年目、友人にCDを焼いてもらったことを思い出した。西野カナとどっちがデビューが先かは分からぬが、「貴方の恋人になりたいのです」などプチメンヘラ系女子共感型の細かすぎて伝わりすぎる歌詞に男子である私もいたく感動したのだろうか。

というわけでゼロ年代のガールズポップを振り返ってきたわけだが良曲揃い。これは一旦聴いてみてくれとしか言いようがない。当時を知らない人にもとても心に響く曲ばかりであると勝手に思っている。