狼煙
怖気付いた狼は
煙を焚いた
孤独感は産まれた時からあったから
風の色が変わろうと
揺れゆく葉の曲調が変わろうと
自身にはなんの変化もない
ただひたすらに荒野の始まりにいる
折りたたみ式のコンパクトな狼
小さく包まって
目を瞑って
ひたすらにじっと
震えていた
やっとこ疲れたもんで
狼煙を焚いた
爪で葉や石っころ引っ掻きまわし
二度目の満月の頃
ようやく火がついた
同調者と
繋がる為の
第一陣は
恥じるべき行為ではない
狼は荒野の始まりで
小さな咆哮を放った
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?