昼堕落

あの鉄柱よりも遥かに高い

水彩の様な快晴

雀が近くで鳴いてるが

どこに居るかはわからない

流れる1秒が織りなせば

騒めく杉も

雀の羽ばたきも

流線系の実態となる


それくらい大事な重なりの秒間を

私はただ小高いだけの細道から

街の外れの住宅の群れを

反神妙な顔持ちで

緩くてぬるい表情筋を携え

眺め下ろしているだけの昼堕落


それを悪人と罵られては

擦り減った私の思の動く部分が

余計に化膿してしまうから

こういう快晴の世界に身を委ねる


風呂でも入って

山田洋次でも観て

麦茶で心を潤せば

私の無粋な秒の重なりが

いかに大切な積み立てだったと

忙しい喧騒に突っ込んだ後に

再度と痛感するのだろう

確証は皆無だが長い余生

雀の楽団に耳を貸し

杉との雑談に重秒を費やすことが

贅の吸収だと己の心盤に録画する



私が歩みを止めたら

世界の歩みも同時に止まる

そうしなかったら時間に個体が

袋詰めして流される

私は私の1秒で

秒を数えて闊歩するには


世はあって無いものだと

煙を焚いてはぐらかせるのが直線感の実直な考


呼吸法が合っているかどうかは

私だけしか知らぬ存ぜぬ鱗雲


快晴の下大いに揺らいで

陽が沈むまでは宝の寄り路

堕ちてはいないが 昼堕落



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