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渡辺 杜太朗
2021年12月12日 12:10
私の心が大波に揺られて溺れて水浸し鬱の魔物は水面で滑っとどろんと顔をだし大きく開口した魔物は私を夕飯として丸飲み鵜呑みそれでも言うのあなたは言うの魔物なんざいないのいないの気の迷いそういって私の靴を磨きシャツにアイロンをかけては微笑みと神妙の丁度真ん中の顔をして豊かな箪笥の引き出しをそっと開けては色とりどりの召し物を用意した私が今溺れているのは私の冷や汗からでき
2021年12月30日 23:09
泳ぐはちっとの荒波よ冷たいみぞれの水面よ痛いは身体苦心は灯台に置いてきた服が重くてとられた波に詫びゆく想いが絡みあう陸は見えずと果てのないばあばの詩が聴こえる方角しゃきっとしなくしゃいけないよしゃきっと歩いていけないよ聴こえるうちに帰りましょう冷たい荒波潜りましょう私は帰るなにがあっても私はばあばの詩の方方位磁石はヨーソロ ヨーソロ
2021年12月28日 17:20
愛の不思議は色じゃない温度も痛みも嘘でもない愛の不思議は形崩れて透明シャボンで飛ぶところ私が絵を描き色を塗り額縁囲って飾ってもなお意味のない愛が浮遊するだけの小部屋命の祈りはますますと愛の鎧を脱いでいくがぎゃん がぢゃんと崩れてく鎧の中の透明人間は愛そのもののシャボン玉気がつきゃ私もシャボン玉
2021年12月25日 22:25
魂のミルフィーユ重ねる程に強くなる人間の持つ可憐さは強さの中に共存する魂の層は幾度となく織られ涙と笑みのクリームで塗装される少しばかりの木苺が人生に花を添えると甘さが増すとかなんだとかこの先も私は層を重ねては泣きじゃくり腹を壊すだろう気分の良い日食べましょう自分の魂ミルフィーユゆっくり振り返る魂と思念の層を割って
2021年12月24日 15:39
私の髪の毛が獅子のたてがみの様に伸びてしまったため髪を切りに行きたいのだが外には悪口の雨が降り暴力的な風が吹くもんで家の中からは出れやしない私は自分のハサミでたてがみを削いだ私は嫌なほどたてがみを切るのが下手なもんでぶら下がるコウモリの様な髪型になるもんでこれでは恥ずかしと頭を掻きむしった慣れないことはするもんでない少しの勇気が私にあれば床屋までいく足があればほん
2021年12月21日 15:59
あなたが落とした想いなら私が拾って集めましょう大きな籠にひとつずつ優しい球を入れていくその籠が球でいっぱいになったら私は集めた想いのひとつを高く空に放り投げては野鳥に託して運んでもらう渡鳥ならなおのこと遠くに運んでくれるだろうあなたが落とした想いならきっとみんな感じてくれるきっとみんなが食べてくれるあなたはそういう慈悲の想いを落とす人
2021年12月15日 01:57
ゆきんこは笑うこれは愛の写しみとゆきんこは踊る喜びが積もっていくとゆきんこは泣いたもっと遊びたいとゆきんこは謳うふれふれしんしんほわわわわゆきんこに逢いたいゆきんこを抱きしめたいだけどもノンノンゆきんこはすーすー溶けて掴めないゆきんこは怒る脅威とはこのことゆきんこは怖い重たい足元冷たい上空ゆきんことの生活は辛いけれどもあわよくば白い私になれるか
2021年12月3日 02:20
快晴の十五時お出掛け中の雲は彼方の上空みかん畑の色彩で私の目のなか燃える様もぎったみかんは卵の様にそおっと籠に置き入れる橙 群青 深緑私がいるのはそんな世界鼻を通った風の香は揺さぶる私をピンとさせる柑橘のそういうとこが好きだ見上げた彼方の群青にヒラりと降っては落ちてくる一枚 二枚と数えていけばどんどん増える百のハンカチみかん畑の橙がハンカチ色の純白に
2021年12月2日 01:02
木目の床は冷え込んで迫り来る寒波の余波をしたためた私は広くはないリビングの隅で祈りのない世界の夢をみるそれは互いの行き来などない揺らぐことのない空間沼の波紋は円に成らずアメーバの様に自由しかし個を重んじるこの世界ではそれはなんにでもないこと祈りは他者の為祈りとは健やか私は空っ風が寒吹くなか児童図書に想いを寄せるそこにはまだ残っていたピュアリティが満映している