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詩集 幻人録

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現代詩を書いてます。
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色鳥

色鳥

虫の居どころ
悪くないの
心模様は
傘も無く

狐が怯える
獣の鳴く方角
きつい視線は
赤孔雀

井戸の底には
泥水一滴
返刀は
青烏

余計な一言
五月蝿い
癇癪の涙
神よお助け

のらりくらり歩くの
彷徨う月を見るの
人生はまだ酔い覚まし

ゆらりゆらり踊るの
星影が舞う宵に
現代はまだ古来地図

羽ばたき鳴らせ
帳の落ちる方へ
落下点はここじゃないどこか

sweet night

sweet night

真っ暗な部屋で
目を閉じていると
心臓の音が聞こえてくる

カーテンの隙間
月が落ちてくる
ひとり静かな夜の話し

きっと想いは恋焦がれ
知らない方がましだと言う

穏やかな月夜の冷たさが
君の夢をみたいとじらしてく

こぼれた感情は溶けてはいかずに残り
光の届かない場所まで照らして笑う

星の神話が語りかける
誰にもあげない
この瞬間に

寒さも消えかけ
静かな夜の子
心臓の音が穏やかになる

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月が綺麗でなによりです

月が綺麗でなによりです

あれこれと考え込んだ毎日でした

つまらないことに頭を捻らせ

思考の蔦は絡まっております

眩しい世界が私を待っているのならば

それは徳の積み方が合っていたということ

私の愛が間違っていなかったということ

それはなによりも変え難い嬉しき事情

月が綺麗でなによりです

幾度となく迫る小波の様に

幾度となく迫る小波の様に

孤独故の光
一筋に差し込む
ぼんやりはしているが
黒い視線の先に確かにある

少女は頭抱えて
一振りの剣を下ろす
物質は切れないが
確実に未来への枷を切る

不思議な風が吹き
へどろを掻き飛ばした
足元に絡みついた
余計なものはもうここにはない

綺麗な顔をしたあなた
ゆっくりでも二人で進みましょう

可憐な声の先には
公園の遊具ではしゃぐあなた

ここはもう独房じゅない
息を深く吸い込んで
吹き

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心のままに

心のままに

私の記憶があるうちに
心模様を絵に留めよう
それは綺麗な白樺の
白い貴婦人凛とする

私に心があるうちに
心積もりを詩にしよう
とても濁った海水の
黒い貴婦人構えてる

あなたに理性があるうちに
心の尻尾を捕まえよう
素早いあなたを捕まえて
心の種を埋めにいこう

あなたに知性があるうちに
心の輪郭浮き彫りに
忘れないでといったから
忘れないよと返したの

それはずっと心のままに

煙になって

煙になって

煙になって消えたあなたは
抱きしめたくても無形の銅像
くだらない言葉を残して薄れた
空に溶けるは霞の様に

あどけない子の残り香が
少しずつ消えていく
見えなくなるのはとても早く
煙をまいては薄れてく

掴めなかったあなたの身体は
つまらない御伽話
時計の針の無駄使い
もう一度巻き直して

歩いていこう太陽の
光を浴びる空の下
煙になった想い出は
そっとしまって今度は君と

ねずみがかじった私のハート

ねずみがかじった私のハート

ねずみがかじった私のハートは
時間をかけてゆっくりと戻っていった
あなたのお陰でじんわりと
39℃の湯船の様に

風吹く度に変わる色
今は全く違う色
変化が怖いと行きづらい
そんな時代の成せる技

私は今日も生きていて
きっと明日も生きている
なんにも色褪せないなんて
そんなの無理で忘れてく

裸足になって走った砂浜
そんな風に駆け抜けたい
ねずみがかじった私のハートは
今は丸みを帯びたい微熱のハ

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嘘、並びに愛

嘘、並びに愛

汚染された嘘
小綺麗なふりをして

慰めの愛想笑い
純情な顔をして

本質はどこから捲ればいいものか
わからずして磨いた瞳

それでは意味を醍醐味を捨てている様なものさ

あいもかわらず鈍いアンテナ

故に愛だけがそこにはあって

ちゃんと手に取り撫でることが出来るもの

行方知らずの嘘とは声色も材質も違う

やがてふとが気づくだろう

愛だけは自分が既に持っているものだと

言葉の波を

言葉の波を

波を読む
言葉の波を

それは囲いの外からやってくる
打ち寄せる外海のメッセージ

私以外の感情を
取り止めもなく浴びてみる

思考は打ち寄せる毎に更新される
私が私でなくなっていく

しかしながらも面白い

他人の言葉は私には無い
本のページが捲られる

波を読む
言葉の波を

それは叡智に触れる
数少ない好奇である

煌めく瞳

涙を隠して
朝まで隣にいてほしい
痛みには滲みる
一滴くらいでも

穢れを隠して
宵まで笑ってよ
傷口に布を
時には優しさを

揺られ彷徨う午前2時
愛の詩が壊れて暗いのに
新品のアイディアが
再熱させてくれる

冷たい雨を浴びて広がる
私の奥深くに眠る
美空を掲げて飛び出したい
今、命の呼吸の中で
出逢えたのは煌めく瞳

優しい言葉

優しい言葉

優しい言葉
頭を撫でてくるの
子供の様な
瞳でこっちをみてる
心の隙間に
たくさんの風景画
集めたら
旅に出よう

淋しい時は
当たり前かの様に
唄を歌うの
少しうなだれた唄
沈んだ朝を
蹴飛ばしたなら
夜にハイキック
届く様に

愛が霞んで
泣いた
土曜の午後
捕まった蜘蛛の糸だね

声が絡んで
夢が語れないなら
僕が他に
夢を見せるから

戯けて魅せて
笑った顔の
シワに涙滲んだ

水晶

水晶

なんにもいらないよ
置いていこう
この部屋にあるもの全て

私はひとりで行こう
どこまでも
この道が続くまでどうか

地平線の向こうに
見えた誰かの笑顔
手を繋いでも
あなたは
泣いたりしないでしょうか

愛がほんとにあるとするのなら
なぜに私の心は凍って
掴めない私自身も落としたら
割れてしまうの水晶の様に

いずれは朽ち果てるから
私は泣いてなんかいられない

なんにもいらないよ
捨ててしまお

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かげおくり

かげおくり

僕の分身が消えたのは
君が居なくなったときで
満員電車ではぐれたのかな

悲しいと泣いていた僕の
隣にはだれもいなくて
魂の残像だけが揺らぐ

埃っぽい部屋の片隅で
湿った僕の片方
慰めの音楽もいらないよ

夢みがちな僕の設計図
破り捨てていまはただ途方もなく
進んでいく今日

他の人にはない愛
見つけたのにほら
雲がかった空を
見上げたときに笑うのは
君のかげおくり
白く大きく映ってく
ぼんやり

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言葉の台風

言葉の台風

この街がストレスに感じるのは
今の僕がまっさらじゃないから

すれ違う人も信号機も
チカチカと目立って仕方がないよ

刺激が強いなかで流れるのは
弱った自分じゃ苦しいな

夜に歌ったロックの夢
最大級のバカみたいな夢
塵になっても愛していたい
僕の中の病みこんだ部分
救われる様に育ててく

終わらない 終わらない

6月の雨が僕を刺して
傘などない様に撃ち抜かれ
くだらない言葉の台風
いらない感情

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