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CJMとKPI カスタマージャーニーマップ制作手順とKPI連携

今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
シルバーウィークですね。皆さんいかがお過ごしですか?
いよいよネタに苦しくなってきた「中の人」はウェブ解析士の資格を持つ方がどんな情報を知りたいのか、情報収集をしてきました!
…というと、かっこいいのですが、先週「ウェブ解析士交流委員会」というところで企画されたオンライン座談会のようなものに出席して、ネタを提供してもらいました。笑

ということで、今回はそこでリクエストいただいた、カスタマージャーニマップを作成し、KPIを設定する流れをご紹介したいと思います。
「中の人」も上級ウェブ解析士講座ではカスタマージャーニーマップをもとにしたKPI設計書を書くのに四苦八苦した記憶があります…

交流委員会についてはこちらから↓

カスタマージャーニーマップとは

まずは、カスタマージャーニーマップ(以下、CJMと略します。)について、公式テキストの記述を確認しておきましょう。

カスタマージャーニーマップとは、カスタマー(顧客)の行動をジャーニー(旅)に見立てたフレームワークです。
具体的には、ユーザーが商品やサービスを認知し、興味を持ち、購入・申し込みに到達するまでの行動を分析します。ユーザーの態度変容をステップ化し、そのステップごとにゴール・アクション・接点・想い・気付き・解決策を一覧にします。
ゴール・アクション・接点・想いはユーザー視点とし、気付きや解決策は事業側視点から考えます。カスタマージャーニーマップは、「顧客の理解」や「関係者間の認識整理」に有効です。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022』(太字は「中の人」による)

簡単にいうと、顧客の行動とそれに合わせた企業活動を可視化したものというところでしょうか。
ただ、この認識だけでは不十分だと「中の人」は考えています。
CJMは「認知〜目標CV」までを一覧にしたものです。すなわち、マーケティング活動の設計図だと言えます。ということは、CJMは仮説をアウトプットしたものと捉えることができます。
CJMが仮説だとすると、それを検証する必要性が出てきます。そこで、KPI=数値的な目標を設定する必然性が生まれるわけですね。

で、CJMを作ると何がいいの?ってところですが、以下のような点が挙げられると思います。

・マーケティングプロセスのボトルネックが見える
・実際の顧客行動と照らし合わせることで、新たな顧客接点を模索できる
・プロジェクトメンバーの共通言語になる
MA(マーケティング・オートメーション)に落とし込める

CJMの制作手順

(How-toを書いてしまうと、ウェブ解析士ナレッジとの棲み分けが…)と、頭の中にいるもう一人の「中の人」がうるさいのですが、このテーマでやるなら避けて通れませんので、「中の人」的CJM制作手順をご紹介します。

Step1 前提条件の整理

まずは、前提条件の整理からです。前提条件とは、取り扱う商材と、CJMのスタート地点・ゴール地点のことです。
商材は自明のことでしょうから、スタート地点とゴール地点の設定方法について記します。
スタート地点は(見込み)顧客の現状、ゴール地点は企業側が望む顧客の理想状態です。あれ、どこかでどこかで見た事ある言葉が並びますね。そうです、ここでAs is / to be分析が役に立ちます。
As is / to be分析については下記の記事を参照ください。

As is=スタート地点、to be=ゴール地点になります。このギャップを埋めていくプロセスを可視化したものがCJMになります。
ここで意識すべきは、スコープです。スコープについて、公式テキストでは下記のような記述があります。

スコープとは解析対象の範囲のことを指します。(中略)必要な範囲に集中します。
スコープの設定が不十分であると、不要な範囲のデータを収集して混乱したり、入手データの偏りのために目的のデータが得にくくなったりするといったことが起こります。

『ウェブ解析士認定試験公式テキスト2022』

…?なんだか難しい。。。
簡単にいうとスコープ=虫眼鏡なんですが、CJMを作る際の事例を見てみましょう。

CJMにおけるスコープの違い

イメージついたでしょうか。虫眼鏡の倍率をどこまで拡大するか。を決めましょうという事です。LTV(ライフタイムバリュー)の重要性が叫ばれる昨今、売って終わりの焼き畑的商売をしている企業はごく少数でしょう。
なので、CJMで取り扱うマーケティングプロセスを明確に切り出しましょう。そうすることで、プロセスを完遂するまでの期間(例えば顧客が認知してから購入するまで)が自ずと設定されるはずです。

Step2 ペルソナの設定

ここでも出てきましたね、ペルソナ。ペルソナの作り方に関しては、以前書いた記事をヒントにしてみてください。

何か書き加えるとしたら、抽出されたペルソナが「母集団を代表しているか」に気を配る点です。
STP分析によりターゲットに設定されたセグメントに属する見込み顧客の共通項を(デモグラフィック・サイコグラフィックそれぞれのデータから)抽出できていると、CJMの有効性が増してきます。

Step3 顧客行動の洗い出し

ターゲットペルソナが決まったら、そのターゲットがどんなプロセスをたどるのかを書き出していきます。
まず、As is / to beで設定したスタート地点とゴール地点の顧客行動を書き出します。次に、その間をどう埋めていくのかを検討していきます。
自社にとって都合の悪い顧客行動も見据えることが重要です。
顧客行動を出し切ったら、グルーピングを行い、ステージ名称をつけていきます。

Step4 タッチポイントの検討

各ステージや顧客行動において、自社が既に持っている接点、これから作っていく接点を書き出していきます。
どこで、どんなメディア・媒体で、どんな方法・デバイスで接点があるのか、作れるのかをオンライン・オフライン問わずに書き出していきます。
新しい接点の例を挙げてみましょう。アパレルショップの場合、
「Instagramで商品チェック」(自社アカウント)→「ECサイトで商品購入」という従来の顧客接点の間に、「Instagramで自分と背格好の近い人の着こなしチェック」という顧客行動がみて取れれば、『UGC(ユーザーが創り出すコンテンツ)』という新たな接点が見えてきます。

Step5 感情起伏の想定

顧客接点を洗い出すことができたら、次は接点毎に顧客の感情変化を記していきます。感情は「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」に分類すると考えやすくなります。

このフェーズでキーポイントになるのはパーセプションという考え方です。

パーセプションとは、消費者がブランドに対して抱く気持ちのこと。客観的事実とは関係なく、それぞれの消費者独自の経験・知識・価値観に則り判断した結果の印象や評価を指す。

参考:小川共和『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』

設定したステージ毎に、どのようにパーセプションが変化していくのか(変化させていくのか)を考えておくと、後のステップで「対応策」を検討しやすくなります。

Step6 KPI設定

さぁ、ここまででCJMのあらましは出来上がっています。あと一息ですが、このKPI設定が難所です。
Step5で触れたパーセプション軸で考えていきます。どういうことかというと、パーセプション=認識が変わると行動が変わるものです。想定したパーセプションの変化が起きると、行動はどのように変わるかを考えます
その行動を数値計測できるようにしたものがKPIになります。
例えば、「認知」フェーズでは「知らない」→「気になる」にパーセプション変化があったとします。接点が「ウェブ広告」であれば、広告のクリック率=CTRなどがKPIになるでしょう。
上級ウェブ解析士講座では、どの指標(メトリクス)だけでなく、ディメンションまで定義します。CTRをメトリクスにとるなら、広告キャンペーンがディメンションとして適用できそうですね。

以下の書籍ではKPIに設定できそうな指標を12個あげてくれいています。

・Cookie取得
自社ウェブサイト訪問の証=情報収集意欲の発生
・自社サイト訪問回数・頻度・滞在時間
興味関心の高まりの証=購買意欲の高まり
・閲覧ページ
価格一覧ページやスペック詳細ページなどは検討中の証
・動画閲覧
見た動画の種類や完全視聴率は関心の高さの指標になる
・広告・メール・スマホアプリなどへの反応
開封率、CTR、反応したコンテンツで関心の内容がわかる
・流入クエリ、流入元
ビッグワードor指名検索、比較サイトからの流入は検討の進み具合などがわかる
・個人情報取得
Cookie取得よりも関心や購買意欲が高まっている証
・特定行動補足
コンバージョンイベントの到達者数=ホットリード化
・位置情報データ
店舗来店履歴などは関心の高さの証になる
・購買データ
KGIに直結するデータで最終成果となることが多い
・ソーシャルメディア行動データ
フォロワー数やUGC投稿などロイヤルティ度合いの証
・自社コミュニティ行動データ
オウンドメディアの会員登録などロイヤルティ度合いの証

小川共和『マーケティングオートメーションに落とせるカスタマージャーニーの書き方』をもとに「中の人」が要約

KPIの設定については下記の記事も参考にしてみてください。

Step7 対応策の検討

感情の起伏=パーセプションの変化とそれを測る指標が決まれば、そこまでどう導くかを検討していきます。
「何を、どう伝えるか」を検討していくと、考えやすいかもしれません。
パーセプションの変化→行動の変化を起こすためには、何を伝えれば良いのか。ユーザーとの接点はどこにあるのか。など既出の情報をもとにしていくとある程度選択肢は限られてくると思います。
あるいは、感情の起伏で「ニュートラル」や「ネガティブ」に分類された感情をどうやったら「ポジティブ」に転換できるのかを検討するのも一つの着眼点です。

まとめ

もう少し、細かく書こうかなとも思ったのですが、この時点で文字数が結構多くなってしまったので、詳述は参考文献をご覧いただくことにします。
「中の人」的にはCJM=マーケティングプロセスの全体設計図であり、仮説を可視化したものです。なので、評価指標=KPIとセットで考えることに合理性があると思っています。評価指標を作るために、顧客の行動の裏にあるパーセプションの仮説を立てることがCJMを作る際のキーポイントかなと思ったりしています。
最後に、参考文献を掲載しておきますね。

ハンズオンでCJMを作ってみたいなら


システマチックにCJMを理解したいなら


たくさんの事例に触れたいなら

あとがき

今週も最後までご覧いただきありがとうございました。
How-toってわかりやすく書くの難しいんですね…。「ウェブ解析士ナレッジ」に寄稿されている方々の凄さを痛感しました。

今回は、リクエストにお応えする形で記事を書きました。今後も、リクエストがあればできる限りお応えしていきたいと思います。
「中の人」がいただいたテーマについて、一生懸命勉強して、勉強した成果を記事にしていきます!
「中の人」と一緒に勉強するもよし、勉強は「中の人」に任せて要点だけ持ち帰るもよし。ということで、ネタを提供してもいいよ。という方はnoteにコメントをお願いします。

それでは、また来週お会いしましょう。

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