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数字にイメージを持たせる話。
今週もウェブ解析士のnoteをご覧いただきありがとうございます。
突然ですが、みなさんはKGI・KPIの管理って適切にできていますか?上級ウェブ解析士講座では、KPIツリーを作成する課題があるなど、ウェブサイトの運用にも欠かせないスキルですが、思うように管理できていないこともしばしば。
ということで、今週はKPIの設定の仕方について書いてみようと思います。
KPIって何?
そもそもKPIって何でしょう?その意味合いをおさらいしておきましょう。
公式テキストでは、KPIと併せてKGI・KSFが紹介されているので、まとめて見てみましょう。
KGI(Key Goal Indicator) 重要目標達成指標
KGIとは、事業の目標やゴールを数値化した指標です。
売上や利益を用いることが多いですが、売上や利益に貢献する指標の場合もあります。1つか2つが望ましく、定量的に測れることが重要です。
KSF(Key Success Factor) 重要成功要因
KGIを達成するために重要な要因です。
環境・ユーザー・競合・自社の分析から、その業界において、何が成功するカギなのかを考えて特定します。
KPI(Key Performance Indicator) 重要業績評価指標
KGIを達成するために、必要なプロセスの到達度合いを計測するための指標です。KGIを単純に分解したものではなく、KSFを満たした指標とします。
要するに、「KGI=事業目標を数字で表したもの」「KSF=KGI達成の鍵を握る要因」「KPI=KSFを数字で表したもの」と理解しておくと良いと思います。
図にするとこんな感じです。
![](https://assets.st-note.com/img/1658707711843-esgXay2JmC.png)
余談ですが、KSFというタームを使うのはウェブ解析士独特な感じがしています。一般的に「CSF=Critical Success Factor」と呼ばれているものと同じですね。
KPI管理がうまくできない要因
1)階層を理解できていない説
単純に、KGIとKPIの相関関係をしっかり理解していないと、数値ってうまく設定できないですね。
KGI・KPI・KSFの階層構造は下記のようになっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1658709036492-CZmC7es4T4.png?width=1200)
KGIという目標は大きすぎて、業務レベルになると、方向を見失いがちです。
そこで、KGIを分解して業務レベルまで細分化したものを用意します。これがKPIです。
ダイエットを例に考えてみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1658711437461-75BAOfSiQG.png?width=1200)
体重を5kg減らすために、食事制限と筋トレを行う。この、「KGIのために〇〇する」の〇〇がKSFですね。また、KSFの具体的な行動目標がKPIになります。こうした、相関関係や階層構造を理解しておくことがKPI管理では重要になります。
2)「とりあえず」数字にしている説
これが結構よくある間違いなんじゃないでしょうか。「(単に)数値化すればいいんでしょ?」という誤解が効果的な設定を妨げます。
数字はあくまでも数字でしかないと「中の人」は思っています。数字にイメージや意味を持たせないと、空疎な数値設定になってしまいます。
再び、ダイエットの例で考えてみましょう。
そもそも、体重-5kgはなぜ、達成する必要があるのでしょうか?
「健康診断が近く、再検査を避けたい」場合、血糖値や尿酸値などの数値改善が必要なので、KSFはどちらかというと食事制限が重要になるのではないでしょうか?
「3年前に買ったスーツを着たい」場合は、ウエストを絞るために筋トレが重要になるかもしれません。もっというと、KGIを「体重」ではなく「ウエスト」で計測したほうが良いかもしれませんね。
といった具合に、数字にイメージを持たせることで、効果的な施策を設定することができます。
3)設定して終わってしまう説
設定して満足してしまう。これもよくあるケースですよね。
「KPIを達成しろ!」と言われても「どうしたら?」と思ってしまいますよね。そこで、KPI設定者は、具体的な戦術まで描くことが求められます。
再びダイエットの例で考えてみます。
「健康診断での再検査を避ける」ために「体重-5kg」を掲げ、「食事制限」に取り組むとします。
この時、1日の摂取カロリーや糖質・タンパク質の摂取量を規定したとして、どう実行していくのでしょうか?「使用する食材は鶏のささみをメインにする」とか「コメの代わりにオーツ麦を摂る」とか、具体的な行動=戦術を描いてやっと実行に移せるわけです。
『2)「とりあえず」数字にしている説』は、KGIにイメージを持たせましょう。という話でしたが、『3)設定して終わってしまう説』はKPIにイメージを持たせましょう。という話です。
より良いKPIを設定するために、公式テキストでも以下のように説いています。
KPIを達成するための施策を合わせて決め、費用対効果、実現可能性、実行の時期と成果が得られる時期で優先順位を決めます。
太字は「中の人」による
まとめ
いかがでしたか?
意外と、数字にした途端に前後の文脈を失い、数字が数字でしかなくなってしまうケースが多いです。運用者、特に「解析士」を名乗るのであれば、その数字の文脈を捉え、イメージを明確に持つことで意味のある数字管理ができるようになりたいですね。
また、いきなり数値目標を決めようとしても、中身のない議論になりがちです。「目標=あるべき姿」と「現状」のズレを正確に把握することで、より効果的なKPI設定ができるのではないでしょうか。
あとがき
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ウェブ解析士でなくとも、デジタルマーケティングに関わる人であれば様々な数字を扱っていると思います。
数字は便利な反面、切り取り方によっていろんな解釈が生まれます。そんな数字を共通認識として扱うKGIやKPIは、丁寧に扱わないといけないなと思っています。
KPIやKGIという言葉が、割と市民権を得てきたのはいいものの、ざっくりとした理解のままで運用して混乱を招く。なんてことを目の当たりにしてきました。
数字を扱う際は、以下の点に注意して取り組んでいきたいなと改めて思いました。
・文脈を理解する
・しっかりとしたイメージを持つ
・関係者とイメージを共有する
今週の参考文献↓
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