記事一覧
あなた
あなたのことを考えて
わたしはわたしを考える
わたしのことばをあなたに託し
わたしはわたしをひたすら虐める
たくさんいる「あなた」は皆
ほんとうはやさしいひとばかりなのに
あなたをそんなにしたことで
わたしはほんとうの悪人になる
ひとにやさしくされるとだから
それはとてもつらくなる
そのやさしさを手離せず
そのやさしさを壊してしまう
そんな自分がにくくていやで
今日もわたしはわたしを虐める
恋
君が恋いと僕は知り
君の恋を僕は知る
君の恋いを君知らず
僕の恋も君知らず
僕の恋を君知れば
君の恋も君は知る
君よ知るなよその恋を
君よ痴れるなその恋に
とるに足らない
くだらないことを言うのに
僕は君の前で動けないままだ
とるに足らないこの言葉に
拾えるくらいの価値を足して
とるに足るよう君を足して
繋がりたいと期待するのに
僕は君の前で動けないままだ
とるに足らないこの願いは
君が僕の手を取ることで叶った
とるに足らない色々なものは
とれば足るということを知った
無料(タダ)の批判/二十八
白い手指と 黒い手指
伸びてくるよ 僕の躯へ
闇の中から 煌きから
よく見えない だけど感じる
皮膚を滑ってるだけなのに
何かに浸されてゆく心地だ
骨の盃(サカズキ) 盲(メシイ)の酒
並べられて 壊されていく
そして欠片が その雫が
沈んでくる 僕の躯へ
逃げ出すことは可能だけど
声まで凍らせ動かないまま
善いとあること 誉れなこと
定義不明 幸(サイワイ)のもと
善くないとある 恥ずべきこ