さわがしさについて

なにも見えなくなってしまってくれ

なにも聞こえなくなってしまってくれ

うとましいのではない

さわがしいのだ

四六時中耳を撫でる音、音、音、音

どこを見渡しても美しい光にあふれ

さわがしいさわがしいにぎやかな世界

音も光もなにもかもすべて

一切合財消えてほしい

少しの間だけでもいいから

少しの間だけがいいから

そうでなきゃ

そうでなきゃ なんにも聞こえやしないんだ

大事なものなんにもぜんぶ

見えやしない 聞こえやしない 知れやしない

少しの間だけでいいんだ

少しの間だけがいいんだ

全てずっとなくしたいわけじゃない

こんなわがままを思ってやっと知る

ああ わたしは 生きたいんだなあ

ようやく最近 生きたいんだなあ

さわがしさからにげだして

くらくてしずかなところにいって

そこでようやくおちついて

りっぱにひとりでいられるような

浅い孤独のにぎやかな世界

見たくないのは

自分のいない きれいな世界

聞きたくないのは

自分のいない きれいな世界

どこにもいてはいけないことと

なんにもつかめていないことを

見れば知る 聞けば知る

知りたくない もう知っている

知りたくない

浅い孤独のにぎやかな世界

(ひとりぼっちごっこ)

もういいかい?

しずかに

しずかに

はじめることは知らない

けれど

おわることも思わない

たぶん 前向きだ


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