恥知らず/詩人

生まれいずる感情を
丸裸で訴えるだけなら
子供となんら変わらない
狡猾に言葉を隠しても
卑屈なその上目遣いは
乞食となんら変わらない
訴えるからにはその相手が
視線をつかわすならその先が
自ずからあらわれてくるじゃないか
誰かに何かをしてもらおうと
何かを施してもらおうと
たくらむ心が手繰り寄せた
鎖につながれた「優しい人」が

子供の身勝手を小馬鹿にしつつ
乞食のみすぼらしさを軽蔑しつつ
「優しい人」を繋いだまま
手のひらを広げて差し出してくる
そんな輩はハタから見ていて
悲しくなるほど恥ずかしい

生まれいずる感情を
殴り書いて見せびらかしても
落書となんら変わらない
狡猾に言葉を隠しても
涙の数だけ数えるのなら
日記となんら変わらない
見せびらかすなら見る人が
泣いたというなら縋る相手が
自ずからあらわれてくるじゃないか
誰かに凄いと褒めてほしいと
優しく慰めてもらおうと
たくらむ心が手繰り寄せた
鎖につながれた「優しい人」が

落書の汚さを小馬鹿にしつつ
日記の感傷を疎ましがりつつ
「優しい人」を繋いだまま
それを詩だと言い張っている
そんな自分が自分で見ていて
死にたくなるほど情けない

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