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楽器のトリセツ

今回はメソッド。

楽器の取説からスタートです。

ボーカリストは楽器が内付であるゆえ、
客観性が持てなかったりすることが多く、自分の楽器に対して
広い視野で見ることが難しいケースが多いです。
というか、私がそうでした。感情の起伏が起こると、丁寧に歌うことを忘れてしまう…気持ちよく歌ってたつもりなのに後で聞き返してみるととても雑で乱暴な歌になっていて、落ち込む…とか。だったら感情よりも客観性を優先してみよう、と思いトライしてみたら音程やリズムはいいけどぜんぜんつまらない歌になっていたり…

感情を豊かに膨らまし動かしながらも、その思いを音声化する上では少しの客観性を持って、思い描いている声を生み紡いでいけるのが理想的だと感じています。
ということで今回は体の部位の役割をザックリとですが客観的にお伝えしていきます。

レッスンやワークショップなどで声の話をさせていただくときは必ずと言っていいほど描いてる絵があります。

こんな感じ。
体を大雑把に6箇所にわけています。⑥から説明していきます。

脚…支える
ご覧の通りです。楽器を支えてくれています。
そして地面と私をつなげてくれる道でもあります。
『グラウンディング』できている時の歌と、できていない時の歌は
その音楽を構成しているエレメントが全く違う、という感触があります。
グラウンディングできている体から生まれる声は、純粋で力強く、嘘がない音がするように私は感じています。この話はまた別の機会に…。

⑤下腹部…ブレスコントロールをし安くするための支え
丹田と言われるあたりです。丹田は東洋医学の考え方でおへそから指3、4本分くらい下がったところのお腹の真ん中あたりにあるエネルギーセンター、と言われています。
この部分は息のコントロール(ブレスコントロール)を上手くしていくための土台の役割を担っています。歌う姿勢になっているとき、この部分は軽くしまっている状態にあります。
更に、パワーのある音、より体全体に響く音を出したい時はこの部分にグっと力を入れてブレスコントロールをするときもあります。

④お腹(おへそとみぞおちの間)…力点、息のスピードを決める
胴体の真ん中のあたりの筋肉をキュッと上に持ち上げることでブレスコントロールをします。ブレスコントロールとは『息のスピード』をコントロールしていく運動です。歌い出し、音飛び、ボリュームのコントロール、地声と裏声の切り替え....歌ってる時はずーっとお腹を使っています。どんな運動かというと、イメージしてみてください…

洋服の採寸の時に『ちょっと失礼します。』と言われて、ウエストを細く見せようとキュッとお腹を締める時の感じ….
あの感じです。

③胸部…音の源
肺と肋骨。
吸う息が肺を満たし、肋骨が広がり、横隔膜も下へと広がります。
吐く息が声帯を通過し声を生み出していく。
胸部は声の源がある場所です。

②喉…音を生み出す
息が声帯を通り声帯が振動し、『音』が生まれます。

①頭部…共鳴する、声を生み出す
喉で生まれた音は口の中、奥、鼻腔など、頭の中にあるスペースで響きを増し、人の『声』へと生まれ変わります。
このスペースの形状を変えることによって
音質、音色を変化させることができます。
また、舌、唇、顔の筋肉、あごなどを動かして音節(シラブル)をつくります。

声を出す時、歌う時、出てくる声に意識を向けて判断してしまいがちですが、それは『結果』でしかありません。
心に描く音を、歌を、実現させていくためには、
むしろ、音のでる場所からはほど遠い脚に意識を向け、
支えを作って、下腹部を安定させ、ちょうど良い息のスピードで息を送り、
思う音程になるように声帯を動かし、思う音色になるようにスペースを調整して…と、一つ一つ丁寧にあつかって初めて思い描く声に到達します。

面倒なように聞こえるかもしれません。
でもこの事を知っている状態で練習していくと、
思うような声が出せていない時、脚から順番にチェックしていけば、改善すべきポイントを必ず見つけることができます。




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