ひびき もりした

日本の大学院を休学して、イギリスはロンドンに留学したのがおよそ2年前。 このたび、学生…

ひびき もりした

日本の大学院を休学して、イギリスはロンドンに留学したのがおよそ2年前。 このたび、学生という肩書きからついに卒業し、ロンドンで生活する。 異国の地で日々働き、食べ、飲み、遊び、学び、暮らすという経験を通して、見えるはなし。

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最近の記事

パブとタイ料理、の話。

ロンドンの暮らしで最も気に入っているもののうちの1つ。 パブである。 今住んでいる街からなかなか離れ難いのは、いいパブが多いという理由も多分にある。 週末の夜は多くの若者で賑わうパブ。 少し価格設定高めの、でも丁寧に作られている料理を楽しみながらゆっくりできるパブ。 スポーツ観戦にうってつけのパブ。 目的やその日の気分に合わせて行くパブを選べるなんて、こんなに素敵なことはない。 生粋のイギリスの人々は、もちろん一般化はできないが、何もご飯を食べずにずっと同じ種類のビール

    • ロンドンに来て最初に住んだ家、の話。

      今ロンドンで暮らしている家は、こっちに来て2つ目の家である。 住んでいる場所はロンドン南東部。 初めてロンドンに来た頃は北側に住んでいた。 海外での一人暮らしに怯え切っていた私は「ロンドン 治安 良い」をグーグルに打ち込んでリサーチしまくり、結果、北部の方が比較的落ち着いた雰囲気であることを知った。 今振り返ってみると北部にこだわる必要はなかったのだが、あの家で、あの環境でロンドンに来て最初の数ヶ月間を過ごせたことは幸運だったように思う。 当時私は観光ビザで入国していたの

      • ポーランドのニシンの酢漬けが美味しい、の話。

        スーパーが好きだ。 ロンドンに来たばかりの頃は買い物が苦痛で仕方がなかった。恥ずかしながら日本で一人暮らしをした経験がなかったため、自分の生活のために定期的に買い物をする習慣がそもそもなかったというのも大きい。 初めてのロンドンでの買い物は、本当に2時間くらいかかった。 どこに何があるのか、日本のスーパーとも構造が違うので、勝手が分からずとにかく時間がかかる。 「どこに何があるのか自分で探し出さなければ意味がない」という謎の使命感(=店員さんに聞く勇気のなさの言い訳)を背負い

        • 英語のお祈りメール、の話。

          お祈りメール。それは、企業・就職先からの不採用通知の俗称。 「不採用」という事実とともに「今後の就職活動うまくいきますように」とか「この先いい企業に出会えますように」といった「お祈りパート」がついてくるから「お祈りメール」。まあ、テンプレを使い回しているだけだろうけど。 私は日本でろくに就職活動をしていないので、この類のメールを受け取ったことがない。厳密に言うと2つの会社を受けたのだが、1つの会社は「選考から1週間以内にメールが届かなければ次の段階に進めない」というスタイル

        パブとタイ料理、の話。

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        • ロンドン暮らしをわたしが綴ってみる
          7本
        • お気に入りのこと
          1本
        • 読んでみた
          1本

        記事

          フットボールとパブ、の話②

          今回はこちらの話の続き。 さて、セミファイナルはイングランド対オランダ。 やってきたのは、自宅の最寄駅のすぐ近くにあるパブ。 金曜日から日曜日の夜にかけては、イケイケの音楽が流れていたりバンドの生演奏があったり割と騒がしいが、ルーフトップもあったりして、広々としたスペースが特徴的だ。 テレビスクリーン前の席はほぼ予約で埋まっていた。相当な大人数でない限りパブの予約なんて滅多にしない。これがフットボールの力なんだと痛感させられる。 試合が始まるものの、店内は思ったより落ち着

          フットボールとパブ、の話②

          フットボールとパブ、の話①

          イングランドでは、つい先日まで、ヨーロッパのサッカーチャンピオンシップ(正式名称:The UEFA Europian Football Championship)の開催に湧き上がっていた。 開催国はドイツ。1ヶ月ほどの試合期間を経て、イングランドは決勝戦まで駒を進めたものの、スペインに2対1で敗れ、準優勝という形で大会の幕は閉じた。 ぶっちゃけると、私はサッカー観戦にさして興味がない。サッカーの(特に)国際試合独特の「試合を見ていない」=(自動的に)マイノリティとされるあ

          フットボールとパブ、の話①

          ロンドン暮らしをわたしが綴ってみる、の話

          突然だけど、ロンドンで暮らしながら感じている(た)こと、学んでいる(だ)こと、ふとよぎったことを綴っていこうと思う。 なぜ、いま、書き始めるのか。 この4月に学生という身分をついに初めて抜け出し、2022年から1年間留学していたイギリス・ロンドンで、向こう2年間暮らすことを決めた。 4月にロンドンに再度拠点を移して以降、現在は2つのパートタイムの仕事を掛け持ち、週5日働いている。 物価高なのでもちろん無駄遣いはしないようにしているけれども、友だちと出かけたり、外食したり

          ロンドン暮らしをわたしが綴ってみる、の話

          受験生だったあの時、某栄養食のCMが嫌で嫌でたまらなかった。だって、ものすごく煽られてる気がしたから。人には人のやり方やペースがあるのに、「世の受験生はみんなこうだ」っていうステレオタイプのあり方を押し付けられてる気がして。

          受験生だったあの時、某栄養食のCMが嫌で嫌でたまらなかった。だって、ものすごく煽られてる気がしたから。人には人のやり方やペースがあるのに、「世の受験生はみんなこうだ」っていうステレオタイプのあり方を押し付けられてる気がして。

          M-1グランプリに生きる12月のある日。

          M-1グランプリ2020イントロ一年に何回か大切なイベントや行事が存在していて、それぞれの重みや思い入れの強さは、人それぞれである。数々のイベントがある中で、M-1グランプリは私にとって本当に大事に見届けたい一日で、今年のM-1も抑えきれない高揚感と煌めきに満ちたものであった。 M-1に出場している芸人さんは、それぞれがきっと人生をかけていて、言葉には表すことができないくらい気持ちがぐちゃぐちゃになりながら、ある芸人さんは決勝の舞台でうねりのような笑いを巻き起こし、ある芸人

          M-1グランプリに生きる12月のある日。

          最近、久しぶりにお笑いの劇場に行った話

          突然だが、お笑いが好きである。3月頃から、新型コロナの影響で、お客さんを入れたお笑いライブは軒並み中止になっていた。そして6月中旬から、吉本の劇場が少しずつ復帰。漫才では2人の間にアクリル板が置かれ、サンパチマイクも1人1本。お客さんの数もキャパの約10分の1という状態ではあったが、どうしても目撃したくて、6月の終わりに新宿の劇場に足を運んだ。久しぶりに劇場に行ったら、初めて劇場に行った日のことが、ふと思い出された。 小・中学生の時は、むしろ「お笑いなんて」と思っていた人間

          最近、久しぶりにお笑いの劇場に行った話

          差別と、Black Lives Matterと、#と、真っ黒な画面と。

          「差別されている」 今まで20年以上生きてきた中で、はっきりとそう感じたことは一度もない。だからか、事が起きてからでないと、誰かが命を落とすことでニュースにならないと、人種差別問題を意識することができないでいた。 今回のGeorge Floydさんの一件を巡って、色々と考えたことがある。情報収集はしつつ、本件に対する他の人の様々な意見に惑わされないうちに、自分の考えを整理して発信してみようと思った。 1)差別意識のリアリティ人種に限らず、差別に通じることは世の中にゴロゴ

          差別と、Black Lives Matterと、#と、真っ黒な画面と。

          「どこでもいいからどこかへ行きたい」(作:pha 幻冬舎文庫)読んでみた。

          朝日新聞の天声人語で紹介されていたのを目にして、その魅力あふれるタイトルと今の自分の置かれている状況があまりにもリンクし過ぎていて、Amazonですぐさま検索。書籍verは在庫なしで入荷予定も目処が立っていなかったので、なかなか使いこなせないのだけれどもKindle版をクリック。一気に読了。 ざっくり言うと ・旅先で何をするのかということより、旅先までの「移動」を重んじる ・ファミレスや牛丼屋などのチェーン店の良さ ・定住することが苦手な筆者が今まで住んできた街について と

          「どこでもいいからどこかへ行きたい」(作:pha 幻冬舎文庫)読んでみた。