英語のお祈りメール、の話。
お祈りメール。それは、企業・就職先からの不採用通知の俗称。
「不採用」という事実とともに「今後の就職活動うまくいきますように」とか「この先いい企業に出会えますように」といった「お祈りパート」がついてくるから「お祈りメール」。まあ、テンプレを使い回しているだけだろうけど。
私は日本でろくに就職活動をしていないので、この類のメールを受け取ったことがない。厳密に言うと2つの会社を受けたのだが、1つの会社は「選考から1週間以内にメールが届かなければ次の段階に進めない」というスタイルだったので、メールを受け取らずに終わった。
2つ目の会社は、確か二次面接あたりで寝坊をして選考に出席しなかったので、こちらもメールを受け取らずに終わった。今思うとなんとも恥ずかしい話だが、当時の私は、もう絶対に面接に間に合わない時間に起きたあの朝「本当に行きたい会社だったら寝坊など絶対しないはずだから、寝坊したということは、そういうことだ」と至極冷静な決断を下し、進路を切り替えたのだった。
あの寝坊した朝が、ロンドンでの現在の生活に繋がっているといっても過言ではない。
そして、あの時に受け取らなかったお祈りメールをロンドンで受け取ることになる。お祈りメール English ver。
今回は私のなかでとても印象に残っている英語のお祈りメールを1つだけ紹介する。
Dear Hibiki
Thank you for applying for the role of ●●●●●●●(応募した組織とポジション)
We had a high number of applications for the role, making our decision making all the more difficult.
I have to inform you that we won’t be taking your application any further.
Wishing you all the best for the future.
こういった感じである。
なるほど、こんな感じのお祈りパートね。
しかし、メールを受け取り目を通した私は、お祈りパートよりも太字にされた"won't"がどうにも頭から離れなかった。
太字になっているのは、私が強調したいから太字にしたのではない。
向こうから送られてきたメールが既に太字になっていたのだ。
この"won't"という言葉に、私は少なからず、もう今後この組織と繋がることはしばらくないのかもしれないという寂しさと悲しさを覚えた。
それは「求職者/応募先」という関係性の地平においてだけではなく、もっと大きくて豊かな「縁」自体が絶えてしまった感じ。
頭の中でwon'tがぐるぐるする。
考えすぎなのかもしれない。
won'tの後には"be taking your application any further"と続くので、あくまで今回のアプリケーションに関しては、もうここで終わりですよという事実を述べているだけであることも分かっている。
それでも、その時私が置かれていた状況と、焦りと、もどかしさが、与えられた通りの文脈で事実を理解すること、事実を事実としてのみ受け取ることを許さなかった。
will not。won't。
何だか強い意志を感じてしまう。
今はこのお祈りメール受信にも一区切りつき、新しい職場で働いている。
でも、今の仕事は契約期間は決まっているし(延長も可能だけど)、自分のやりたいことを見つめ直して仕事探しをする時期にまた差し掛かっているような気もする。
あと何回、いったいどれだけのバリエーションのお祈りメールをもらうのだろうか。
まだまだ、職探しの旅は続く。
おしまい。
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