ポーランドのニシンの酢漬けが美味しい、の話。
スーパーが好きだ。
ロンドンに来たばかりの頃は買い物が苦痛で仕方がなかった。恥ずかしながら日本で一人暮らしをした経験がなかったため、自分の生活のために定期的に買い物をする習慣がそもそもなかったというのも大きい。
初めてのロンドンでの買い物は、本当に2時間くらいかかった。
どこに何があるのか、日本のスーパーとも構造が違うので、勝手が分からずとにかく時間がかかる。
「どこに何があるのか自分で探し出さなければ意味がない」という謎の使命感(=店員さんに聞く勇気のなさの言い訳)を背負い、何度も同じところをぐるぐると回ったものだ。
今は、買い物を楽しめる程度には慣れてきた。
ポイントを貯める楽しさとか、お買い得商品のものを買ってみるとか、そういう楽しさもあるけれど、ロンドンのスーパーは他の国や文化に開かれたコーナーの充実さがやっぱり楽しい。
肉や魚、野菜コーナーといった基本的なものに加え、Asiaコーナー、Kosher(ユダヤ教で適切とされてる食事)コーナーなどが展開されていて、いつ行っても新しい発見がある。
ある日、普段のように買い物に行った私は、Polishコーナーでこんなものと出会った。
それがこちら。
ニシンの酢漬け。
ポーランド出身の友人に発音を聞いたところ、「シレージク(レにアクセントを乗せる)」と読むらしい。
写真を見て分かるように、玉ねぎのオイル漬けも併せて入っている。他にも色んな野菜のオイル漬けと一緒になったバージョンが売られているみたいだけど、近所のスーパーにあったのは玉ねぎのみ。
酸っぱいものに目がない&スーパーの会員価格で少し安かったので即購入。
パッと思いついたのが、これをパスタにしてみる、というアイデア。
この日は暑かったし、さっぱりしたものが食べたかったので冷製パスタで。
最終的なパスタの食感を何となく想像して、したことないけどトマトは湯むきでもしてみるか、と思い立つ。
何か緑のものないかなと探してみると、冷凍したスティックセニョールが出てきた。ブロッコリーとアスパラ(正確にはブロッコリーとカイランの交配種らしいが)の間の子みたいな食感の野菜で割と気に入っている。パスタと一緒に茹でてみる。
シレージクにオリーブオイルを少し加えて、そこに茹でて冷やしたパスタと、カットしたトマトとスティックセニョールを加えて混ぜ合わせて、仕上げに粗挽き胡椒をかけてみたりする。
いいよ、見た目涼しげだよ、いい感じよ。
さて、味。
……おいしい。
ダイニングで1人で食べながら「…うま」と声が出てしまった。
微塵切りで入っている玉ねぎのオイル漬けも、ささやかだけどいい仕事をしている。
素晴らしい食品に巡り合った。
あれから既に数回リピートしている。
今決めているのは、近いうちにポーランドに行ったら、スーパーをのぞいて色んな種類のシレージクを買う、ということである。
こうして旅と食の楽しみを増やしていく。
おしまい。
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