見出し画像

【忙しいお母さん必見】ヨーグルト容器で計量1.2.3!ヨーグルトとオリーブオイルで作るスペインのおばあちゃんの味(レシピ付)

牛乳が苦手な義母フィナの朝食は、いつも蜂蜜入りのプレーンヨーグルト。週末に我が家に遊びに来る時にはマイ・ヨーグルトを自分の間食用に持ってきた。

小さな子どもたちの世話をお願いする時も、オヤツにはヨーグルトがよく登場した。夏場になると、小さい容器にスプーンを刺したまま冷凍し、即席ヨーグルトアイスにするという裏技まであった。

ちなみに、プレーンヨーグルトに粉末のココアドリンクを混ぜてココアヨーグルトまで自作した時が、残念ながら不評に終わりリスト落ち。「次回はプリンにする」と燃えていた。

そんな彼女が、私にとっておきのお菓子レシピを教えてくれるというので心待ちにしていた日曜日。

キッチンの脇テーブルの上にはいつもの大きなボールに入った卵とレモン、オリーブオイル、砂糖、小麦粉、そして小さなヨーグルトが1つ。

今日の調理メニューはコカ・デ・ジャンダ(coca de llanda)という。19世紀から伝わる、バレンシアでは最も古くから愛されている焼き菓子で、名前になっているジャンダとはブリキ製の四角い焼き型を指す。

何年も使い込まれたレトロな焼き型。型から外しやすくなるように内側にバターを塗り、小麦粉を薄く広げる。

続いてオーブンを準備する。彼女がお嫁に来たときに一緒にやって来たという古ぼけた小さなオーブン。庫内温度が200度くらいまでしか上がらず、時々、止まってしまうので、彼女しか使いこなせない。

「止まっちゃったら、右肩あたりをゴツンと叩けば動きだすの」

ちなみ、洗濯機はというと、洗濯時はまだしも、脱水時になると凄まじい音を立てながら歩腹前進する「にじり寄り」が得意技。終了後はいつも20センチくらい移動してしまうのでグリーンの洗濯紐で括られている。

まったく、みんな彼女には敵わない。

「バモノス!(さぁ、作るわよ!)」

その声を合図に、フィナがヨーグルトの中身を小さな別の小皿に移し、空になったヨーグルト容器を指さす。

「コレだけ!」

お菓子の世界では計量はとっても大切で、量を間違えると失敗の元になる。それが、今から作るのは、計量器を全く使わず、ヨーグルトの空容器を基準に簡単計量、ヨーグルトの容器も使い終わったらポイ。お掃除が苦手な私の為にあるようなケーキ。

「牛乳で作る人もいるんだけどね、私はヨーグルト。好きなのよ。レモン味があったら良かったんだけど昨日、うっかり食べちゃった。お向かいのテレサはココナッツ味がお気に入りなんだって」

でも、自分の作るコカの方が美味しいんだとちゃっかり付け足すあたり、やっぱりスペイン人。

*****

調理開始


(ヨーグルトを別容器に移し、空いた容器で砂糖を計る)
卵をボールに割り入れる。そのまま、砂糖を一気に入れると泡たて器でシャカシャカと泡たて始める。

(砂糖を計ったヨーグルト容器でオリーブオイルを計る)
同じボールにヨーグルトとオリーブオイルを加える。レモンの皮の黄色い部分だけをすりおろす。

(オリーブオイルを計量した容器で小麦粉を計る)
全体によく合わさったところへ、ベーキングパウダーと小麦粉を合わせる。

(ヨーグルト容器を捨てる)
用意してあったケーキ型に流し入れて180℃のオーブンで30-35分。

*****
なんと、240字で出来てしまう簡単さ。

オーブンに入れて間もなくすると、甘く香ばしい香りが小さなキッチンを包み込む。私まで甘くなってしまうようなこの瞬間が大好きだ。

「途中で空けたら駄目。コカは恥ずかしがり屋だから、完全に出来てないうちに見られたら萎むんだよ」

焼きあがったコカ。
待ちきれなくて、まだ温かさの残るコカを型から外す。型の端っこに少しくっついた生地が、焼き過ぎたクッキーのようになっている。

ザックザックと大きく切り分けて、飾らず、気取らず、手で取って食べてしまう。

ハフッと口に入れる。

初めて彼氏に焼いてあげた不恰好で見栄えのしない、気持ちと味だけは誰にも負けないケーキのような懐かしい味。バターとは一味違ったオリーブオイルがやさしい。ヨーグルトとレモンの爽やかな甘さがふわりと口の中に広がった。

*****

時は過ぎ、すっかり我が家の十八番レシピとなったバレンシアの伝統菓子。今度は私がおばあちゃんの味を次の世代に伝える番。

あの日と同じ日曜日。娘と息子の彼女とキッチンに立つ。料理好きなのに掃除が苦手な娘に、牛乳が苦手な息子の彼女。

あの日と同じ甘い香りに今日もまた包まれる。

コカ・デ・ジャンダ(coca de llanda)の作り方

《材料》

卵           3個
ヨーグルト       1パック
オリーブオイル     1ヨーグルト容器
砂糖          2ヨーグルト容器
小麦粉         3ヨーグルト容器
ベーキングパウダー   1小袋(16g)
レモン         1個分の皮

《作り方》
1. 焼き型の内側にバターかオリーブオイルを塗っておく。オーブンを180度に温めておく。

2. ヨーグルトを別の容器に空け、残った容器で砂糖を計る。 

3. 大きめのボールに卵と砂糖を入れて、全体が2倍程度になるまで泡立てる。

4. ヨーグルトとヨーグルト容器で計ったオリーブオイル、摩り下ろしたレモンの皮を合わせる。

5. ベーキングパウダーと小麦粉を加えてさらに合わせる。

6. 型に流し入れ、好みで生地の表面に砂糖やシナモンをふりかけ、180度のまま30-35分焼く。

補足:最後の仕上げに、冷めてから粉糖を上からかけてもよい。

この記事が受賞したコンテスト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?