ここに暮らす人々の、誰からの押しつけでもない自発的なムーヴメント
10月から勤務地となった淡路島。
日頃、北端の淡路市での活動がメインで、めったに市界を越えることはないが、昨日は南の洲本市へ出かけた。
洲本は城下町として古くから島の中心で、生活に必要なものはすべて揃い、便利な町ではある。
ただ、明治以来町の繁栄を支えた国内最大規模の紡績工場が昭和の末に閉鎖され、多くの女工が行き交ったという商店街も今ではシャッターが多い。
そんな商店街の近くに〈レトロこみち〉と呼ばれる1本の通りがある。
南北およそ370m、江戸時代から残る町家を利用したカフェや食堂、レストランなど30店舗ほどが並ぶ。
多くはこの10年ほどの間に市外、島外から移り住んで開いた店という。
きっかけはこの道に面した島内唯一の映画館・オリオンのおかみさん。
レトロな町並みを活かした町おこしのイベントを始め、平成24年には自ら築140年の空き家を買って食堂を始めたという。
その後、思いを同じくする人たちが一つまた一つと店を出したのだそうだ。
サンドイッチレストラン〈フクスケ亭〉、豆大福〈まめはる〉
この細い路地の突きあたりにイタリアン〈ETHICA〉
店ばかり覗きながら歩いていると急にお腹が空いてきたのでこちらへ。
中華そば〈ぴかいちこみち〉
店内はとても落ち着いてよい雰囲気。
それもそのはず、こここそがオリオンのおかみさんが10年前に買い取ったという築140年(今は築150年か)の建物なのだ。
おかみさんの食堂は隣の建物に移り、今はこの中華そば店が入る。
淡路といえば玉ねぎだ。
あわじ玉ねぎらあめん+島ちく
生のスライスに驚き、下に炒め玉ねぎが潜んでいて二重にびっくり。
生のシャキシャキと炒めの甘みが、すっきりの鶏ガラスープにアクセント。
島ちくとは、竹林の無秩序な拡大に頭を悩ますこの島で、竹の有効利用を目指すグループが加工したメンマのこと。
その中心メンバーとは面識があり、気になってトッピング。
えぐみもなく、グニョグニョゴリゴリの食感がたまらなく旨い。
ミニやきめしもセットに
ただ中華そばだけを頼むはずだったのが、あれよあれよと盛りだくさん。
店の奥さんに、おすすめのカフェを聞いてやって来たのがこちら。
ピザが旨そうなのに満腹すぎて、昼時にコーヒーだけですみません。
カフェ〈pegasus〉
コーヒーゼリー&匠淡路牛乳ソフトパフェ+スペシャリティーコーヒー
あれ? コーヒーだけでは?
すみません、あまりにパフェがおいしそうだったので、つい…
島の代表ブランド・淡路島牛乳のソフトクリームは、濃厚なコーヒーゼリー、まろやかなコーヒーとの相性が抜群。
そして何より、淡路島を象ったトレイが秀逸。
今度こそ本当に満腹だ。
***
その後、町の再生委員の方々、地域創生に取り組む大学生たちを前に、前職の愛媛の村おこし、現職の地域活性化の話をした。
質疑も含めみっちり2時間、レトロこみちの今後と学生たちの将来に何か参考になったならいいのだけど。
今日はこの座談会がメイン。
決して中華そば、やきめし、パフェ、コーヒーではなく。
〈レトロこみち〉はただの通り名を超え、そこに暮らす人々の、誰からの押しつけでもない自発的なムーヴメント。
その動きからしばらく目が離せそうもない。
こみちで買ったお土産の大判焼も、島の形をしていた。
(2022/2/27記)
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