見出し画像

チョコパイをかじりながら思い出したのはそんな日のこと

「自宅で手軽に旅気分を楽しんで欲しいという思いから始まった」という、旅雑誌「ことりっぷ」とロッテの人気コラボスイーツシリーズ。
旅の気分をスイーツで味わおうという企画らしい。

第6弾のテーマは「地元に愛されるホテルのスイーツ」。
名門中の名門、〈神戸北野ホテル〉と〈日光金谷ホテル〉が選ばれた。

画像1
©ことりっぷ(昭文社)

スーパーのレジ横にあったのを見つけ、買い求めた。
パッケージを開いて伸ばしてみたら、情報量の多いこと。

画像2

さぁどんなの?

画像3
画像4
画像5
画像6

国産イチゴ果汁を使ったストロベリーカスタードクリーム。

画像8
©ことりっぷ(昭文社)

果物のイチゴは大好きなのに、ふだんイチゴ味のスイーツになるととたんに食指が動かなくなるが、このチョコパイはおいしかった。

元になった神戸北野ホテルの本家〈ミル・ミルフィーユ〉って?

サクサクのパイになめらかなカスタードチョコレートクリーム、たっぷりのいちごをあしらった圧巻のミルフィーユです。

(神戸北野ホテル公式サイト)
画像9
©神戸北野ホテル

おぉ、なんだかバブリーなパーティーでお目にかかりそうだが、寺の土塀にも見え…「圧巻」以外の表現方法はおそらくない。

***

神戸北野ホテルはオーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)だ。

©神戸北野ホテル

阪神大震災で休業に追い込まれていた前身のホテルを、仏ブルゴーニュの名店〈ラ・コート・ドール〉で修行を積んだシェフ・山口氏が引き受けて再興し、師匠直伝のフランス料理を提供する。
2010年、世界で最も権威あるといわれるホテル・レストラン非営利会員組織「ルレ・エ・シャトー」にアジア・環太平洋地域で初めて選ばれた。
師から受け継いだ「世界一」とも称される朝食が有名だ。

***

その昔、愛媛で村おこしをやっていた頃、住み込みのインターンシップにやってきた学生が、どうしてもホテル業界に就きたいのだと言った。
だけどそんなツテはないし、何から手を着けていいか分からないと。

そんなこと言われても僕にもそんなツテはない。
でもだからといって諦めるとかではないだろうと、その学生に話した。
何がなんでもやりたいのなら、その気持ちを伝えるだけ。
相手が降参するまで。

彼女は、冒頭にも出てきた日光金谷ホテルのほか、富士屋ホテル、奈良ホテルなどクラシックホテルをいくつか見た後、神戸北野ホテルを志望した。
定期採用はしていない様子だったから、ひたすらシェフ山口氏に思いを伝え続けろと助言した。
そして彼女はついにその夢を叶え、晴れて神戸北野ホテルの舞台に立った。

一度、お礼だといってホテルのランチに招いてくれ、彼女がコースの品を一つひとつ丁寧にサーブしてくれたことがある。
これがその時の写真。

繊細な料理のうまさはもちろんだが、それ以上に、この名門ホテルを自分のステージにして堂々とふるまう姿に目を奪われた。
愛媛でとつとつと夢の断片を話していた面影はすでになかったのだ。
いろいろあって彼女は数年でホテルを去り、実家の家業を継いだが、たとえ数年でもやりきった感はきっとあったはずだ。

イチゴ味のチョコパイをかじりながら思い出したのはそんな日のこと。

(2022/7/8記)

この記事が参加している募集

おいしいお店

この街がすき

サポートなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!