眺めてあれこれ空想するうち、作品の中の〈時〉が突然進みはじめる
ミニチュアが好きでたまらない話は以前書いた。
見るのも好きだが、作るのも好き。
プラモデルも、車や城、戦艦など、昔よく作った。
そして、ジオラマが大好きだ。
プラモデルだけでは単なるブツだが、これらを組み合わせて配置したジオラマにはストーリーが生まれる。
眺めてあれこれ空想するうち、作品の中の〈時〉が突然進みはじめるのだ。
ずっともっぱらそうやって見て楽しむ側だったが、3年前くらいだろうか、急に思い立ち、初めてジオラマを作ってみた。
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作るのは鉄道模型ではNゲージといわれる1/150サイズのジオラマ。
テーマは「鉄道建設で敷地の一部を削られた屋敷」。
なぜか、文明開化に襲われた地方の豪農の悲哀を表現したくなったのだ。
建物の断熱材として使われるスタイロフォームを用意し、カッターで整形。
発泡スチロールのような素材なので、楽々カットできる。
水性塗料で土の地色をおおまかに塗る。
木工用ボンドを水で溶いたものを筆で塗った上にジオラマパウダーを蒔き、さらに水溶きボンドを垂らして定着させ、地面ぽく仕上げる。
ところどころにモスを植え込んで雑草を表現。
メディウムを塗り重ねて水感を出した田んぼには、切りそろえたフィールドグラスで田植え。
米軍も使うという万能ノコギリで鉄道模型用の線路をカットして配置。
側溝のフタはプラ板をそれらしく着色して並べた。
お屋敷はイチから作らずお手軽なキットを使うが、プラスチック感満載。
これも地面と同じように処理して茅葺きっぽく。
庭には紙粘土を着色した置き石を並べ、溝にもメディウム。
屋根にはちょこっと草を生やしてみた。
メディウムを何度も塗り重ねる中に、紙粘土で作った錦鯉を入れる。
メディウムは乾くまで重ねられないので、わずか5mmほどの溝を満たすのに1か月ほど要する。
クリップを開いて作ったつるべ。
井戸の中に突き立ててあるので、支えがないのに縄が自立。
このあと上に屋根をつけたら、あら不思議、ちゃんと井戸に見える。
庭には一族の墓も。
墓もキットを使ったが、卒塔婆は紙粘土で自作した。
そして2か月ほどの制作期間を経て完成。
屋敷にはボタン電池と麦球を埋め込んでおいたのに、3年の年月で放電してしまったようで、スイッチを入れても残念ながら灯らなかった。
うまくいけば屋敷の障子がポーッと光るようにしていたのだが。
あぁ楽しい。
作っている間も、できたのをこうして眺めるのも、どちらも楽しすぎる。
また落ち着いたら、次の作品作りたいなぁ。
(2019/3/12記)
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